↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

5話 雛実ちゃんとデート!!

「幽太君、おはよ〜」


 これは夢の中なのだろう。でなければ、こんな美少女が仰向けの俺に跨っているはずがないのだから。


「土曜日のお昼まですやすやしてる、寝坊助さんはどこのどなたさんですか〜」


 柔らかな感触が俺の腹部に伝わってくる。できることなら、このまま一生夢の中でこの重みを感じていたい。


「ま〜だ、すやすやするつもりですかぁ?なら私もご一緒させてもらいますね〜」


 心地よい重みが消えるかと思えば、温い触感が布団の中に潜り込んでくる。

 甘い香りの正体を確かめるため、まだ夢の中にいてくれという淡い期待を抱きながら、布団をペラりと捲ってみる。


「おはよ〜」

「お、おはよう雛実ちゃん?」


 何故、俺の部屋に。さらに言うと何故、俺の布団の中に。

 とりあえず起き上がると、雛実ちゃんもつられて身体を起こす。


「とりあえず、色々聞きたいことはあるんだけど。どうやって俺の部屋に?」

「えぇーと…なんか、鍵をガチャガチャガチャ〜って」


 雛実ちゃんにはピッキングの才能があるらしい。頼むからこの才能を犯罪には発揮させないで欲しい。


「あ、もしかして勝手に入っちゃダメだった?」

「いやいや、いつでも侵入して俺に跨って起こしてくれ」


 少女に言うには少々犯罪的なセリフだが、ピッキングと住居侵入罪という罪により相殺されている。なので、俺は無実。


「あっ、忘れちゃうところだった!幽太君にお願いがあったんだったっ」


 雛実ちゃんはお願いを思い出したのか、ふんふんっと鼻息を鳴らすと、俺の手を両手で包んでくる。


「私とデートしてくださいっ」

「もちろんだ」


 こんな嬉しいお願いがこの世にあったのか。昨夜のゴキブリ退治と比べると天と地以上の差がある。

 早速、着替えると雛実ちゃんとデートへ向かった。



「私行きたいとこ、いっっぱぁ〜いあるんだぁ〜」

「全然付き合うんだけど、なんで俺だったの?」


 雛実ちゃんぐらい可愛くて、社交性があれば俺なんかにわざわざ頼む必要などない気がする。


「…それは店に着けば分かるかな」


 眉を下げて話す雛実ちゃんは、電車を乗り継いだ先の店へと俺を引っ張っていく。


「俺ここに入って通報されたりしないよね?」

「大丈夫ですよ〜、独房も住めば都ですっ」


 この子は独房に入ったことがあるのだろうか。独房に入った先のことは置いといて、俺は春物の服で賑わうブティックに入っていく。


「わぁ〜!この服可愛いっ!!これ私に似合うかなぁ」


 久しぶりの買い物なのか、瞳を輝かせながら店内をぐるぐると見て回る。

 それに着いて行く俺に、店員らしき人物が声を掛けてくる。


「…おひとり様ですか?」


 こちらを訝しそうに見てくる女性店員は、俺の足先から顔に視線を動かすと、裏へ何か伝えに行こうとする。


「ま、待ってください!俺この子と一緒にデートしてるだけなんです!」


 雛実ちゃんの手を掴み、店員さんに迫真の顔で訴える。

 店員さんは、雛実ちゃんの顔を見つめると、俺に向かって深々頭を下げてくる。


「すみませんっ!私の勘違いで不快にさせてしまい…」

「いえいえ、疑いが消えて良かったです」


 俺としては独房に入れられなければ、さして問題では無い。


「本当に申し訳ございませんでしたっ。…失礼を重ねるようで申し訳ないのですが、この子の年齢って…?」


 再び向けられた疑いの目に、雛実ちゃんと手を繋いで店を飛び出した。



「ここまで来れば大丈夫か…童貞のまま終身刑なんて、強制的に妖精になっちまう…」

「あの…手」


 慌ててたため、繋いだままだった手を急いで離す。


「っご、ごめん!慌てて思わず…」

「いえっ!…ほんとのデートみたいでちょっとドキドキしちゃって」


 少し可愛すぎるかもしれない。こんな天使が現世にいたとは。


「ちょっと走って喉が乾いたなぁ。あそこのタピオカ屋さん行ってみない?」


 タピオカという単語を久しぶりに聞いた。この子の流行はかなり遅れているらしい。そのうち、こち亀が終わった話を意気揚々と伝えてきそうだ。



 2人で入店し、俺が先に注文を終えるとすぐに会計を促された。


「あのこの子の注文は?」

「っあ、失礼しました〜」


 少し抜けている店員なのか、雛実ちゃんの注文を遅れてとる。



 席へ着き、数分後テーブルにタピオカが2つ置かれた。俺の席に2つ。


「こっちが私のかなぁ」


 片方を掴んだ雛実ちゃんは、余程喉が乾いていたのか、ダイソンもびっくりな吸引力でタピオカを吸い上げていく。


「っぷはぁ〜聞いてた通り美味しぃ〜」


 一息ついたのか、雛実ちゃんは改まった表情で話し出す。


「今日のデートをしてて分かったと思うんだけどね」


 雛実ちゃんが可愛いということだろうか、その事なら初対面の時から理解している。

 すると、雛実ちゃんの椅子に通路を通ろうとした人の足が当たる。


「っんぐ」


 タピオカが変なところに入ったのか、雛実ちゃんはゲホゲホと辛そうにしている。


「おい、ぶつかったならちゃんと謝れよ」

「は、はい?」


 雛実ちゃんにぶつかった野郎は、首を傾けたまま謝りもせず席に戻って行った。


「っあいつ」

「幽太君、大丈夫」


 雛実ちゃんはこちらに微笑むと、恥ずかしそうに呟く。


「私、影(・)が(・)薄(・)い(・)ん(・)だ(・)」


 雛実ちゃんはそう言い終えると、再びタピオカに夢中になっていた。

本当にここまで読んでくださるとは……感無量です!!6話からは、週に3〜4のペースで投稿していく予定です。ですが、いいねやブクマ数が多ければ毎日投稿も考えていくので、ぜひぜひ応援お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。