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6:ここまで、よく頑張ったね
味は保証できないけど、と言い、外に出たそらは獅子の神獣に錬金出力を指示した。
まもなく獅子の神獣が錬金炉を使い、魔法瓶を出力してくれた。
観測室の軒下でカップになったフタに中身を注ぐと、味噌汁の柔らかい香りが湯気をたてた。
口をつけると、久遠の身体はぽかぽかした。
「おいしい」
なんだか泣けてきた。
おれは、たった少し前まで、あいつと折り紙を折って、植物園の花を植え替えて、昼寝をしていたんだ。
それがどうして、こんなことになるんだろう。
泣き顔を見せまいと、久遠は「何だよ」と顔を背けた。
『いや何、似ているなあと思っただけさ。あなたたちはやっぱり親子なんだね』
やっぱり?
おれとアルマが似ているって言いたいのか。
だけどそんなおれの怪訝さとは裏腹に、この幽霊はおれの頭を撫でるようにして言うのだ。
『ここまで、よく頑張ったね』
その一声で、張り詰めていた糸が切れた。久遠は、声を噛み殺して泣いた。




