6:ねぼすけ
次に久遠が気づいたときには、既に陽が傾きかけていた。なんだか長い夢を見ていた気がするが、つかれでぐっすり眠っていたのか、あまり鮮明には覚えていなかった。
「やべ、寝てた!」と跳ね起きる。
きょろきょろと視線を右往左往させると、いのりが久遠の隣で正座をしたまま待っていた。
『ねぼすけ』
「うぐ……」
冷ややかに言い放ったいのりの叱責に、久遠が気まずそうな顔をした。
『久遠くん、ちょっとそこに正座してください』
「はい……」
『植物園を出る前、わたしとした約束、覚えてらっしゃいますか?』
「えーっと、神獣が頻繁に墓所を襲うようになった理由、事情を知ってるかもしれないアルマって人物について調べるために、賢者の石を探しに行こう?」
『一応、申し開きだけは聞きましょうか。怒るのはそれからにしてあげます』
「もう怒ってんじゃん……」
『久遠、くん?』
「はい、スミマセン」
再び姿勢を正す久遠。背筋が伸び、やたらと正座が堂に入っている。
『はあ、しょうがないですね。柄にもなく久遠くんに水かけて遊んだわたしにも責任の一端があります。今日は一日丸つぶれになりましたから、今日はもうここで夜営に……』
言い淀んだいのりを余所に、久遠は立ち上がった。ジャケットについた砂埃をぽんぽんと払い除けながら、いのりに告げた。
「いや、ちょっとおれについてきて。今からなら、夜営の時間までには間に合うはずだから」
『何処へ行くのですか? いえ、何を見つけたのですか?』
「この図書館塔の最上階。何があったと思う?」
久遠はにっと口の端を吊り上げると、図書館塔の遺構の内部を指差した。




