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アトリエアルマ/錬金術師型電波望遠鏡  作者: 朝野神棲
第弐話 図書館塔の占星術師
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5:図書館、だな

 対岸に着いた二人を待ち受けていたのは、古代液晶文明の名残りを残す廃墟だった。一口に廃墟と言っても、レンガ畳の田舎っぽい墓所とは違い、まるで都会だ。植物園の日誌や資料をもとに地図を書き込んだ手帳を片手に、目的地まで幹線道路跡を辿っていく。


 折れた標識。ツタに覆われた高層建築の廃墟。都市のあちこちに張り巡らされたパイプのあとが、植物園の温室を彷彿とさせる。ここもかつては、植物園のように幽霊と人間がともに暮らしていたのだろうか。あるいは、神獣とも……。詮無い考えが久遠の頭の中を巡る。


 やがて、いのりが言っていた図書館塔までたどり着いた。やはりどう見ても朽ちた巨大な宇宙船にしか見えない。全長何百メートルにも及ぶ巨大な船が垂直に湖面に突き刺さり、それが長年をかけてビルのような居住空間に改造されているようだ。


 恐る恐る足を踏み入れると、内部は吹き抜けになっていて、遥か頭上の最上階から一筋の光が差し込む。無数の階段や水路が迷路のように吹き抜けに張り巡らされている。そして植物が生い茂った館内の隅々に風化した書架があって、賢者の石が本のようにラベリングされ、開架されていた。


「図書館、だな」


『図書館、ですね。手分けして、探索しましょうか』


 異論もないので久遠は従った。けれど一時間も自由行動すれば、ある程度の探索は済む。


 館内でめぼしい賢者の石も集め終えた久遠は、塔の中腹あたりの外壁上に出た。甲板は、綺麗な花壇に整備されていた。植物園の丘まで一望できる。久遠は「わあ……」と柄にもなく感動したような溜め息を漏らした。


 久遠は大きくあくびをすると、重力に惹かれるように、地面に背中を投げ出した。


 今ならよく、眠れる気がした。

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