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戦えない落ちこぼれは知力で成り上がる  作者: 加藤 成
第4章 武闘会&学園祭篇
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第85話 異国交流

翔太達がガルダ王国から帰ってきてから一週間が過ぎた。

時刻は午前四時。翔太が住んでるシェアハウスにそれは響き渡る。




「痛ァァァァァァ!!」



どこからか聞こえる叫び声に翔太は驚き飛び起きた。そしてすぐさま声の主の元へと走って向かう。

そこまで大きな家でも無いので直ぐに部屋の前までついた。ドアが開いてるところを見ると既に誰かがきているようだ。中を覗いてみると案の定いる。それも翔太とこの部屋の所有者以外の全員だった。そしてこの部屋の所有者であるヤーデはベッドで何やら悶えていた。

入り口からではよく見えない翔太は、部屋の中に足を踏み入れようとし、踏み止まる。



ちょっと待て、ここは女の子の部屋だ。女の子の部屋など妹の部屋しか入ったことがない。

いくらルームシェアをしてるからといって、勝手に入っていいものだろうか?

そんな思案が彼の頭の中を駆け巡る。



「イタイイタイイタイィィィィ!」



痛みでベッドの上でのたうち回るヤーデ。そんな彼女を見て翔太は怒られるのを覚悟し、意を決して部屋の中に入る。

翔太は出来るだけ部屋の中を見ないようにヤーデの元へ向かう。ベッドの前まで来た翔太見たものは、顔に手を当て痛がるヤーデの姿。



「翔太!ヤーデはどうしたんでしょう!?何か悪い病にでもかかったのでしょうか?!」



「ヤーちゃん…死んじゃう……の?」



「イタイイタイイタイッ!」



そんな彼女を見てグラナート達はどうしたらいいのか分からずオロオロしていた。

しかし翔太は違う。心配の目から一変、冷ややかな眼差しで彼女を見ていた。



「ヤーデさん…少し失礼します」



翔太は彼女の顎を持つと大きく口を開かせた。



「………。ハァ…」



口の中を覗き込んだ翔太は盛大にため息をつく。



「どうしたんや?やっぱ深刻な病なんか!?」



「ぜんぜっん!ただの“虫歯”です!」



「「「え…?虫歯?」」」



「はい、なのでリーラさん呼んで治療して貰えばそれで終わりです。どうせ隠れて夜中に甘いものでも食べてたんでしょ?」



「何故それをッ!?ーーーッ!イタッ!!」



全員の視線が冷たくヤーデの刺さる。かくいう当人は虫歯の痛みにより、それどころではないようだが。

翔太達は原因が虫歯だったと分かり自分たちの部屋に戻って行った。

部屋に戻る際、翔太がローザにリーラを呼ぶように言うと



「黙って……食べた…罰…」



と言って学校に行く時まで彼女はリーラを呼ばなかった。

翔太達はヤーデを置いて登校。治療後に登校してきた彼女もちろん遅刻した。



ーーーーーーーー



場所は変わり教室。

今日も今日とて翔太は周りからの陰湿なイジメは続いていた。慣れとは恐ろしいもので、前まで無視を決め込んでいたが最近ではそれがスキンシップにすら聞こえてくる。

だからといって翔太は相手にしないが。

そんな代わり映えしない毎日が突如崩れるとはこの時翔太は知らなかった。



チャイムが鳴りホームルームが始まる。ここに編入して直ぐの時は登校直後に寝ていた翔太だが、ここ最近は生活リズムを気にしてちゃんと起きてるようにしていた。

だが今日は無理だと、机に突っ伏す。もう少しで夢の国へと言うところで邪魔が入る。

クラスの生徒達が騒ぎ出したのだ。

翔太は眠いと思いつつ周りに耳を傾けた。



「やべぇ!お姫様だってよ!」



「なんでも異国交流なんだってー。こっちからは書記が行ってるらしいよー」



「はぁ、このクラスに来てくれないかなぁ…」



「ナイナイ、どう考えても同じこの国のお姫様がいるSクラスだろ。こんなDクラスなんてとこにくるかよ」



「そうそう、住んでる世界が違うって」



「なぁなぁ!俺さっき見たぜ!めっちゃ可愛かった!」



「私も見た!セミロングで茜色した髪の人でしょ?立ち振る舞いがほんと王女様って感じだった」



異国交流で来たと言うだけでよくそんな事でここまで騒げると翔太は呆れる。

人物像に若干のデジャブを感じながら夢の国に行く為、舟を漕ぎだす。



「今日って合同授業無かったっけ?」



「あるわよ、三限目と四限目がそうじゃなかったかしら」



「じゃあその時会える!あぁ、早く合同授業にならないかな…」



合同授業はサボろうと思ったところで翔太は夢の国に旅立った。




ーーーーーーーー



三限目合同授業。

場所は第一訓練場そこにはサボろうとしていた翔太の姿があった。



「サボろうと思ってたにいきなりローザの空間属性で拉致して、連れてこられたと思ったらまさかの授業…。

だいたいなんでヤーデさんとグラナートさんが居るんですか」



翔太は周りには同じ学年のローザとヴァイスの他にヤーデとグラナート、そして八城がいた。

八城は生徒会選挙以降ヤーデ達と話す機会も増え、最近では一緒にいる事が多くなっていた。特にローザは八城のことを“ミーちゃん”と呼ぶほど仲良くなっていた。



「本当に朝から寝てるみたいだな…。今日は全学年一緒だからだ」



教室で寝ていた翔太は、お尻に衝撃が走り目を覚ますと第一訓練場の廊下いた。ここで翔太は気づく、空間属性で無理矢理転移しやがったと。その後訓練場のヤーデ達の元まで引っ張られた。

もちろん抵抗はしたが、魔法で身体強化している人には敵わないと直ぐ諦めた。そして今に至る。



「瀬戸くん、サボるのは良くないわ。授業はちゃんと受けなきゃダメよ?」



「別にいいじゃん、僕、君みたいに優等生じゃないし」



「無駄やで八城はん、こいつはこういう奴や」



「ですね。ところで八城君?なぜあそこだけあんなに人だかりが出来てるんです?」



「砂糖…に、群がる…虫の……よう…。ちょっと…キモい……」



「虫ッ?!」



グラナートが指を刺す方向には学年とわず人の団子ができていた。ローザの気持ちも分からなくもない。その為授業前だというのに教師の前には誰もいない状態だった。

ヤーデは今日の虫歯のことを思い出したのか、虫という言葉に敏感になっていた。



「あぁ、多分皇女様を一目見ようとしてるんだと思います。聞いてませんか異国交流のこと?」



「なるほど、それであんなに。確かに他国のお姫様なんてそうそう見れるものではないですからね」



「ん?なんだグラナート、興味あるのか?」



「意外です!グラナートさんはそい雨の全く興味ない人だと思ってました」



ヤーデに続き八城も驚きの顔を露わにする。



「はい、全く興味ないです。ただどういう意図があるのかと思いまして。昨年までこんな行事はなかったはずなんですが…」



グラナートは顎に手を当て考える。



「そういえば人探しをしてるって言ってました。なんでもこの学園の生徒らしいです。確か人数は五人で顔は分からなかったって………ん?」



ここで八城はあることを思い出し、ここにいるメンバーを一人ずつ数えていく。

人数は一致する。それに彼らも顔を隠していた。彼女の中である仮説が浮かび上がる。

嫌な予感がする…。



「ねぇ瀬戸君。そういえば先週ガルダ公国付近にいたよわよね?確か仕事か何かで」



「うん居たね。あれは大変だったな…」



思い耽る翔太をよそに、まだ聞きたい事があると八城が質問を続ける。



「まさか瀬戸君達、ガルダ公国の王様と謁見とかしてないわよね?…」



一週間前のことを思い出し心ここに在らずの翔太の代わりにヤーデが答える。



「したぞ、それがどうかしたのか?」



八城の予想が



「……ミーちゃん…?どうした…の……?」



八城は頭を抱えた。今の発言は確定的だった。



「よーく聞いて頂戴ローザ、みんなも。さっきお姫様は人を探してるって言ったわよね?それ、あなた達よ」



「「「「「……は?」」」」」



八城の唐突な言葉に翔太達は茫然自失になる。



「………よーく聞いて頂戴ロー」



「いやいや、ちゃんと聞こえてたし聞いてたよ!?でもなんで僕たちってわかるの?」



「それはね瀬戸君。彼女が

ガルダ公国国王の一人娘、フラン皇女だからよ」



翔太達の“日常”は長くは続かない。

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