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戦えない落ちこぼれは知力で成り上がる  作者: 加藤 成
第3章 生きる傀儡篇
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第84話 任務完了?

神々しい。まさにこの一言に尽きるだろう。

頭を垂れないと失礼だ。

ヤーデ達は無意識のうちに膝を降り跪こうとする。しかしそれは翔太によって遮れることとなった。

パンッパンッと乾いた音が二回耳に届く。叩いたのは言わずもがな翔太だ。

彼は手を叩いた後、ヤーデ達の腕を持ち無理矢理立たせた。



「はいはい立ってくだい皆さん。こんな負け犬に頭を垂れる必要は無いですよー」



《先ほどから負け犬負け犬と神を侮辱しているのですか?シェルト=グランツェと同じ地球人の瀬戸翔太さん》



「いやー、腐っても神。隠しててもバレますか」



《またしても…。

あぁよっぽどの構ってちゃんなのですね》



「何それ、自己紹介?変わった自己紹介するんですね神様っていうのは。

それとも永く生きたせいで辛い人生でも歩んだんですか?」



《言ってることが理解できないんですか…。これだから幼稚なを相手にするのは大変です》



「貴女が年を取りすぎてるだけでは?」



《口が減らない子供ですねぇ…》



今ここで女神と戦ったとしても勝てないのは重々承知している翔太。

神を倒すのはあの勇者ズにやらせればいい。じゃあここはこのまま引き下がるか?尻尾を巻いて逃げるか?

だが翔太はそんな気はさらさらなかった。

それじゃあ気に入らない。内心冷や汗だらけだが、このまま相手の掌の上で転がされるのは癪だ。だから自分から転がってやろう。せめて煽って煽ってそしてこの場をかき乱してやる。



「気づけよ、僕は“瀬戸”翔太だ、聞いたことあるだろ?」



翔太は瀬戸の部分を強調して言った。



《………ッ!!まさか“瀬戸明日花”の!?》



女神の表情が焦りに変わる。ここで初めて彼女に動揺が走った。



「くっくっく、そうだよ僕は彼女の子孫だ。だから意味わかるよね?“負け犬”って言われる意味がさぁ!」



翔太は声を押し殺したように笑いニヤける。



「今ここで二回目の敗北を贈ろうか?」



《クッ!………》



もちろんこれはブラフである。翔太にそんな力はこれまでもこれからも無い。

だが今の彼女には効果覿面のようだ。なんせ一度この星を破壊しようとした時、それを邪魔したのが他でもない瀬戸明日花であったから。

流れは翔太の方に傾きつつある。それを理解している彼はここで一気に畳み掛ける。



「ラース国の王様を操り僕達をこの世界に喚ばせたのもアンタでしょ。魔王がどうとか戦力がどうとか適当に言って最終的に僕達を召喚するよう仕向けた。神のお告げを利用して」



「しかしコクヨウ、そんなことをしても女神様には意味がないだろう?」



「名前で呼んでくださいバレてるんだし。

意味はありますよ。まず一つ目魔族の殲滅。殲滅って言いましたけど要は数が減ればいいんです。それだけで十分な戦力低下だ。二つ目に国同士の戦争。これは一つ目が達成してからの話ですが、国にとって強すぎる力は脅威でしかない。いずれはその力を持った者…つまり勇者達の奪い合いによる戦争、又は殲滅が始まる。それにより世界の人口数は低下。後はそこの女神が残った生き物を、転生者を利用し皆殺しって流れです。どうですかクソ女神、間違ってますか?」



《………》



女神は何も喋らない。ただ俯いているのみ。

ここで意外な人物が否定してくる。



「そんな馬鹿げた話があるはず無い!女神様は僕に慈悲をかけて下さった!前の世界で罪を犯し死刑になった僕に…地獄に行くしかない僕を彼女が救ってくれたんだ!

だから女神様悪く言うなァァァァァァ!」



今まで黙って聞いていたシェルトが怒りを露わにし、翔太に殴りかかる。

そんな彼から守ろうとヤーデとグラナートが翔太の前に立つ。



《ダメですシェルト=グランツェ。貴方ではまだ勝てません》



あと一歩で戦闘というところで女神が割って入る。



「何故止めるのです女神様!?あいつらは貴女様を」



《言ったでしょう、貴方ではまだ勝てないと》



「“まだ”ですか…。あ、そうそう。ドクターさん、貴方もこのままだと死にますよ?なんのためにそこのクソ女神は地獄行きの人を選んだんだと思います?

答えは殺しても問題ないからです。わかりますか、貴方はこの世界が殲滅し終われば次の殲滅対象は貴方達、転生者ですよ」



「ッ!!」



《聞いてはいけません、彼らは言葉巧みに操り貴方を疑心暗鬼にしようとしてるのです。

…これ以上いると大事な“モノ”が壊れてしまう…。ここは引かせてもらいましょう》



女神の後ろに空間の歪みができ、そのまま縦に割れるように開く。中には数人の天使がお辞儀をし待っていた。

しかし彼らは攻めてくる気は無いようで、お辞儀をしたまま動くことは無かった。

ヤーデ達が追おうとしたが翔太がそれを止める。

目で語る、まだ相手にするときじゃ無いと。



《瀬戸翔太、神を侮辱した罰しかと受けて貰います》



そう言い残し女神とシェルトは時空の裂け目へと消えた。



「ふう、なんとか凌げた…」



「奴らはどこに行ったんだ?」



「女神達が行ったのは恐らく“天界”。人間の僕たちじゃいくら頑張ってもいけない場所です。なのでモモ、空間属性で行き先を調べても足取りは掴めませんよ」



ローザは女神達が消えたあと足取りをつかもうと空間属性で彼女達を探していた。

しかし翔太に無理だと言われ諦める。



「そういえば今回の任務はどうなるんです?」



「敵を退けたということでいいじゃないか?

というか、イレギュラーがありすぎて任務どころじゃなくなったというのが本音だ。まぁジル国王には

“主犯は配下を倒していたうちに逃亡”と言っておけばいいだろう、間違いではないし。もちろんアスカ様にはこの事を報告するがな。最後にこの部屋と奥の部屋を捜索していくか」



そのあと一通り部屋を捜索したものの、新たな情報は手に入らずこの任務はここで打ち切りとなった。



ーーーーーーーーーー



女神とあった次の日の昼。翔太達はジル国王との謁見のため城へ来ていた。

謁見の間には国王と王妃、そして皇女が玉座に腰を据えている。



「そうか、そんな事が。いやご苦労であった」



「もったいなきお言葉」



国王との対談は変わらずヤーデが受け答えをしていた。理由はもちろん面倒だからである。



「何か褒美を授けよう。何でもと言ってくれ」



「いえ、そのようなものは…。

ではもし、ここで一つ願いを聞いていただけるとしたら、それは見返りとして聞いていただけるでしょうか?」



「…どんな内容だ?」



「我らが女王陛下にもしもの時があった場合、いの一番に女王陛下の味方になっては貰えないでしょうか」



これは昨夜翔太から言われた事であった。

恐らく褒美がもらえると思います。なのでその褒美は“アスカ姉さんの味方になって欲しい”というのにして下さい。ジル国王に味方になって貰えればアスカ姉さんに何かあった時、大きな後ろ盾があるのとないのでは大違いですから、と。



「そんな事か。うむ、任されよ」



「ありがとうございます。では我々はこれで失礼します」



「お待ちください!」



今まで静観していたフランが、踵を返し立ち去ろうとするヤーデを止める。

自然と彼女に視線が集まった。



「あの…もう少しゆっくりしていってはどうでしょう。わたくしも貴女方とお話がしたいですし」



恥ずかしいそうにモジモジするフラン。

これを見た翔太は驚く。

昨日門番から助けてくれた時は凛々しいというイメージだった。

それが今はどうだろう、恥ずかしがり可愛く見える。このギャップ狙ってやっているなら相当の手練れだ。

彼女を見て翔太はそんな事を思っていた。



「おぉ、それはいい。どうせなら夕食をともにしよう」



「ありがとうございます、ですが我々も次の仕事がありますので、今回は遠慮させて頂きます」



これは嘘だ。本当は次の仕事など無い。ただ帰って休みたいだけだ。



「ほう、それはどんな仕事だ?」



まさか追求されるとは思っていなかったヤーデは面を食らう。



「えっ…その、我々には学園がありますので」



つい自分たちの個人情報を言ってしまった。



「学生なのか!?」



「まぁ!ではわたくしと同い年ですか!どちらの学校へ?」



後ろからの視線が痛いが、ここで嘘を答えるわけにはいかない。



「セント魔法学園です。

すみません、時間の関係上そろそろこの国を発ちたいので…失礼しますッ!」



これ以上は話しているとボロが出てしまうと感じたヤーデは、国王の返事も待たずに謁見の間を後にした。

それに続くように翔太達も一度礼をし後にする。

静まり返った謁見の間。今いるのは国王と王妃と皇女のみ。



「行ってしまったな…」



「セント魔法学園…。

お父様!少しお話が」



何やら不穏な動きがあるが、ここにいない翔太達は当然しらない。

これにて『生きる傀儡編』は終了です。

ここまで読んでくださり、ありがとうございましたァァァァァァ!!

次回は『武闘会&セント魔法文化祭編』っです!

これからも、どんどん書いていくので是非読んで下さいッ!!

翔ヤグロヴ「「「「「よろしくお願いします!」」」」」

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