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戦えない落ちこぼれは知力で成り上がる  作者: 加藤 成
第3章 生きる傀儡篇
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第82話 地下道

「ホントに……爆発…した…」



「だからさっき言ったでしょ。大爆発を起こすって」



翔太達が行ったのはバックドラフト。

密閉空間で起きた火災が起き、不完全燃焼により一酸化炭素が発生。

その状態で密閉空間を解放すると一酸化炭素が急激に酸素を取り込み、二酸化炭素への化学反応し爆発する現象である。



もちろんこれをやる前に翔太からはバックドラフトをやると言われたし、その説明もされた。だがこの世界に化学なんてものはない。

結局ローザは詳しい事は何もわからず、ただ爆発が起こるとしか理解していなかった。いや、正直爆発が起こることすら半信半疑だった。



思いの外大きかったその爆発は、この場にいないヤーデ達やグラナートにまで届いた。



「なんですか今の爆発音は!?ーーーん?コクヨウとモモ…」



「オツ…」



「その様子だと、ザクロさんも襲われたみたいですね。お疲れ様です」



「“も”という事は二人も…。となるとおそらくヒスイ達もですね」



「まぁあの二人が負けるとは思えませんし、詳しくはヒスイさん達が来てからにしましょう。あの爆発音です、戦闘が終わっていればそろそろーーー」



「全員無事か!?」



「ーーー噂をすれば影、ですね」



「ハァハァ…ま、待ってやヒスイはん…ん?なんや全員揃っとるやないか。

いや、それよりさっきの爆発音はなんやねんッ!?この孤児院が崩れるんやないかちゅうくらい大きかったで!?」



まず駆けつけたのは、職員室の向かい側を調べていたグラナートが。十数秒遅れて寝室を調べていたヤーデ、最後にヴァイスがホールへと集まった。

全員集まったことで、ローザにしたさっきの説明をもう一度行った。が、理解して貰えず結局“あの爆発は翔太が起こした”という結果だけ受け止めこの話は終了となった。



「それにして、あの爆発でよくこの孤児院が崩れなかったものだ」



「そのことなんですけど…どうやら此処、ただの孤児院じゃないみたいなんです」



「どういうことだコクヨウ?」



翔太の代わりにローザが答える。



「ここは……人体、実験場…」



「人体実験場!?この孤児院がかいな?!」



「そうです、表向きは孤児院。しかしその実態は身寄りのない子供を秘密裏に使った人体実験場。主に行われていたのは人間と魔物との融合。今回、僕とモモの相手がそれに近いものでした。皆さんもそうだったのでは?」



確かに思い返すとそうだ。

人間であって人間ではない。こう表現するのが一番しっくりくる。



「じゃあ彼らはこの孤児の生き残りだったと?」



「いえ、それは無いです。さっき職員室に合った資料に被験者の数が載ってたんですが、外にあった十字架の数が一緒でした。

ここからは推測ですが、おそらく被験者の子供達は戦場に送り出されたんだと思います。国王すら知らずに。後に此処で人体実験が行われてるのが発覚。哀れんだその時代の国王がせめてもと、あの十字架が作らせた。

そして長い年月が立ち今、異界の者がそれを昇華し新たなモノを生み出そうとしているのではないか。

何よりこの世界に“ドクター”なんていませんからね。

まぁ、さっき言ったように推測なんで本当のところはそのドクターとやらに確かめた方が早いです」



「せやかて何処に居るんかもわからんのに、どないして聞くっちゅうねん」



「多分…地下…」



ローザが地面に指をさしながら言った。



「地下…ですか。ですが地下への出入り口なんてありましたか?」



グラナートの質問に反応したのヤーデとヴァイスだ。



「そういえば、私とクロが戦った相手がそれっぽい所から出て来たな…」



「確か……非常ドアやったか」



「なるほど、非常ドアなら有ったとしても不自然じゃありませんし、子供達も開ける事はないから問題無い。じゃあとりあえずそこに行ってみましょうか」



翔太達はホームから体育館奥にある非常ドアまで移動する事になった。

移動途中、それぞれの闘った相手の事を話し交換しながら移動した。



「さて、非常ドアの 前に着いたわけだが…どうだ翔太。罠はありそうか?」



非常ドア前に着いた翔太達は扉に罠などが無いかを捜索中。

数分調べた結果それらしきものは見つからなかった。



「じゃあ開けるぞ…」



ドアを開けた先にはーーー



「また…ドアだと…?」



ーーー鉄の檻ようなドアがあった。しかもご丁寧に大きな四桁のナンバー式錠前が付いている。少なくとも大人の掌以上はあるだろう。

その奥に見えるのは地下へ行く階段が見えた。



「どうやらビンゴですね。しかしこの扉をどうするか…。

壊しますか」



グラナートは左手と左足を前に突き出した状態で腰を低くし、右手を引き絞る。

めいいっぱい引き絞った右手を鉄のドアに打ち込んだ。

ドンッ!と空気とドアが揺れる。しかし壊れるまでは至らなかった。



「多分物理的に破壊するのは無理ですよ。人体実験をしてたなら当然暴走もあったはず。そんな暴走した彼らを外に出さないよう此処も頑丈にできてる筈ですから。職員室が良い例です」



「ではどうする?モモの空間属性でドアの向こうに転移するか?」



「え…。…その後…から……戦力外……に…なるよ…?」



「先の闘いで結構、空間属性使いましたからね。此処で戦力外になられる困りますね…主に僕が」



「ホンマ他力本願やなぁコクヨウは」



「だって戦力外なんだもん!それに違う所で役立ってますぅ!」



「威張ることかいな?!」



「二人とも、漫才はそこらへんにしておけ」



「「漫才ちゃうわ!!」」



「ねぇ……何か…書いてある…よ?」



ローザの刺す先、大きな錠前の底に意図的に彫ったような跡があった。何やら文字になっているようだ。

【先代の名の下に

四ノ三

六ノ四

八ノ一

十ノ一

我等を見守りください】



「何かの暗号でしょうか?」



「おそらくこの錠前の番号を解くためのヒントだろう。しかしなんのことを指しているのか………コクヨウはわかるか?…コクヨウ?」



「開きましたよ」



「「「「……………。ハァァァァァァアア!?」」」」



返事がなくただ先ほどまで錠前を弄っていた翔太に目を向けると、錠前を解除し扉の奥に進もうとしている彼の姿があった。

ヤーデ達は口あんぐりとあける。



「何してるんです?早くしないとドクターとやらが逃げちゃうかもしれませんよ?」



「あ、あぁ…だがその前にこの錠前、どうやって解いたんだ?」



先に進むよりこっちの方が気になるヤーデ達だった。



「え?そんなの答え書いてるじゃないですか。あ、でも知ってるのは僕とモモだけか」



「…私……?」



モモは自分を指差しキョトンとする。何のことか全く分かっていなかった。



「いいですか、まず“先代の名の下に”って言葉です。

これはこれまでの孤児院の院長を指します。

次にこの数字。四ノ三の四は初代から始まり四番目、つまり四代目という意味。そして三は名前の頭から三番目。この場合なら四代目の名前がファムスなので頭文字から三番目の“ム”=“六”となります。

この要領で全て解いていくと

六ノ四・六代目アルトクリスの頭文字から四番目“ク”=“九”

八ノ一・八代目ゴーゴンの頭文字から一番目“ゴ”=“五”

十ノ一・十代目ミティーの頭文字から一番目“ミ”=“三”となるので

番号が【六九五三】となるわけです」



翔太の頭の回転の速さはヤーデ達はもちろん知っている。知っているのだが改めて見ると言葉が出ないというのが本音だった。

ローザに至っては一度全て聞いた名前であったが覚えていなかった。それどころはどうでもいいと頭に入れる気すらなかった。

でも翔太は違う。どんなにどうでもいいことでもしっかり記憶する。彼のスキルと言ったらそれまでかもしれない。もちろんそれ以外でもお世話になっている。この魔光銃だってそうだ、翔太が私の為に考えてくれたものだ。それにさっきの闘いも翔太がいたから勝てた。いなかったらどうなっていたか…。おそらくみんなも同じだろう。



「おーい、行かないんでーすーかー?」



「ふふっ……先に…行ったら……死ぬかも…?」



「ヒスイさん早く先行ってください!」



「それは私に死ねと言っているのか!あ゛ん?」



「「「「………」」」」



「お前ら否定しろォォォォォオオ!」



彼の存在は彼が思っている以上に大きい。彼が私たちの所に来てくれて良かった。

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