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戦えない落ちこぼれは知力で成り上がる  作者: 加藤 成
第3章 生きる傀儡篇
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第81話 VSクーパー

ヤーデ達がアツい戦いを繰り広げている頃、翔太達もまた“熱い”戦いを繰り広げていた。

戦いが始まって約三分程が立つ。

翔太達はこれといって大きな傷は見うけられない。しかしクーパーは違う。初撃に受けた心臓部の風穴以外に、両肩は火傷、中腹部には切り傷。そして何より目立つのは全身の焦げ跡。



「隠れンボデスカ?

それ二しテモ、あまイでスネ。先ホどカラ急所をハズしテばかりデスヨ?」



翔太とローザは机の身を潜めていた。

クーパーが言うように、翔太はローザにワザと急所では無い場所を指示し撃たせていた。



「私も……知りたい…」



ローザも理由は知らなかった為、小声でクーパーに便乗した。

別に敵にバレても問題ない理由だった翔太は、クーパーにも聞こえるよう大きな声で説明しだす。

願わくば、自らボロを出してくれといった思いを込めて。




「別に、貴方の命を気にしてるんじゃありませんよ。心臓を撃ち抜かれて死ななかった以上、違う其れこそ予想外の処に急所があると考えただけです」



「なるホド、そウいウ意図がアッタんデスカ。デスガ残念なガら、そノかんガエはハズれデス。

それイゼん二、ワタしにコウ撃なんテ無意味なのデス。ホラこノ通り」



翔太とローザは相手に場所を悟られないように机の陰から覗く。



「「……ッ!」」



クーパーの体にあった風穴が全て閉じていた。元々無かったかのように。



「どう…なってる…の?」



「ソこでスカ。『禍災扇風(カサイセンプウ)』」



ローザが声を出したことにより、二人の居場所がバレた。

クーパーは二人がいる場所に燃えた手を向け、扇状になった炎の渦を放つ。

隠れていた机は吹き飛んだり、焼け爛れていた。



しかし不思議な部屋だ。私の炎で机は壊れるのに壁やガラスは全く壊れない。やはり“秘密裏に人体実験”をやっていたからだろうか?だがこっちとしては好都合。幾らでも燃やし放題だ。



煙りが晴れるとそこには二人の姿はない。見渡すと、二人はクーパーの後ろにいた。



「…ごめん…」



ローザは自分のせいでバレたと罪悪感を感じ、俯き翔太に謝る。

それを翔太は笑って(顔は見えないが)返す。



「気にしない気にしない。それよりクーパー…でしたっけ?貴方のその炎、魔法じゃない…物理的による“人体発火”ですね?」



翔太の眼でクーパーを観察している時、偶々わかったことだ。

それは彼が技を使う時、魔法の“核”が存在していないこと。

“核”あれば翔太ならその魔法を発動前に破壊出来る。しかし彼にはそれが無い。つまりあの炎の攻撃は、物理攻撃なのだ。



「これハ驚キデス。マサかバレるトハ…。

シカシ奇々怪々なのハ、其方ノモモ様も同じデス。そノ銃…見たトコロ“照明魔光銃”デスネ。ただノセンコウ弾がナゼ武器とシテ使えテいルかフシギデス『火竜の進撃』」



彼にとってローザの銃に興味がないわけでは無い。だが今は戦闘中。それはそれ、これはこれだ。隙があれば容赦はしない。

クーパーの攻撃はまさに進撃だった。竜が一歩動くたびに起こる風の波動。それが炎を纏いクーパーを中心に全方位を襲った。逃げ場は無い。

ハズだった…



「いやぁ、助かったよモモ」



「さっき……の…お返…し」



「さっき?………あぁ最初の」



ローザと翔太はなにも無い“空間”から姿を現した………無傷で。



「……。モモ様、あなタ“特殊属性”でスネ。

それモ“空間”ヲあやツる属性…?なノにナゼ魔光銃ハ自然属性ガ…」



「うん……私は…空間属性…。

あと、これ……お返し……」



言うや否や、クーパーの頭が吹き飛んだ。ローザが水属性の魔弾を撃ったのだ。銃口とクーパーの頭の横に空間を繋いで。

クーパーの頭はそのまま消し飛び血は出ていないが、あるのは胴体のみ。が、十秒程すると首がウネウネとスライムのように動き、何事もなかったかのように頭が戻った。



翔太はそれを“視ていた”。そしてある一つも結論へとたどり着く。



「貴方まさか…多種族との遺伝子結合を」



その問いにクーパーは歪な顔をさらに歪め、ニヤリと笑うだけで何も答えない。



「翔太…詳しく……」



ローザは翔太に情報の共有を求めるが、手は未だに魔光銃の引き金をひいていた。それによりクーパーはハチの巣状態である。



「モモ、ストップ。それ以上撃ち続けてもクーパーには大したダメージになってないと思うよ。それよりも先にモモの魔力が尽きちゃう」



翔太に正されローザは撃つのをやめた。そして少し距離を取り、彼を警戒しつつ話し始める。



「おそらくクーパーは人間以外の遺伝子を身体に取り込んでる。あの再生から見るにスライムかな。だから彼には物理攻撃は効かない」



「でも…コクヨウなら…核……視える…でしょ…?」



「それが無いんだよねぇ…核」



「じゃあ……お手上げ…?」



「いや、一つだけ方法はある。それはーーーだよ」



「…出来るの……?」



普通なら考えられない方法。というよりローザはそんなこと聞いたことも見たことない未知の方法だった。



「絶対出来る!」



ローザから疑いの眼差しが鋭くなった。

何を隠そう彼らは“絶対”という言葉を信じない。特に根拠も確信もない絶対ほど信じられないものは無い。

もちろん翔太もそれは理解している。なんせこれを言い出したのは翔太なのだから。



「なぁんて言わないよ。ただ、試して見る価値はある」



「…わかった……。翔太に…賭けてみる…」



「オシャべりは、そのヘンにしたホうガいいデスヨ。『砲旋炎(ホウセンカ)』」



話に夢中になり警戒を怠った隙に、クーパーがスライム状のまま移動し、ある程度元に戻ったところで攻撃再開。翔太達に螺旋を描く炎が迫る。

ローザは即座に空間を同じ部屋の、範囲外へと繋ぐ。間違っても別の部屋や外には繋がない。

繋いでは“作戦が失敗”になる可能性があるからだ。



ローザと翔太はその穴を通って攻撃を回避し、即座に相手の両足を狙撃。属性は風。

着弾した風属性の魔弾は、いとも容易く両足を切断。

支えが無くなったクーパーはその場に倒れる。倒れたクーパーに翔太達は近づき

……踏みつけた。



グチャっという嫌な音が辺りに響く。それでも二人は止めない。



「キモい……」



ローザなんて罵声まで贈る始末だ。



「チョグチャ、ヤメグチャ、なさイ!ヤメグチャ」



「冥土の土産に、モモの魔光銃のヒミツを教えてあげます。

魔光銃を使うのに必要なのは“魔光石”なのは知ってますよね?それをグリップの底に付けることで照明弾が最大、五発撃てる。

魔光石は純度の高ければ高いほど魔力を吸収しやすく照明弾は明るくなる。逆に純度が低い場合、不純物が多すぎ、且つ発光するための光の成分が少ない為、魔力は吸収されない。

そして純度の高い魔光石に“魔法を打ち込んだ”場合、魔光石内部の発光するための光の成分と属性が喧嘩し崩壊。

対して純度が低い魔光石に“魔法を打ち込む”と魔光石の中にある不純物を、打ち込んだ魔法が排除しそのまま属性が石の中に残る。その“属性が残った魔光石”を魔光銃に装填。そして彼女の魔力で撃ち出す。

これがモモが使ってる魔光銃の原理ですよ」



「ソンッなグチャ、事はグチャグチャ、イマはグチャ、どうデモイいグチャグチャグチャ、デス!グチャ、

足をグチャ、アシをグチャ、ドケロォォォオオ!『火竜の息吹カリュウノイブキ』ィィィィイイイ!」



「ッ!?」


「うわっ!」



地面に向けて大放出される炎。翔太達は思わず飛び退く。



「アナタたち…いや、オマエたちハユルさなイ。灰塵スらノコらナイとオモエ!」



クーパーの両手に纏う炎が今まで以上に燃え上がる。

ローザはクーパー向け照準を構える。



「死ネェェェエエ餓鬼ドモォォォオオ!『双頭火竜のーーー!?」



「今だモモ!もう一度クーパーの両脚を切断して!」



「…任せて…ッ!」



クーパーの攻撃より先にローザの魔光銃が二回、火を噴いた。

放たれた二発の風属性の魔弾は、寸分の狂いもなく両脚に着弾。またもやクーパーは地面へと倒れた。



「ヨシ!このまま入り口から“部屋の外に逃げろ”!」



「……うん…!」



その隙に翔太とローザは入り口へと猛ダッシュ。



「させルカァァァァァァ!『双頭火竜のォォ咆哮ォォォオオ(ソウトウカリュウノホウコウ)』ッ!」



「…コクヨウ…早く……ッ!」



翔太より先に部屋の外に出たローザが手を伸ばす。伸ばされた手を掴んだ翔太は、身体強化による魔法で力の増したローザに全力で引っ張られた。



「〜〜〜〜ッ!」



翔太は腕が抜けそうな痛みを我慢し部屋の外に出た。

しかし痛がってる場合ではないと、すぐに立つ。



「早く戸を閉めてッ!」



「もう…閉めッ…た…ハァハァ」



扉が閉まった事により炎はそこから出てくる事はない。

これで一通り準備は終わったが、油断は出来ない。確かこのホールは子供達の遊ぶ物もあったハズ。

翔太は辺りを見渡すと、平均台やトランポリン、滑り台なんかが目に入った。



「モモ、悪いけどあの遊具で、この扉塞いでくれる?出て来られるとマズイから」



「…ん…」



ローザは二つ返事で、部屋の中にある遊具を扉の前に空間属性で移動させた。



「……オッケー?」



「うん、あとは待つだけだよ」



二人は扉を固めるために使った平均台に腰掛ける。

案の定クーパーが扉を開けようと叩いたり体当たりしてきた。しかし遊具の所為でビクともしない。

それから数分後、扉を叩く音は無くなった。



「…死んだ?」



「どうだろ?普通は“一酸化炭素中毒”っていうので死ぬけど…。相手は“スライムもどき”だから死んでないかも」



「じゃあ…“やるの”…?」



「その方が確実かな。そろそろ中の燃える物も無くなってきてるだろうし、いいんじゃない?」



翔太はそういうと立ち上がり扉から離れる。ローザも翔太の後ろについて行く。

一番離れたところで二人は耳を塞ぎ、ローザは空間属性で一つの空間を繋げた。

場所はクーパーと戦闘した職員室。

職員室との空間が繋がった瞬間ーーー





ーーー職員室で大爆発が起きた。

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