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戦えない落ちこぼれは知力で成り上がる  作者: 加藤 成
第3章 生きる傀儡篇
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第78話 ファシスト孤児院

玄関をくぐり中に入った翔太達は、この孤児院の手当たり次第部屋を調べていた。



「ハァハァ、言うても孤児院やさかい、そんな大きないはずと思うとったけど………どんだけデカいねんこの孤児院!?」



「ハァハァ、それも寝室だけあってほぼ同じ作りばかり」



中は入ってすぐホール兼子供達の遊び場があり、左右と正面、計3つの扉。

左が職員室、右が受付け兼警備室。そして正面には廊下の左右に子供達の寝室がずらりあった。



ここは分担した方が効率がと考えた翔太が、職員室を翔太とローザ、受付け兼警備室をグラナート、そして子供達の寝室をヤーデとヴァイスといった感じに別れた。



「ーーーー今の所で20室目だ。ハァハァ、クロ何か収穫は?」



「何も…ハァハァ…ない。ついでにワイのスタミナも無い…」



しかし予想外だった。まさか一部屋が20畳以上ある部屋だとは。

尚且つ全力疾走。おかげで息切れだ。

だが残りは5つほど。すでに最奥の壁は見えている。



「…よし、残りも見ていくぞクロ」



「フー…よっしゃいくで!」



その頃、翔太とローザは職員室を調べていた。

職員室の中は机が4つ向き合うようにあるだけだ。ただ地面には、この孤児院に関係する資料が大量に散らばっている。



「何かあったモモ?」



ローザは首を振り否定する。



「ここはハズレ………うわ、何がコレ」



「何かあった…の…?」



「ここ、思ってた以上に古い場所みたいだよ?古い過去の院長名簿が出てきたんだけど、1番新しいので第12番目だって。少なくとも100年は経ってる。初代チャート、二代ヨーゼフ、三代キッド、四代ファムス、五代フィー、六代アルトクリス、七代ウィンダス、八代ゴーゴン、九代ルーチェ、十代ミティー、十一代レイラ、そして最後十二代チャーチルだって」



「………なんで…読みあげた…の?」



「知ってる名前あるかなって思って」



ローザは絶対零度の冷たさと、射抜くような鋭い視線を翔太に向ける。



「………仕事…」



「うっす」



これはヤバいと翔太の本能が告げた為ふざけるを止めた。

彼は今持ってる資料を後ろに投げると、足ものとに落ちている次の資料を手に取る。



またどうども良い資料だろうと、気だるそうに適当に流し読みする。

だがそれも最初のみ。翔太の表情がみるみるうちに驚愕へと変わった。



「まじかぁ…」



先ほどまでのふざけでは無い翔太の言葉にローザも、何なんだと資料を覗き込む。



「…うそ……」



そこにはこの孤児院に関する予想以上に重大事が書かれていた。



「おやオや見てシまいマシタかァ」



聞き覚えのない声が入り口から聞こえた。

資料に夢中になっていた2人は同時に振り返る。

そこにはお辞儀をしている燕尾服を着た1人の男性。



「オ初にお目ニかかりマス、僕はメディカルシーザーズが1人“クーパー”ともうシマス。

ドクターのめイにヨリ、あなタがタに“テ厚い”カンゲいをさせてイタダキマス」



「ッ!危ないッ!」



いち早く危険を察知した翔太は、モモを押し倒しつつその場に伏せた。

直後、爆発音とともに大きな爆風が2人を襲う。



「オー!ショ撃をかわサレるとハ思イませんデシタ」



攻撃を躱されたというのに、クーパーはとても愉快そうだった。



「イツツツッ…。こちらの自己紹介がまだだって言うのに、成ってない執事さんですねぇ」



「…自己紹介…は、大事だ…よ?」



「確カニ!僕トしたこトがスミまセン。では改メて、自己紹介ヲおねガいできマスカ?」



翔太とローザはこの時、初めてクーパーの顔を見た。

彼の顔を一言で表すなら“つぎはぎの顔”。



顔中に手術の跡がある。髪の毛は無い。

灰色の眼は右眼のみ焦点が合ってない。口も左右対称の形をしている。

よくあれで喋れるものだ。



「もちろんです、名乗ってもらったのに、こっちが名乗らないのは失礼ですからね。

僕はコクゲッ!?」



「ほウほウ、コクげ様でスカ」



「違う!あんたが自己紹介中に攻撃してくるから噛んだけ!」



「隙だラけのトコろにコウ撃してナニがわるイのデス?」



「間違って…ない…。だから…」



「お?」



いつの間にか狙撃の構えをとっていたローザが、そのままクーパーの胸を撃ち抜いた。



「…モモ…。私の名前……」



「………モも様とコウげ様でスネ。ワザわザご丁ネイにアリがトウございマス」



翔太とローザは目を見開く。



「どうシまシタ?今までモ似たヨウなもノをミテ来タはずデスヨ?

ソレより自己紹介もオワったノデ、“手アツく”モテなすトしまショウ。

くれグレも










“ヤけド”にごチュウいヲ」



彼らの目には写ってるのは胸に風穴を開け両手が燃えているクーパーの姿だった。

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