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戦えない落ちこぼれは知力で成り上がる  作者: 加藤 成
第3章 生きる傀儡篇
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第77話 メディカルシーザーズ

「コクヨウ…何を言ってるんだ?

目の前に広がってるのはただの森だぞ?」



他のみんなも困惑している。



「ヒスイさん達にはそう見えるかもしれませんが、僕の眼には『視えて』いますよ。

空間を歪みが…。

多分これも光属性の魔法だと思います。光と反射を利用しあたかも森が続いてる様に見せる」



「蜃気楼……?」



「蜃気楼とはまた別ですね。アレは密度の異なる大気の中での屈折により見える自然現象。

今回のは光属性を使った人為的なもの。なのでいくら温度差を与えても意味がありません。

手でフレームを作って見てから、今度は後ろを同じ様にして見てください」



言われた通りヤーデ達は両手の親指と人差し指を合わせフレームを作る。

そして今の風景を覚えたあと後も同じようにして見てみた。

すると…



「対称…ですね」



鏡映対称となっていた。



「そうです。

クロ、今僕達が立っている場所の前にに、水属性の防御魔法…ホントは魔法名なんて言いたくないですけど『水防壁』を45度ほどの角度で張ってください」



ヴァイスは言われた通り『水防壁』45度の角度で貼る。



すると後ろの森に見えてた場所が歪み始めた。

瞬く間に森の姿は消え、現れたのは古い学校の様な場所。

塀は所々崩れ落ち、学校の様な場所はヒビが入っていた。庭には朽ちて壊れているが遊具なんかもある。



入り口にはここがどういう場所なのかを記した立て札がある。

字が霞んでいるが読めない程ではない。



「ファシスト孤児院…。なるほどここは昔、孤児院だったわけか。

しかし何故こんな姿に…」



「恐らく過去に起きた国同士の争いに巻き込まれたのでしょう。

ここは残念なことにガルダ公国とシン皇国との境界付近。

戦争で攻めてきたシン皇国の敵に殺されたんだと思います」



「ザクロは…なんで……殺された、って……わかるの?」



グラナートとそっと孤児院の敷地内にある庭を指差す。



そういう事か。



そこには十数個の木で出来た十字架と木にぶら下がった大きな板。

大きな板には大きな文字と風化した今でのわかるほど、綺麗な装飾が施された。



“我が子ら、永遠の安らぎを”



板にはそう書かれていた。



「それが今は異常犯罪者のいいアジトになっているわけか。

まぁなんとも都合のいい場所を見つけたものだな」



「感心してる場合とちゃうでヒスイはん…」



「感心というより呆れだな。

よし、じゃあ行くとするか」



ジル国王直々の依頼。失敗すれば国の沽券にかかわる。

いや、そんな事より他国からのアスカ様に対する尊厳が失われてしまう。

これだけは死んでも守らねば。死ぬ運命だった私たちを、ここまで育てくれた小さな恩返しとして。



全員の心をは今ひとつにーーー



「「「「おっ邪魔っしまーす」」」」



「お前ら緊張感ちゅうもんを持てやアアアァァァァア!」




ーーーられなかった。



ーーーーーーーーーーーー




孤児院・???室



「オヤおやァ、お客サンが来たヨうデスネェ」



「クヒッ、自ら来るなんて…クヒヒッ物好きな子達」



「手厚く歓迎してあげようではないか!」



「うるさいです殺しますよ?」



男2人女2人の計4人の影。



「女性がソんな物騒なコトいっチャいけまセンヨ?“ペアン”」



「うるさいと言ったはずです、殺しますよ?」



「無駄だ“クーパー”。其奴のソレは文字通り死んでも治らん」



「クヒッ、正確にはまだ死んだ事ないけどね。クヒヒヒッ」



「“ケリー”貴様…それは我がバカだと言っているのか…ッ!?」



「クヒヒッ、僕とヤろうっていうのかい?“メイヨー”ちゃん」



一触即発の中、この部屋唯一のドアが開く。



「喧嘩はあれほどダメだと注意したろ?」



「「「「ドクター!!」」」」



「やぁみんな、今宵も元気そうでなによりだ。

さて早速だけどみんなにお仕事がある。もうわかってると思うけどお客さんが来たみたいなんだ。

だから君達には、そのわざわざ来てくれたお客さんが退屈しないよう歓迎してあげて欲しい。

出来るね?」



「「「「はい!」」」」



「うんいい返事だ。じゃあ行って来なさい、僕の“メディカルシーザーズ”」

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