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異世界行ってもデイサービスで働きたい!  作者: 硬めのバケツプリン
異世界行ってもデイサービスで働きたい!

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第五話 異世界での職業

「今回はお前らの罪は問わない。ただし、ちゃんと働け。それで勘弁してやる。これからギルドに連れて行く。ついてこい」


ギルド?


なんの仕事をすればいいんだ?


そもそも、この世界で僕は働けるのか?


そんな疑問が頭の中を駆け巡る。


「ただ、その前に二人ともこいつに着替えろ。その格好じゃ目立ってしょうがない。うちの軍服だ」


そう言って渡された服に着替える。


白いシャツに灰色のパンツ。


そして、紺色のローブ。


両肩には軍のマークのようなものが付いていて、グローブとブーツまで支給された。


ものすごくファンタジーな服装だ。


まるでコスプレ。


「待てよ……ここで二人で着替えるのか? いいんですか? 神様ありがとう。先輩の恥じらいながら着替える姿を目の当たりにできるなんて! 異世界来てよかったーーー!!」


「きもいにゃ」


「茉椰はこっちの部屋で着替えろ」


「和くん、今いやらしいこと考えてたでしょ」


「……」


頼んでくれれば、着替えくらい見せてあげるのに。


……そうだよなー。


そんな上手い話、あるわけないよなー。


それにしても、バウワウ卿も俺の心の中が見えるのか!?


「そんなわけないにゃ。ご主人と違って紳士なだけにゃ」


「くー……」


涙が出そうになった。



着替えを終えると、バウワウ卿に連れられて監獄の外へ出た。


ギルドへ向かって街中を歩いていく。


街には食料屋、アクセサリー屋、武器屋などの露店が並んでいる。


「おお……」


こんな光景を見ると、やっぱり異世界に来たんだと実感する。


けれど、ギルドに加入して働くとなると……。


僕の中にある異世界の仕事のイメージは、モンスター討伐。


討伐じゃなかったとしても、危険な場所へ植物を採りに行ったり、魔物から村を守ったり。


仕事というより、ほとんどクエストだ。


……実際、僕は一度モンスターに襲われている。


できれば、全然危険じゃない仕事であってほしい。


そんなことを願いながら歩いていると――。


「着いたぞ。ここだ」


ギルドに到着した。


受付で加入手続きをするらしい。


「お名前を教えてください」


「和です」


「ご希望の職業はございますか?」


「デイサービスなんてないですよね?」


「デイサービス……ですか? それはどういった職業でしょうか?」


やっぱりないよなー。


きっと、この世界で聞かれている職業っていうのは、戦士とか僧侶とか魔法使いとか、そういうものなんだろう。


「主にご老人を家まで迎えに行って、施設に連れて行って、ご家族の代わりにお風呂や食事、トイレの介助なんかをする仕事です。……ないですよね?」


「老護者のことですね! ございますよ。そちらでよろしいですか?」


「……え?」


「老護者です」


「それでお願いします!」


あるんだーーー!


それなら僕でもできる!


できれば機能訓練の仕事が一番いいけど、介護士のような仕事があるなら、それでもいい。


モンスターなんかと戦う仕事じゃないなら、僕は大歓迎だ。


「こちらが案内書です。こちらに記載してある持ち物を持って、記載されている日時に、こちらの老護施設へ行ってください」


「承知しました!」


よかった……。


また、デイサービスで働ける!


ふと隣を見る。


先輩はもう手続きを終えたようだ。


「せんぱーい! 何にしました?」


「私は老護施設で働くよ!」


「えっ?」


「こっちに来てから、老護施設の馬車を見たの。だから、働くとしたらそこだなーって決めてた!」


「先輩らしいですね。僕も老護施設を紹介してもらいました! 案内書、見せてもらってもいいですか?」


「もちろん」


二人で案内書を見比べる。


……どうやら内容は全く同じらしい。


また先輩と同じところで仕事ができる。


そう思った瞬間、少し嬉しくなった。


「……って、先輩。持ち物のところ、よく見てください」


「持ち物?」


「『使い慣れた武器』って書いてあります」


「……武器?」


僕と先輩は顔を見合わせる。


「老護施設に武器なんて必要あるんですか?」


「この世界は、みんな武器を持ち歩いてるから、持っていて当たり前ってことなんじゃない?」


「当たり前なら、わざわざ持ち物に書きますかね?」


「……確かに」


「バウワウ卿に聞いてみましょう」



「老護者? すまん。知らんな」


バウワウ卿は案内書を見ながら首を傾げた。


「また、珍しい職業を選んだんだな。まあ、ちゃんと働くなら問題ない。二人とも頑張れよ」


「あまり知られていない職業なんですね」


「少し不安ね……」


「僕、武器を手に入れないといけません」


「就職祝いだ! 俺が好きなの買ってやる」


「えっ?」


この人、本当に見た目からは想像できないくらい優しいな。


でも……本当は武器なんて使いたくない。


「この世界のお金も持っていないので、本当にありがたいです」


ということで、武器を仕入れに行くことになった。


街の武器屋へ向かって歩いていると、僕は露店を指差した。


「バウワウ卿、あの武器屋じゃないんですか?」


「ああ?」


「あそこにも武器が売ってますけど」


「お祝いに買う武器だ。あんな露店にあるような武器では不十分だ。もっといいものを買ってやる」


そう言うと、バウワウ卿は露店ではなく、立派な建物の中にある武器屋へと僕たちを連れて行った。


「いらっしゃいませ!」

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― 新着の感想 ―
異世界にデイサービス(老護者)という職業が存在した展開に一安心……と思いきや、持ち物に「使い慣れた武器」とあり一気に怪しさ満点ですね!バウワウ卿の太っ腹な優しさも魅力的で、今後の展開がとても楽しみです…
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