25.魔王視点 筆頭魔導師の子供達を餌にして完全復活するときが来ました
俺様がこの世界の最果てのダンジヨンに逃げ込んだのはたまたまだった。
俺様が少しドジしてしまったから逃げ出すまでに少しの時間がかかってしまった。
俺様としたことが本当に馬鹿だった。
あの死神ヘラから必死に逃げ出してなんとかたどり着いたのがここだっただけだ。
そして、ダンジョンこそが俺様が復活するための城となる。
この最果てのダンジョンこそがその名を冠するのに相応しいであろう。
その名を取った魔王城の名を冠するに値するのだ。
そう、俺様を人は魔王と呼ぶ。
世界最強のこの俺様が復活するのだ……
「おのれ、シャラザールめ! 俺様を酷い目に合わせおってからに、絶対にいつか仕返ししてやる!」
俺様は叫んでいた。
本当に今まで最悪だった。
俺様は魔王様だ。世界で頂点に立つ男だ。それをあのシャラザールのボケナスが小間使いとして散々こき使ってくれおってからに!
たまったものではなかった。
シャラザールからやっと離れられたと思ったら今度は地獄の閻魔改めヘラに地獄の管理人のような役をやらされて、それも本当に大変だった。
あいつらは俺様が魔王様だと知っているのか!
というか、魔王である俺様をただの雑用係としか思っていないのだ。
どこの異世界に魔王様が雑用係をしている異世界があると言うのだ!
ここしかない。
この異世界では魔物の王様の魔王様が三枚目の端役をただひたすらさせられているのだ。
それも完全復活するまでのしんぼうだ。
俺様が完全復活さえすればシャラザールのボケナスに絶対に勝てるはずだ。
勝てるはずなのじゃ……
今まで何故シャラザールに逆らわなかったって?
未だかつてシャラザールに勝てた試しが無いからに決まっているだろう!
それもこれもいつもシャラザールは俺様が最悪の状態の時に現れるせいだ。
今度は俺様も完全に復活して、その時にこそ倒してやる。
その上更に怖そうなヘラにも勝てる気がしなかった。まあ、ゼウスもあの山姥のような女が妻だったから邪神になってしまったのだろう。
魔王である俺様を奴隷のようにこき使ってくれおって……
その結果、俺様はもうボロボロだった。
やっとヘラの隙を見つけて逃げ出したのが一年前、それから地獄の兵士達の追撃をかわして、その挙げ句にたどり着いたのが、この世界最難関の最果てのダンジョンだった。
ボロボロだった俺はなんとか最奥の間にたどり着いた。
まあ、魔物など俺様からしたら大したことはない。
ここ五年ばかり散々シャラザールや地獄のヘラにこき使われていたから、俺様自体はボロボロだったが、騙すのは楽勝だった。
そして、最奥の間に鎮座していた古代竜をあっさりと手懐けた。
竜は超単細胞だから楽勝だった。
何しろ愚かな古代竜は俺様と力勝負に出たのだ。
魔王の俺様と。
古代竜が魔物の王様の魔王様に勝てる訳は無いではないか!
俺様は古代竜をボロボロにまで叩きのめしして、古代竜を配下にした。
俺様はこの最果てのダンジョンでこの体を休めて、力をつけようと考えたのだ。
幸いなことにこのダンジョン内では古代竜を手下にした俺様よりも強いものはいなかった。
俺様は最奥の間の玉座に座って古代竜達に指示していれば良かった。
これが魔王様の本来の姿だ。
何度も言うようにシャラザールとかヘラとかの小間使いをするのが本来の姿では無いのだ!
それに幸いなことにこのダンジョンの入り口には山賊共がいたが、心の広い俺様はそれをほっておいてやった。
山賊共が冒険者を身ぐるみ剥いで洞窟の中に魔物達の餌として放り込んでくれるのだ。
俺はその冒険者の恨み辛みをエネルギー源にゆっくりと復活を図った。
俺様が徐々に復活してきたときだ。
俺様は魔物の数が急に減ったのに気付いた。
一体どうしたというのだ?
今までは掃いて捨てるほどいたのに!
最難関の最果てのダンジョンと言われるようにここにはある程度強いも魔物がわんさかいた。
それが急に減ってしまったのだ。
何故、このような事になったのか、俺には理解できなかった。
これは良くない。
魔物が少ないと餌が減り俺様のペットの古代竜の機嫌も悪くなるのだ。
ひょっとして魔物共、隠していた俺様の力に今頃気付いて畏れおののいて逃げ出したのかもしれない。
手下のゴブリンのが言うには這々の体で裏口から逃げ出したとのことだったから。
さすが、鈍い魔物共じゃ。今頃に気付くとは……
しかし、これは参った。古代竜の機嫌をとらないと暴れ出すと面倒じゃ。
そんな俺様に朗報が届いた。
何と丸々太った子供達が洞窟の中に入ってきたのだ。
それもその顔を見ればよく見知った顔だった。
この顔は憎っくきクリスの娘と息子に違いない。
彼奴は一度目は余を「バッチイ」と抜かして蹴り飛ばしてくれおった、信じられない女だ。
その配下も相当な使い手を配置して、俺は何度も苦渋を舐めさせられた。
最後は完全浄化されて、復活するまでに少し時間がかかった。
憎っき女だ。
その子供達をこんなダンジョンに寄越すなど、俺様にその仕返しをしろと言っているようなものだ。
今までの恨み辛みを晴らすために、ここは泣き叫ぶガキ共を一人ずつ古代竜に食べさせてやろう。
そして、慌てて駆けつけたクリスが子供達の惨殺死体を見て狂うときにその負のオーラを一身に浴びて俺様も恐怖の魔王として完全復活するのじゃ。
俺様が完全復活さえればシャラザールだろうが、ヘラだろうが怖いものは無かった。
ここはガキ共に完全復活への生け贄になってもらうことにしよう。
それには魔物達がいなくなって良かった。
魔物達が昔のようにいれば子供達だけでここまで来るのも一苦労だったろう。
魔物がほとんどいなければすぐにここまで来れよう。
「はっはっはっはっ、俺様がついに完全復活するときが来たか」
俺様は大笑いしたのだった。








