23.モンモンが真っ黒なスライムに捕まってしまいました
「じゃあ、シャラおばちゃん、行ってくるわ」
私はシャラおばちゃんに大きく手を振った。
「うん、そうか、頑張るのじゃぞ、アリス! 特にフランクとアレクの息子や。しっかりと働くのじゃ!」
シャラおばちゃんが手を振リ返してくれた。
その言葉にお兄様とブラッドはぞっとしていたけれど……
「さて、では山賊共、少し訓練いたそうか?」
「はい? 訓練でございますか?」
シャラおばちゃんの言葉に山賊のおっちゃん達は驚いた。
「当たり前であろう。これからアレクとジャンヌがやってくるのじゃ。我らも迎え撃たねばなるまい」
シャラおばちゃんはやる気満々だった。
「しかし、シャラザール様。アレク様ってまさかこの国の皇帝陛下では」
山賊の一人が恐る恐る聞いていた。
「そうじゃ。余が闇堕ちして帝国を乗っ取ったゼウスらを退治してあの小僧を皇帝位につけてやったのじゃ」
自慢げにシャラおばちゃんは頷いた。
「そんな、赤い死神相手に我らでは到底勝負になりません」
「絶対に無理です」
山賊のおっちゃん達は必死に首を振った。
「だから今から特訓すると申しておるじゃろうが」
「そんな!」
「死にます!」
男達は叫んでいたが、
「ええい、黙れ! 愚痴愚痴文句がある奴は無間地獄にそのまま落とすぞ」
文句を言ってもシャラおばちゃんに通用する訳は無かった。
「「「そんな!」」」
山賊達は絶望していた。
「よし、では参るぞ」
「ギャーーーーー!」
山賊のおじちゃん達の悲鳴が聞こえた。
まあ、シャラおばちゃんの特訓は厳しいけど、それを乗り切れば強くなるはずだ。
下手したら馬のおじちゃんが兵士として雇ってくれるかもしれないから、頑張れば良いのよ。
私達はその悲鳴を後ろにしてダンジョンに潜った。
先頭は剣を握ったブラッド、次に大きな荷物を背負った私。
その後はモンモンとイリーナで最後がお兄様だ。
一応最強の布陣だ。
まず階段を降りる。
そして、第一層に入った。広大な荒れ地が広がっていた。
その中を一本の獣道が続いていた。
中は何故か明るかった。
ブラッドも私も警戒しながら歩いた。
久々のダンジョンに私のテンションも上がった。
魔物相手なら下手な手加減はいらない。
最悪は燃やし尽くせば良いのよ。
「アリス、やり過ぎるなよ」
私の想いを察知したのかお兄様が注意してくれた。
まあ、そうだ。やり過ぎて、お母様に飲んでもらう何でも治す薬が燃えてしまったらどうしようもない。
私は手加減することにした。
でも、世界最難関の最果てのダンジョン、どれだけ凄い魔物が出てくるかと期待していたのに、中々魔物には出会わなかった。
途中で現れたゴブリンは一瞬でブラッドが仕留めてくれたし……
後が続かなかったから、はぐれゴブリンなんだろうか?
かれこれ1時間くらい歩いて、魔物がはぐれゴブリンとホーンラビットだけだった。
ホーンラビットは焼き肉にしたかったのに、ブラッドが一撃で真っ二つにして核まで真っ二つにしてくれたから魔石さえ残らなかった。
攻めて魔石は残してよ!
本当にどうしようもないんだから。
「アリス、疲れたわ」
「もうヘトヘト」
イリーナとモンモンが根を上げてくれた。
まあ、一時間も歩けたのよ。
もった方だろう。
私達は休憩することにした。
「お兄様。こんなに魔物は少ないものなの?」
私は全然戦えなかったから不機嫌だった。
「変だな。普通はもっと魔物がいるはずだぞ」
「何でだろう?」
ブラッドとお兄様が首をかしげてくれた。
「私達の前を誰かが魔物狩りをしているのかな?」
先にダンジョンを制覇されたらどうしよう。
私は焦りだした。
「アリス、それはないよ。それならもっと何か痕跡があるはずだ」
お兄様が指摘してくれた。
魔物の体液とか、死体とかがもっとあるはずだと言うのだ。
まあ、それはもっともだったけれど、でも、一時間も歩いて魔物が二体だけというのはどう考えてもおかしかった。
そこで水を飲んで非常食の乾パンを食べた。
乾パンは味気ないけれど、これを食べるとダンジョンに来たという気がするのよね。
「アリス、これまずいわよ」
「本当に、堅いだけで美味しくない」
イリーナとモンモンがブツブツ言ってくれるが、
「ダンジョンと言えば乾パンよ」
私が2人に言い張った。
「えっ、うちは今は普通のパン食べているぜ」
「甘い物も良いよな」
余計な事をブラッドとお兄様が言い出してくれた。甘い物もあるけれど、それはいざという時用に取っているのよ。食べ物は一つと言えども貴重なのに!
余計な事を言うなと私は叫ぶ代わりにじろりと睨み付けた。
まずいという二人にも強引に食べさせて、私達は先に進んだ。
少し先に行った所で
「ああああ!」
そう叫んで今までしんどいだのもう疲れただの散々ブツブツ言っていたモンモンがいきなり駆け出したのよ。
「ちょっと、モンモン」
「えっ、どうしたんだ?」
私達は驚きのあまり初動が遅れた。
その先にはヒカリゴケが金色の絨毯を敷いていたのよ。
モンモンが是非とも見たいと言っていた風景だった。
金ぴか金でとてもきれいだった。
それを見て驚いたのもあって私達はモンモンを追いかけるのが遅れた。
「キャーーーー!」
いきなりモンモンの悲鳴が聞こえた。
「モンモン!」
慌ててそちらを見ると、何とモンモンは黒くてドロドロしたスライムに捕まって頭の上に持ち上げられていた。
捕まってしまったモンモン、絶体絶命のピンチです。
怒り狂ったアリスにスライムごと燃やされる可能性が…………
続きをお楽しみに!








