18.氷の湖に魔力切れの中強制着陸して意識を失いました
「どうするんだ、アリス? このままだと空中分解するぞ」
「ああああ! 脳筋のアリスに任せるんじゃなかった!」
「ちょっと、アリスなんとかしなさいよ! 世界一の美貌の私がここで死んだら世界中の男達が悲しむじゃない!」
「ああん、こんなことなら家にある食べかけの今川焼きを食べ尽くせば良かった!」
皆が一斉にギャーギャー言い出してくれたんだけど……
「ええい、煩い! ちょっとやってみるから静かにして!」
私は思わず叫んで至た。
ビービービービー
皆が静かになったから警報だけがけたたましく響く。
皆の無言の視線が怖いんだけど……
これなら叫ばせておけば良かったかも……
私は操縦桿は動くのを確認した。
「冷やせ!」
翼には水を吹き付けてみたけれど……かけたふりから蒸発してくれた。
あまり効果は無い。
「水は駄目ね」
「おい駄目なのかよ!」
私の独り言にブラッドが反応してくれた。
「凍らせたらどう?」
モンモンが提案してきた
「凍らせるの?」
私はうんざりした。
「やる価値はあるわよ」
「私は氷の呪文は苦手なんだけど……雷撃なら得意よ」
「これ以上壊すな!」
私の言葉にブラッドが叫んでくれた。
「障壁で守ればどうだ?」
お兄様が簡単に言ってくれたんだけど……この大きな機体を障壁で守るの?
「結構大変なんだけど……」
うんざりした声で私が言うと、
「でも、それしか無いんじゃ無いか?」
確かにお兄様の言う通りだ。
「やってみる」
私は意識を集中すると機体全体を障壁で覆った。
ガン!
私の体に強力な負荷がかかるのがわかった。
もの凄く魔力が取られる。
でも、急に静かになった。
「警報が止まったわ!」
イリーナが喜んでくれたけれど……
これ維持するのが結構大変なんだけど……
私の魔力がどんどん無くなる。
でも、地表が徐々に大きくなってきた。
「お兄様、最果てのダンジョンの傍に湖があったわよね」
私は意識を持って行かれないように必死に確認していた。
「近くにあったはずだ」
お兄様が頷いてくれた。
「そこに着水するわ」
「おい、着水するってその湖はまだ凍っているんじゃないか?」
ブラッドが言いだしてくれたんだけど……
「えっ、もう初夏よ」
私が驚いて言うと、
「確かあの辺りは真夏にならないと氷が溶けないぞ、と言うか年中凍っている湖もあるはずだ」
無情なことをブラッドが今頃教えてくれた。
「じゃあ、川は?」
私は一抹の希望を持ってきいた。
「川も凍っているはずだ」
「そんな!」
私は絶望した。
スカイバードの着陸の基本は着水だ。
そういうふうに作られている。
だからナッツァ空港の傍はナッツァ湖があるのよ。
ナッツァにきた全てのスカイバードは湖に着水する。
各空港は湖か海か大河の傍に作られていた。
「まあ、大半の空港はそうだけど、たまに氷の上にすとんって降ろすことも出来るだろう?」
ブラッドが言いだしてくれた。
ノルディン帝国では国土の多くが永久凍土で囲まれているのでたまにやるのかもしれないが、氷の上に着氷することは出来るかもしれないけれど、それはとても高度なテクニックがいるはずだ。
そんな技術を五歳の私に求めてもらっても困るんだけど……
「アリスは着氷の経験はあるのか?」
お兄様が尋ねてきた。
「そんなのあるわけないでしょう」
投げやりに私が答えると、
「えっ!」
「そんな!」
「まだ死にたくないぞ!」
イリーナ達が叫んでいた。
「いや、最悪はアリスの魔力ならどこでも上手く着陸させることも可能だろう?」
お兄様が言い出してくれた。
「そうよね。アリスは無駄に魔力があるから」
「魔力馬鹿よね」
モンモンやイリーナが好き勝手に言いだした。
こいつらな!
私は切れかけた。
それは普通の時ならそれが出来るけれど……そもそも、出発の射出のときに相当魔力が取られたし、なおかつこの障壁で守るのが結構大変なのよ。
「お兄様。ちょっと難しいかも……」
「えっ、アリス、どうしたんだ?」
お兄様が慌てだした。
「魔力ぎれみたい」
私がそう言うと、障壁が消えた。
ビービービービー
警報が復活した。
「ちょっと、何言っているのよ」
「まだ死にたくない!」
イリーナとモンモンが叫びだした。
しかし高度はもう一万メートルくらいだ。
操縦桿は動く。
「アリス、大丈夫か?」
「なんとか地上までは持っていかせるわよ」
お兄様の問いに私は行きも絶え絶えに言った。
まずい、このままではその前に魔力切れで墜落してしまう。
それだけは防がないと!
遠くに真っ白な凍っている湖が見えてきた。
最果ての湖だ。
地図だけ見ていた私はこの先には北極海が広がつていると思っていたんだけど……北極海は永久の氷で出来た巨大大陸があるだけだった。
すなわち辺り一面真っ白なんだけど……林もなかった。所々に岩が露出しているだけだ。
かろうじて平面らしいところが湖なんだろう。
これが薄ければ割れるけれど、見る限り分厚い氷で覆われているみたいだ。
完全に失敗した。
「みんな、捕まっていてね」
「きゃっ」
「まだ死にたくないぞ」
「話すな。舌を噛むぞ」
お兄様が叫んでくれて煩い声はしなくなったけれど……
やばい! 本当に気をなくしそう……
私は最後の力を振り絞って機首を上げた。
魔力でブレーキを掛ける。
でも、減速しきれない。
そのまま湖に速度超過のまま、突っ込む。
最後に機首上げには成功したので、強制着陸の形には持って来た。
ダン!
「「「ギャーーーー」」」
全員の悲鳴とともにアリス号は強引に着氷した。
凄まじいショックだけど氷の上を滑っていく。
着氷した。激突しなくて良かった。なんとか胴体着陸している。
そこまでしか記憶がなかった。
ほっとした私は、魔力切れで完全に意識を失っていた。
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
魔力切れを起こしてしまったアリス。
なんとか着陸に成功しました。
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次はアリス達がいなくなって大騒ぎになる宮廷です。








