16.スカイバードの発射の想像以上の急加速で私含めて全員気絶してくれました
そして、私専用機、私の髪の色そのままの金色に輝くスカイバードが発射台に出発を今か今かと待ち望んでいた……そんな気がするのよ!
「ジャーーーーン、これが私専用のアリス号よ」
私は皆にお披露目した。
「うわーーーー、なんでアリスだけこんな立派な専用機がもらえるのよ」
イリーナが早速文句を言って来た。
「フランクのはどれなんだ?」
駐機上に並んでいる沢山のスカイバードを見てブラッドが聞いていた。
「いや、俺も専用機は無いよ」
「ええええ! 将来のドラフォードの皇太子殿下も無いのに、何でアリスだけがもらえているの? おかしくないですか?」
イリーナが盛大に指摘してきた。
確かに私にプレゼントしてくれたシャラおばちゃんはお父様とお母様からアリスには
「まだ早いんじゃないですか?」
渋られていたけれど。
「ふんっ、私が可愛いからシャラおばちゃんはくれたのよ」
そう、私は可愛いのよ。
シャラおばちゃんに可愛がられるくらいに!
それにマーマレードにいるお祖父様やドラフォードにいるお祖父様もこの機体で遊びに行ったら喜んでくれたから、良いのよ。
「どこが可愛いのよ。ねえ、フランク様。私の方が余程可愛いと思いません?」
私はイリーナにお兄様の前でクネクネするなと私は叫びたかった。
「えっ、アリスの専用機で行くの?」
それまで黙っていたモンモンがブルブル震えだしたんだけど……
「どうしたんだい、モンモン?」
ブラッドがモンモンに慌てて尋ねていた。
いつの間にか呼び捨てになっているし……
「スカイバードは別に怖くは無いよ」
当然の事のようにブラッドが言いだした。
「俺も何回か乗ったことがあるけれど、全然普通だよ」
「そうだよ。モンモン」
お兄様まで呼び捨てだ。
うーん、なんだかな。
「それよりもお兄様。急がないと」
さっさとしないといつお父様にバレて追ってこられないとも限らない。
「えっ、嫌です。アリスの専用機には乗りたくないです」
「まあまあ、モンモン」
「そう大丈夫だから」
嫌がるモンモンをブラッドとお兄様が半ば強引に機内に連れて行った。
私のスカイバードは20人乗りの小型機だ。
窓側に10列ずつ一人用の席が並んでいる。
その前の私の操縦席の後ろの席にモンモンを座らせる。
「えっ、ブラッド様、私降りたいです」
「まあまあ、モンモン。ここまで来たんだから。君は狭いところが嫌いなのかい」
「そ、そうじゃなくて」
モンモンは蒼白だった。
お兄様達はそのモンモンを席に座らせてシートベルトをつけてくれた。
「大丈夫だよ、俺も君の後ろにいるから」
ブラッドは後ろに座りつつ余裕の表情だった。
「だってアリスが」
「アリスが怖いのかい? 君はいつもアリスに虐められているの?」
「そんな訳内でしょ。私がいつもモンモンに虐められているのよ」
私は操縦席でいろいろと操作をしながら言い返していた。
「うーん、どう見てもモンモンが虐められているよね」
ブラッドが余計な事を言ってくれるが、口はモンモンの方が立つのよ!
モンモンは既に大人でお母様にもヨイショがとても上手いし……
今日の服はきれいだとか妖精様みたいだとか女神様みたいだとか女を口説く男みたいにそれを目をキラキラさせて言ってくれるのよ。それにお茶が美味しいとか、飾り付けが凄いとか私はそんなのあまり興味がないから、「貴方もモンモンちゃんみたいになりなさい」って後でお母様によく怒られるのよ。
本当に嫌になっちゃうんだから。
そのくせ私といるときは口が悪いんだから。
この人はガマガエルに似ているとか、カツラに違いないとか平気で言いだしてくれて私を笑わせてくれるんだけど、私が笑っているのを見て言われた本人は私が笑ったと機嫌を損ねてくれて、悪いのはそんな事を言い出したモンモンなのに!
「アリスの運転が荒いんじゃありませんこと」
自分が無視されてモンモンばかり周りから声掛けられるからイリーナが少しむっとして余計な事を言い出したくれた。
「ああ、判ったアリスの運転が雑なんだね。でも雑に運転しても衝撃緩和装置があるから大丈夫だよ」
お兄様が横から言ってくれるんだけど……
「そんな物この機体にはついていません」
「えっ、嘘だろう?」
モンモンの声にお兄様も慌ててくれた。
「衝撃緩和装置って何だ?」
「加速を緩和する装置だよ。そのお陰でショックを受けないんだ」
お兄様が説明すると、
「アリス、嘘だよね」
お兄様が操縦席に座っている私に確認してきた。
「だってシャラおばちゃんが『練習用だから余計な物を取っ払って軽くした』って言われたわ」
そう言いながら私は発射準備に入る。
「目標、最果てのダンジョン。セット終了」
私が位置を設定して魔方陣に書き込むと射出機が傾きだした。
上に。
「おい、嘘だろう?」
お兄様が叫ぶが無視だ。
射出機の角度が大きくなって機体が上を向いていく。
「おい、何でこんなに角度を上げるんだ?」
「仕方が無いのよ。最果てのダンジョンまで最速で行くにはこうするしか無いのよね」
「ちょっと、待て」
「俺は普通の機体で行きたい」
「いやだ」
「私降りるわ」
皆が慌てだした。
「もう遅いわよ。シートベルトしたわね」
私は声をかけるが、
「いやーーーー」
「降りるから」
「発射!」
私は皆の声を無視して操縦桿を思いっきり引いたのよ。
ぐんと魔力が取られるのが判った。
「「「「ギャーーーー!」」」」
全員の悲鳴を残してスカイバードは一気に加速したのだった。
ここまではむ計算通りだった。
でも、私にも計算違いがあった……
やばい、こんな加速初めてよ!
私は焦ったけれど、どうしようもなかった。
想像以上に、凄まじいGがかかって、次の瞬間私含めて皆気絶していたのよ!
アリス機に乗って気絶したことのあるモンモンの叫びが真実でした……
想像以上の急加速で飛び出す先は……
続きをお楽しみに!








