6-3 議題
「やあ、元老院の皆!久しぶり!スティーヴ・ヘイズです。よろしく」
ちゃんと約束は忘れない人形だよ。
「今日の議題はヘイズさんが提出したものになります。ええと内容は、大審院で不当な処分があったのではないかということについて、ですか」
今トップの冷めた目の男が淡々と言った。
名前は……覚えてないけどトップが回ってくるくらいだから優秀なんだろう。
「あるじゃろうの」
口調に方言の混ざっているらしい老婆がそう言う。
「昨年冬、エリスによる呪物を用いた事件が多発しました。それを担当していた者のようです。貴族に懲役刑を課したことが原因で降格処分になった、と言うのがヘイズさんの主張のようですね」
「実際真犯人はエリスだったわけだしな。責任問題がどこにあったか判断できなかったのだから処分も妥当なのでは?」
「それを言うなら、その前に行われていた事件の担当者にも処分が下されていなければおかしいだろう」
みんな真面目だ。貴族だからと言ってなあなあにしてないし腐敗もしていない。今の王が有能だからというのが大きいのか。僕が何か言わなくても何らかの対処がなされそうだ。休憩しよ。
「なかなかいい度胸じゃの」
席替えにより隣の席になってるらしい老婆がこっそり僕に話しかけてくる。
「当たり前だよね。僕は建国に関わった偉人だよ?もっと敬われてしかるべきだ」
「なんというか他人事じゃの」
適当な発言を装って真実を口にしてみると当たり前のことのように返事をされた。本当に僕の正体はバレてるみたいだ。わざわざマスクマンしてた意味とは。
「学業の方はどうなっとるんじゃ」
「どうって……普通だよ普通。新学年になって必要単位もあらかた取ったし余裕あるんだよね。気軽に休めちゃうからこっちにも来れる?みたいな?なんでそんなこと聞くのさ」
「いや、お主もさっき言っていたように建国の偉人ともあろうお方が学校に通うというのはどんな気分かのうと思うてな。それだけじゃ」
安心したように一息ついて老婆がそう言った。
クラス替えはあったけどまたリエルともグレイとも同クラスだし変わり映えはない。生徒会は3年生になったってことで辞めた。引き継ぎはアンナとハルイが上手いことやったらしい。僕はあんまりよく知らないけど。
「そこ、私言はやめてください」
「すまんの」
「すみません」
ちゃんとしてる。
「身分による減刑は司法の天秤を傾かせることになりかねない。それは女神も許さないのでは?」
「その通りだ!」
「静粛に」
冷めた目の男が軽く手を叩く。コツでもあるのかよく響いた。話し合っていた元老院のメンバーが一切に黙った。
「採決を取ります」
▫
「いやーまさか賛成の方が多いとは」
「お主が提案したことじゃろうに」
「あはは……これからどうなると思う?」
「ふむ。法に、身分によって左右されることがあってはならないとか条文に追加されるのではないかの?」
「おおー……」
すごい。
僕の功績では全然ないけどすごい。
緩やかに改革が進められている感じがする。過渡期にこう、身分差をいい感じにつめていくというか民主主義的な国家にソフトランディングができそう。
王が有能だとすごいなぁ。
まあ王暗殺とかイベントあるんで、基本その通りには行かないんだけど!




