5-23 ノーマルエンド
「……」
テストの順位が7位だった。
3位より下って初めてだな……。
「俺を煽った割にお前は振られたらこのザマじゃないか」
「そうだね……別にそういう関係じゃないけどそうだね……」
エリックが哀れなものを見るような目で僕を見ている。すごく落ち着いている。失望させてしまっただろうか。
「ふん。さっさと立ち直ることだな」
僕を一瞥してから、片手を上げて去っていった。
▫
「スティーヴさん!ボク1位になったっす!!」
壁にもたれてぼーっとしてたらナタリーが話しかけてきた。
「スティーヴさんのおかげっす!ありがとうっす!」
「ナタリーの努力の成果だよ」
後半僕なんもしてないし。
すごいなナタリー。方向を定める誰かが必要だったってだけの話だったのかもしれない。だったら僕ががんばらなくても勝手に解決……できないんだよなぁ。何回もループさせられてるし。ゲームだとどうやって解決してんだ。
でもこれで王暗殺によるやり直しは無くなったか。
「にしてもすごいね、おめでとうナタリー」
「わーいっす!」
「わーい」
2人で両手をあげて喜ぶ。ここでノリ良く喜んだ方が楽しめるような気がしたからだ。
▫
「……アンナ」
アンナが目の前にいる。
迫力の割に背の低い少女が僕をまっすぐ見ている。
真正面から見るのは久しぶりな気がした。
「ねえスティーヴ。私が何を怒ってるのか分かってる?」
「……わからないよ」
「そうだね、そう言うと思ったよ」
だからこそ僕はアンナと話す気になれなかった。僕には理解できないものに成長してしまったアンナと向き合える自信がないと言うのが正確なところだ。
「アホでなんにも理解してないスティーヴに私がそれを教えてあげる!」
「え?」
「一生を賭けてでも、いや一生を終えても。スティーヴが今その感情を持っていないとしても私が理解させてみせる!そう決めたの」
「え?え?……つまり僕のこと許してくれたってこと?」
僕のこと嫌いになってないってことだよね?じゃないとこんなこと言わないよね?
「許さない。一生許さないよ。これはそういう話。だからスティーヴは一生私の傍にいるの。分かった?」
「う、うん」
「女の子との距離感は気をつけてね!スティーヴって自分で思ってるよりモテるんだから」
「それはバイアス入ってると思うよ」
「あーもう!!なんでそんな変なとこだけ反論してくるの!?」
怒ってるな。なんで?
「ちなみにリエルはどっち判定?」
「リエルくんは……うーん。まあいいや」
「よし」
じゃあいいや。深く考えなくてもいいのだろう。アンナがこれから教えてくれるって言うのだから。
「ちなみになんでその決意をしてくれたの?」
「……スティーヴもちゃんと心がある人間なんだって思えたから。今まで私はスティーヴにちょっと寄りかかりすぎてたんだなって」
つまり失望されたってことか。
これは早急に原因を特定しないと信頼を切り崩すことになりかねない。
この後三学期は何事もなく、僕達は無事3年生に進級することになった。




