5-18 乱数
「あー疲れた」
「どうしたんすか」
「どうもこうもないよ。ナタリーさ。なんでこんな簡単な問題も解けないの?公式も解き方も覚えてるんだから簡単だよね?ついさっき解いた問題とほとんど一緒じゃん馬鹿なの?」
「流れるような罵倒がキツイっす……」
1個上で、テロを起こして何回もループさせた張本人ことナタリーに勉強を教えていた。
前世の僕と違って、国王暗殺できるくらい体力あるんだから集中も途切れることなく続けられるはず。何があってできないんだ?
「そもそも出題範囲決まってるんだからさ。今回のテストで解法って基本3つしかないわけ。3択だよ3択。……とりあえず全部試してみたらいいさ。無理だったらすぐ分かる。だめだったら引き返せばいい」
「テストには時間制限あるじゃないっすかぁ」
「テストにはね。でも今はないでしょ。ある程度こなしてコツ掴みなよ。こういうのは自分で解いてトライアンドエラーでやれるようになってくしかないんだよ」
「そんなぁ……」
「正義の味方とか言える体力あるんだからこれくらい余裕でしょ。じゃ、生徒会の仕事終わったらまた見に来るから」
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「助かるよマリス、会計やってくれて」
「助かるよ、じゃありませんわ!ほとんど強制だったじゃないですの!」
「あはは」
ステラ連れて行かれたくないなら来てねといった具合で説得したら最低最悪の人類に巣食う病原体ことアプリコットの宿主たるマリスを生徒会に勧誘することができた。ちなみに、ステラには別に強制していない。マリスが抵抗してくるからじゃあ君が来てよと言ったらこんなことに。いや言い訳はしない。僕が主犯だとも。余ったステラはユノと仲がいいみたいなので置いてきた。いつものループではステラの方引き抜いてたからちょっとは変化があるかもしれない。次のテストが勝負だ。
「……」
アンナが僕とマリスが談笑しているのを無言で見つめている。
「スティーヴさんは変なこと話してないで仕事してくださいよ」
アンナにフォローをしようと立ち上がると、僕が何かを言う前にピジョップにさえられる。
「あ、マリスさんはまだ入ったばかりなのでいいですよ。仕事は俺が教えます」
「そ、そうですか?ではご厚意に甘えますわ」
なんで僕にこんなに冷たいんだと言いたいところだが、アンナにも冷たいんだよなピジョップ。基準は謎だ。嫌ってるというわけではなさそうなので僕が口を出すことはない。
「仕事はもう終わったから僕帰るねー。ほらやらなきゃ行けないことあるからさ」
「スティーヴさん最近いつもそれですね。さすがと言うべきかなんというか。分かりました。また明日」
「うん。また明日。アンナはまた後でねー!」
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「ナタリー解けた?おおどれどれ。全部いいね。さすが万年3位」
「万年3位って言うなっす。スティーヴさんだって1位ほぼ取れてないじゃないっすか」
「……よく知ってるね」
1個下の学年の状況とか普通知らないでしょ。
「ボクだっていろいろ情報集めてるんすよ。にしても1個下レベル高くないすか?スティーヴさんボクの学年の誰よりも頭いいと思うのに、なんなら3位の時あるじゃないっすか」
「僕に素面で張り合ってるエリックはすごいよ。……シエルはありゃ天才だね。一世代に1人レベルだよ」
「つくづく1つ上で良かったっす……ボクやる気出てきました……!」
「んん?……がんばれ」




