5-17 最適解
「行けーホムンクルス!」
シエルから借りたホムンクルスが銃弾を腕で弾く。
すごく性能がいいぞこのホムンクルス。なんでそんなもん持ってるんだという疑問は横に置いておこう。
「え!?」
急に現れた背の高い亜麻色の髪の女に驚くダニエル。お前の命を守るためだ。あんまり気にしないでくれるとありがたい。
そう、アンナの方も結構今やばいことになっていて、アンナを優先するとこの銃撃に間に合わないのだ。政治の方に口出しして欲しいから人質として捕まえにきた、だっけ。僕がいない間を狙ったらしい。僕の脅威が知れ渡っていて複雑だ。まあ何をやっていたとしても、世界の裏側にいたとしても、アンナのピンチとあらばかけつけるのが僕なのだが。今回そっちはケイトに行ってもらったから安心だ。不確定要素の多いこっちを僕が対応した方がいいという判断である。
僕の機能でアンナの様子を見ると、倒れて重なった悪漢を椅子にして座ったケイトがこちらに手を振ってきた。僕が見てるのに気づいている。こちらとしては少々気まずいが仕事はしてくれたようだ。さすが。
「右の角の奥に人」
「了解」
わあホムンクルスがしゃべったぁ……。僕は考えるのをやめた。
ぼんやりしていると、ホムンクルスが襲撃者の頭に手を貫通させていた。取り調べの間もなく殺すんじゃねえ。
「ひっ……」
あまりにも恐ろしい殺し方に、後ろにいたらしいもう1人の襲撃者が怯えたようにホムンクルスを見ている。
「うわああああああああ」
遅れて事態を把握したのか悲鳴をあげながら何かのボタンを押した。
……次があったらさっさとこいつ始末しとこう。
ボタンを押した男はあっさりホムンクルスに頭をもぎ取られていた。
ゴゴゴという音とともに地面がせり上がってくる。
何か設置されていたらしい。目をこらすと、無機質な目のようなものと目が合った。金属質のボディがさしこむ太陽光を反射し輝く。……ロボだ…………。
「へー」
ハルイが感心したように眺めている。ってことは呪物の類か。ハルイが触れさえすれば無力化できるかもしれない。5mくらいはありそうなそれを見て現実逃避のようにそう思った。
口から発射される光線により壁に穴があく。そこの店の客だかの悲鳴が聞こえる。無事だといいけれど。
「早急に対処する」
ホムンクルスが目にも止まらぬ速さで突っ込んでいく。こんなのが当たり前にいるとなると僕ってば大して強くないのかもしれない。……いや、シエルって全然普通じゃないし。当たり前なわけないか。
光線を懐から取り出したスプーンで弾いている。曲芸かな?『僕もあれくらいできる』嘘つけ。あんな器用なことできないでしょ。『よく分かってるな。やりたくもない』
ホムンクルスの膝蹴りがロボの頭頂部に繰り出される。ロボが吹っ飛んだ。
ちなみになんで僕がこんな呑気に観戦してるのかというと、ダニエルとハルイに顔がバレたくないからである。特にダニエル。危険な依頼を受けまくっているのでこういうことになる。正直なことを言うと、僕は巻き込まれたくない。
「最近麻薬を売買する組織の調査の依頼を受けたんだが、思ったより大きい組織だったのかもしれないな」
呑気に首を傾げている。僕が介入しなかったらさっきの襲撃でほとんど死んでるんだぞ!反省しろ!
「ちょっと私行ってくるね」
「お、おいっ」
そしてハルイが吹っ飛んでった先にいたロボに手をかざすとその機能を停止させたようだった。




