5-15 シークレット
1人の女の子……ブランカが告白されてるのが見える。
さあて、ダニエルを救うぞ!
今日はちゃんと助っ人を呼んだからな僕。
レンガの建物の影で僕の隣に立つ助っ人を見る。
「……」
「ケイト!来てくれてありがとう」
ケイトが僕の言葉に頷く。
「じゃあさっき言った通りの配置について欲しいんだけど────」
▫
前のループでなんで失敗したかって全部自分でやろうとしたからだ。
ってことで特殊詐欺専門の犯罪者グループへの牽制はケイトに任せるとして。今の時間は余裕がある。ダニエルとハルイを監視しつつ何しよっかな。
「最近僕って僕以外の人間と会話する機会がない……!」
僕が愕然としたようにそう言った。
言われてみれば確かに。僕は僕の自主性を尊重しているのかあまり会話に入ってこない。リエルは人間じゃないからカウントしてないのか。僕は……人間か?いや別にいいんだけどね?
正しい認識を持っていないと後で痛い目を見ると僕は知っているのだ。
アンナに渡すアクセサリーでも買いに行ってみようよ。『分かった』
アクセサリーショップを探すならやはり王都まで行きたいところ。ここから王都まではだいたい馬車で30分ってとこか。そんなに遠くないので行けなくもない。けどもうちょい近場がいいな。
追加装備はローブで隠してるのでたくさん歩こうが問題はない。
お菓子とか後腐れない方がいいんじゃない?と思わなくもないが、この前体育祭で忙しくしててご飯もろくに食べていないアンナにファストフードを作って渡したら、ゆっくり食べるべきか急いで食べるべきか悩んで眉間に皺を寄せながら食べていた。
なんというかすごく申し訳なかった。
アンナはアクセサリーなんていらないかもしれないが、引き出しの奥にしまってもらえれば言うことはない。
……さすがに売り飛ばしはしないよね?
とか考えて歩いていたら宝石店があった。こんなところに?まあいいか。
「たのもー!」
宝石店に入る。
女の人が1人いる。客として選んでいるようだ。
念願の人間だ、話しかけないと。『何を話せばいいんだ?』
僕ってば人とまともに会話するの久しぶり?『思い出してみろ。掘り起こされてから僕が表に出てきたのって何回だ?』数なら多いんじゃ……そう言えば単独で話してることってあんまないな。
『お姉さん可愛いですね、とか?』ダメに決まってるだろ。それではまるで僕が女に飢えているみたいではないか。『僕は中性だし、性欲も全くないぞ!……ごめんなさい。そういうことじゃないな』分かればよろしい。
「お姉さん、ちょっと良いですか?」
全然行かない僕にやきもきしたので、とりあえず月並みな言葉で話しかけてみることにした。
お姉さんと言っても僕より年下だろうけど。
「どうしたの?可愛らしいお嬢さん」
……。そういえば僕は一応女の子に見えなくもないのだった。
長らく男扱いしかされてこなかったから一瞬反応遅れた。
「お姉さんは僕に渡されるとしたらどういうものが欲しい?……僕は友達の女の子に渡すためのアクセサリーを探しているんだけどどうにも決めかねていて……」
「なるほど……無難にネックレスとかいいんじゃないかな?ほら、いつでも着けられるし!」
「ネックレス……」
絶対着けないのに?もっと心に残るような物にした方が良い気もする。
いや、アンナは結構律儀だから1回くらいは着けてくれるかな。
「お店の中でナンパをするのはやめてもらえる?」
奥から僕より40センチくらい背の高い人間が出てきた。
……異様な見た目の人物だ。まずデカイってところもそうだが、バチバチに化粧しているので迫力がすごい。この手のキャラは強キャラだと相場が決まっている。なんで本編と関係なさそうなこの宝石店にいるかは不明。でも本編とは関係なさそうなボスっぽいスペックの僕もいるわけで。油断はできない。
いや、僕にはループがある。いざとなれば自爆すればいい。
今回のループを抜け出せばいくらでもやりようはある。
「店長さんですか?お姉さん、付き合ってくれてありがとう」
「いえいえ」
動揺を隠しながらお姉さんに手を振って別れる。
お姉さんは別のショウウィンドウの方に消えた。
「ふふ……あのー、それなりに値段がするもので、かつ売っても大した金にならないようなものを渡したいんですけどおすすめはあります?」
「え?」
「やはりイニシャル入りがいいのかな?それともさすがに友人相手では重すぎるだろうか」
僕が聞く。
「……。え、本当に客として来たの?」
「え?」
「え?……ごめんなさい。シエルを叩きのめしに来たのかと」
……は?




