5-9 修羅場
「アンナ!えへへ僕今ブランカと話しててさ」
「見れば分かるよ」
「……。ブランカって7人も彼氏がいるんだって。すごいよね。って知ってるか、アンナはブランカと友達だもんね?」
「今から友達の縁を切ろうか迷ってるところだよ。ねえブランカどういうつもり?」
修羅場かな。
……僕が原因ってことね。あんまり上手くいく気はしないけどがんばろう。
「いつ見てもそういう仲になる様子がないし。私がもらってもいいかなって思った」
「いいわけないでしょ!」
「まあまあ落ち着いてよ。僕がもらわれることはないさ。僕はアンナの所有物だから」
「……」
アンナの目線がこっちに向く。良い傾向だ。
「ブランカと話してたのは単純にアンナの友人がどういう子か気になったからだよ」
「嘘つき。ルナちゃんやケイトちゃん、ハルイを見る時みたいな目で見てた」
「う」
救世主選出目線ですね!バレてる!!
「アンナが心配するようなことはないよ。だってブランカの8人目の彼氏は僕じゃないから」
「へっ?」
ブランカに向かって人差し指をさす。
「数日もしないうちに君は1人の男の子に告白されるだろう。そしてそれを承諾する。その彼にしばらく翻弄されるから僕のことなんてすっかり忘れるさ」
「え?」
「ふふん。僕は他人の好感度に結構目ざといんだぞー」
まあこれはループ前の知識なのだが。だからこそ僕に声をかけてくるなんてサラサラ思ってなかったし、彼氏が7人いることに驚いたのだ。だってその男子生徒なんかめちゃくちゃ重そうだったし……。なんでそのイベント把握しているのかって言うと、その告白現場の近くでダニエルがハルイを庇って殺されるイベントがあったからですね。そこで何回だっけ忘れちゃったよ、とにかくたくさんループした。僕がなんかしたってよりハルイががんばって犯人捕まえて勝手にループ抜けた感じだけどいやー大変だった。……またやるんだよなあれ。
「どの口が言うのどの口が!」
「ははは」
なんで怒られてるんだろう僕は。
「まあ気にしなくてもいいってことだよアンナ」
「……わかったよ。ブランカも次スティーヴに粉かけたら殺すから」
「怖。ん、スティーヴとは友人だしね」
「そうそう」
「いつの間に友人になってんの?」
怒るアンナをなだめながらブランカと引き離す。
ブランカを彼氏達のところの誘導しつつ、だ。ブランカに手を振って別れる。
「体育祭の仕事一段落ついた?」
副会長待ちで図書館で時間を潰していたけど結局来なさそうだったし。
とりあえず僕がやる分の書類は終わって後はアンナが管轄の先生のところ行ったりとかそんな感じの仕事しかない。何回もループしてりゃ書類仕事もすぐ終わるというもの。
「ついたよ。ジョンは……見つからなかったか」
「うん。図書館にいると思ったんだけどねー」
生徒会室に戻ると、仕分けされた書類の束が。
「知らない間に仕事してくれてる妖精さんなのかもしれないと思い始めてきたよ」
「俺の名前はピジョップです。ジョンなんて気色悪い略し方しないでください」
後ろから平坦だが剣呑な雰囲気の声が聞こえる。
少しはねた茶色の髪に緑色の目、整った顔だが今は不機嫌そうに眉を顰めている。彼こそが探していた我らが副会長ことピジョップだ。
「ピジョップ!僕ずっと図書館で君のこと待ってたんだよ?」
「スティーヴさんが見えたからこっち来たんです」
「えー、ひっど」
ちなみにピジョップは1年生だ。元の生徒会に彼とハルイしか残らなかったため自動的に副会長。
「仕事したらどうですか?」
「僕がやる分は全部終わったよ?僕ってば有能だから」
「相変わらず無駄に高性能なようで」
「手伝ってあげよっか?」
「いりません。仕事の邪魔なのでどいてください」
そうは言うが隈がひどい。寝た方が良くないか。
「まあ僕が代わるから1回仮眠とりなよ。なんなら僕が保健室連れてってあげよっか?我ながら良い考えだ。僕常連だもん」
「スティーヴさん男なんですからもんとか言わないでくださいよ……」
「えー?僕は可愛いからいいんだよ。ね、アンナ?」
「そうだね!」
「はあ……」
疲れてるなぁ。
「ハルイさんはどこにいるんです?」
「ハルイは君の後ろにいるけど」
「ええ!?」
「ずっと前からいたよ〜」
驚いてる……。てっきり一緒に来たんだとばかり思ってたのでちょっと驚きだ。




