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乙女ゲームのセーブ&ロードくんがあだ名のモブ?に転生したので平和に暮らしたい  作者: 神谷洸希
高等部2年生

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5-8 恋愛強者

「モテモテだねぇ」


 図書室でぼけーっとしていたらブランカと5人の男が見えたので話しかけてみる。


「当たり前。私は世界一かっこいいんだから」


 濃い茶色の髪をハーフアップにしていて、大人しい雰囲気のお嬢様ってイメージだったので予想外の発言。僕が思わず言葉につまると僕が口を開く。


「それは聞き捨てならないな。世界一かっこいいのはこの僕だとも」


 そういう風に設計されたからな!とは僕の言。

 うーん。そうかぁ?まあ整ってるとは思うけど華がある感じじゃないし普通の域を出ない気がするんだけど。普通に可愛いってのがこのスティーヴの見た目の魅力なわけで、とか前世は外見だけで好きだった僕は思ったり。


「?貴方はかっこいいって言うより可愛いって感じゃない」


「……。僕が世界一可愛いのは当たり前だからな」


 多数の人間の顔の平均を取ると美形になる。つまり世界中の男性女性の顔の平均を取って構成した僕の顔は超かっこよくてかわいい!と僕が言っていた。なんか納得できないけどそんなもんかなと思った僕は黙った。その結果が今である。……相手もあんまり気にしてないっぽいからいっか。


 てかさ、僕。

 もしかしなくても攻略されかかってないかい。

 僕と僕は好みが近い。とはいえ少々異なるところもある。見た目の好みなんか顕著だが、それ以外でも僕はかっこいい女性に世界ごと自分自身が救われるのを期待している節がある。


「うん。可愛い」


「何を今更」


 ま、満更でもなさそう。

 ……。僕が交代するか。


「友達になった記念にさ、僕に付き合ってくれないかな?図書館デートってやつ?」


「……不思議。雰囲気が一気に変わった。違う人みたい」


 す、鋭いな。

 他の5人の男達は仕方ないなという様子で見送っている。リエルはブランカから上手くやるコツ学んだ方がいいんじゃないか。



 ▫



「ちなみに僕の何が気に入ったの?」


「顔」


「あはは!まあそうだよね。ほとんど初対面だし」


 図書室なので小声で笑う。


「その目が好き」


「ふーん?ちなみにこれオススメの本ね」


「へーなんでこれにしたの?」


 各種経済誌の盛衰が書かれた本という謎の選び方をしてみたのだが、あっさりかわされてしまった。できるなこの女。


「賢い女が結局1番モテるからさ。ってことでどう?ブランカが今求めてる本ってこれなんじゃない?」


 ってことで適当なことを言ってみる。

 1番モテる女が実際どんなんなのかは興味ないから知らない。


「スティーヴは賢い女、好き?」


「うん」


 賢くないよりは賢い方がいいんじゃないかな。多分。


「じゃあこの本、読むね」


「わーい」


「……もしかして適当言ってる?」


「バレた?」


 ははは。

 僕より少しだけ背の高い少女の目を見て笑いかける。


「オススメなのは本当。僕が読んで面白いと思ったからね。勉強になるかどうかって?そんなこと気になるなら教科書でも読んどけばいいんじゃない。あはは」


 話しやすくていかんな。


「分かった。読む」


「ふーん?」


「仲良くなるためにまずあなたを理解しろってことでしょ?」


「……かもね。君のおすすめは何かある?」


 普通にデートになってるわ。怖い。彼氏が7人いる女は違うなぁ。


「これ」


 おお。ちょっと前に流行った恋愛小説だ。


「読んだことあるよ」


「面白いよね」


「……うん」


 面白かった、のかなぁ?僕にはよく分からなかった。

 恋愛小説という括りの本でもたまに楽しめるものが紛れてたりするので、ろくな目にあわないと分かっていても一応読んでみることをやめられない。


「もしかして面白くなかった?」


「まあね。僕はね。ターゲット層じゃないんだろうなって思ったよ、うん」


 恋愛小説は、他の要素を排除し恋愛そのものを効率よくピックアップしているものが多いので、そこを楽しめない人間にとってはマジで楽しめる要素のない文字の羅列と化す。端的に言えば苦行。僕なんて最初からお呼びではないのだ。


「こういうのよく分かんないんだよな昔から」


 多分うっすく恋愛感情自体はありそうなんだけど希薄すぎて身近じゃないみたいな。そっちの方が生きるにはちょうどいい気もしているけど、楽しめるはずのものが楽しめないってのは辛いものだ。


「君が教えてくれたりするのかな?なんてね」


「そのつもり」


「おっと」


 恋愛強者だ。すげぇ、尊敬の念すら覚えてきた。


「ブランカ?」


 平坦な声が聞こえる。

 ブランカの顔が硬直している。

 僕もブランカの目線の先を見ると、アンナが微笑みながら立っていた。




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