5-6 予言書
◇◇
「なんなんだあの子は!」
僕は魔王にもう一回聞いてみることにしたようだ。
そもそもあの女が僕に話しかけてくるなんて聞いていない。
「……まぁ、スティーヴ最近すっげぇ目立ってるから攻略しに来たんだろうな」
「そんなに僕目立ってるの?」
僕が目を見開いて驚いたように聞いた。僕も気になる。
「目立ってるぜー。そもそもお前の顔って普通に見えてよく見るとめっちゃ怖いからな。俺は好きだけど。元々アンナの怖いガードマンって扱いを1部でされてたんだが、体育祭のあれと元老院所属の噂、1番はやっぱ目にする機会が増えたってことだな」
「……保健室帰ろっかな」
そもそもテスト2位3位常連でもあんなこと起こらなかったわけで、体育祭でちょっとはしゃいだくらい大したことは起こらないと踏んでいた。なるほど、授業に出るとこういう弊害が……いやおかしくない?
「まぁ待て。俺もお前に言われて先代魔王の部屋とか色々探したんだぜ?ちゃんと見つけて来たぞ、先代魔王の予言書!」
「は?有能か君は」
「もっと褒めるがいいぜ!」
高笑いする魔王をぼんやりと見る。こいつに感謝したいと思ったのは初めてだ。
「謎解き解けなくて取り出せてねえのたくさんあるけど」
……それは後々僕が見に行こう。
「期待しろよ。じゃーん」
几帳面な字が書かれた緑色の表紙の本を懐から取り出す。
「ほい」
「ん」
ペラペラめくっていく。どうやら僕についての予言が書いてある本のようだ。もう終わってる話の方が多いな。む、エリスの話も書いてある。もっと早くに教えてくれれば良かったのに!
「予言書によるとお前の怒りを買って病死ってことにされて消されることもあるみたいだな、アンジェリカ。まぁ実際弱いくせに見えてる地雷を踏みに行くのは大したメンタルだよマジで」
……どういう状況なんだ。
予言はものによって実現する確率が違うと先代魔王も言っていた。アンジェリカに関する予言は低めなのだろう。
「この本仕掛けがあってな?好きなページに手をかざして魔力を込めると映像見せてくれるんだ。俺はこのページが大好きなんだよ、お前は目元に影が入った描写をされていて顔が分からないんだけどアンジェリカに声をかけられた瞬間恐ろしい笑みを浮かべるんだその後いつも通り教室のカットでアンジェリカの病死が伝えられる……」
「ふうん」
魔王息継ぎしてた?別にいらないんだろうけど。
「ちなみに俺に頼ってカーペットになるルートもあるみたいだな?」
「へえ」
怖いから詳しくは聞かないでおこう。
魔王の本も見つかった感じか?
「僕のことどこまで知ってんだろうね。旧校舎で声かけられたのはさすがにビビったよ」
「こわ〜」
怖いのは君だよ。
「アンジェリカはな、俺が男に話しかけに行くと妨害してくる、いや、靴屋の息子と話すのはむしろ歓迎してんのか?俺だけなら良いんだが、ハルイとか相手でも基本的には邪魔してくるやなやつでな……良さげな男が他の女に目がいったら困るんだろう、キープしておきたいから」
「結構良いキャラしてんね」
「やっぱお前趣味悪いよな」
うるさいな。
「そう思うとアンジェリカと言ったか?なかなかいい視点を持っているようだな。アンナの部下になる僕に真っ先に頼るのはわかっている……ん?そういや未来によっては僕の怒りを買ってるって言ったか?」
「おおー裏だ。お前らの人格切り替えスイッチどこにあんの?」
「?僕は話したい時に話しているだけだぞ」
アンジェリカが僕の怒りを買うのもなんとなく分かる。
おそらく救世主候補であったハルイを酷い目に合わせる・権威に弱いくせして僕の立場までは把握しきれていない……このあたりと、あとは。
「それでアンジェリカは僕にいったい何をしたんだい?」
「ああ、確かこう言ったんだ、『貴方のためならなんでもします。ですから私のために弟達を助けてください』」
なんかストーリーありそうなお願いだなぁ。
「なるほどね。僕が想像するに、それは怒ったんじゃなくて願いを叶える最短ルートを使ったんだ。……いや、怒ったのも本当だと思うけど」
「は?」
「んー、ま、怒ったから強引な手段に出たっていうのが正解だろうなー、僕としては。病死ってことにすると保険金出るだろ?あと僕が隠蔽するために金払うだろ?ついでにやらかした僕に貸しまでできるってわけ!いやさすが僕!最高だな!」
「ああ……この思考回路が理解できない感じ最高にスティーヴだ……」
魔王がニヤニヤしている。
正直きも、いやなんでもない。
「でも殺したんだろ?」
「当たり前だろ。僕を利用しようとする態度がムカついたし。いや、知らないけど」
「お前さては今からでもやるつもりだな?」




