5-2 傍観者
「ハルイじゃん……僕達どんな関係だったっけ……」
僕は生徒会室に置いてあった書記の席に座り、机に全体重を預けた。アンナは誰かに呼ばれて走ってどこかに行ってしまった。
「情報を出し渋ってきた意味深なお兄さん?」
「君の認識そんな感じなわけね。僕、いやお兄さんはなんでも知ってるわけじゃないから聞かれても困るよー」
ぐでーっとしながら言う。
お兄さん呼びとか初めてかも。ほら僕、男として見ると低身長だから。
「エリスが言ってた傍観者気取りの出歯亀ってあなたのことでしょ」
「いやエリスもそこまでは言ってなか……あっ」
僕!?流れるように自白するな!!?
「僕娯楽として消費してないし別人じゃん?テオ先生見つけるよう指示したの僕だぞ?」
諦めて、せめて好感度が上がるよう話をすることにした。生徒会でずっと一緒に仕事するわけだしな……。
「え。グレイを派遣してくれたのスティーヴだったんだ。ありがとう助かったよ」
「や、それは違う。そもそも管轄が違うって言うか。……まあいいや、とにかく君は結構センシティブな立場なんだからあんまりグレイを困らせないようにね」
詳しく説明すると、グレイがずっと護衛してることも説明しなくちゃいけなくなりそうなので適当なことを言ってお茶を濁す。なんだかんだ顔見知り程度になってそうなのやるなグレイ。
「そういやスティーヴはなんで生徒会に?こういう体力使いそうなの1番やらなそうだけど」
みんなその認識なの?
「ほら、保健室にいること多いし」
違った。
「アンナ。えーと、生徒会長に頼まれちゃってさ」
「なんで了承したの?」
「なんでって……アンナは僕の恩人だからさ。アンナのためなら“なんでも”したいと思ってる」
「なんでも?」
「はは、そこ聞き直す?なんでもだよ、なんでも。世界を滅ぼしてってアンナが言ったらすぐにでも滅ぼすよ僕は」
「そこまでする恩ってまるでピンと来ないけど」
「ははは」
信じてないな〜?
まあアンナはそんなこと言わないだろうから意味の無い話だ。アンナの願いは日々を楽しく平和に生きること、なのだから。
「ハルイはどうなのさ」
「へ?」
「生徒会に入った理由」
「ああ。うーん、公約に感銘を受けたから、かな?」
「え〜」
「あと、檻から出されたライオンって呼ばれてる会長が私に頭下げてきたのが衝撃すぎて頷いちゃった」
アンナそんな風に呼ばれてんの?……まあナメられたと判断したら即噛みつきに行くし猛獣感はあるか……?
「スティーヴ!ただいま」
アンナが帰ってきたので姿勢を正す。
「おかえりアンナ!」
「ん?ハルイと仲良くなったの?」
「仲良くなったってか元々同じクラスだったし」
「ふーん……?」
アンナがちょっと怒ってるな。なんで?
「ハルイって結構話しやすいし頭いいし、良い子見つけてきたよね。さすがアンナ」
「……。うん、私は見る目あるから」
とりあえず落ち着いたようだ。
「会計は決まった?」
「決まってないよ。いなくてもいいと思ってる。口だけ出して何もしない貴族連中いれるよりはよほどいいかなって」
「私も貴族、なんですが?」
「そうだったね。でもハルイには期待してるよ」
「どういうことですか……」
ハルイがアンナに対して敬語なのは気になるが、確かに悪い関係ではないようだ。
「そういえば副会長はどこに」
「あーそれねー……まあしばらくしたら会えると思うよ」
意外と真面目なんだなハルイ、と思いながら僕は答えた。




