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「どう思うよ僕「どうと言われてもな」」
リコリスに関する衝撃的内容を読んだ僕はあのままケイト達と直帰した後、頭の中を整理するために寝た。で起きた。頭の中?なんにも整理されてないね!
「ルピーはあれを知っていてそれでもリエルに殺されることを選んだ、ということか?」
僕がポツリと言う。
先代魔王と仲良かったみたいだから思うことでもあるのだろうか。
「さあね。リコリスの話を見る感じ、途中でやめた、かもよ?」
言っててないな、と思った。どうやったらこのゲームをやめられるのかさっぱりだったから。
「そうだろうか。そうだったらいいが……「らしくないなぁ。それより対策考えないと。リコリスは解決する道筋があるとしても、僕の予言書にはなかったんだから」」
「どうしたの?」
鏡を見ながら真剣に話していたから後ろから近づいていたアンナの存在に気づけなかった。声をかけられてようやくアンナがそこにいることに気づく。
「い、いや……会話の練習?だよ。ほら口の動かし方とか違和感あるといけないからね」
「そんなことしなくてもスティーヴはお話上手だと思うけど」
「それはありがとう」
どれだけ僕が動揺しているか、という話だな。
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「まず、向こうに声が届かなければ意味が無い。どっかで繋がる場所あると思うんだけどなぁ「前言ってたマジックミラーみたいにこちら側からの行動は受け付けていない可能性ないか」マジックミラーってそういうんじゃないよ。まあないでしょ。僕個人がこのゲームやる動機もないわけで。多分誰かに頼まれたんだと思うんだけど……」
全く見当もつかない。
「……バグと言えば魔界だと思うんだが全く関係が無さそうだった。「そもそもそういう設定っぽいし」そうだな。とりあえず僕の心当たりを手あたり次第に試したいところだ。「あのさ。まだ回収してない追加装備、多分あるよね。それ一緒に回収しに行かない?」……」
僕が黙り込んでしまった。
「なんで僕への記憶の共有を渋るのさ。僕と僕は同一存在だろうが「……はあ。それはそうだけど。……」何かあるの?「何も無い。何も無いから答えられない。と、言いたいところだがそうだな。恥でしかないが答えよう」」
珍しく意思のこもった声で僕が言う。
「僕はな、話し相手がほしいんだ。寝ている間に昔の友人達はもうとっくに死んで、僕だけじゃ対処できない何かに巻き込まれて、ずっと一人で」
鏡の前でないから表情はうかがえないが、普段のどこか芯のある言動でなくポツリポツリと話す様子からしてその言葉が本当であると示しているような気がした。
「もう限界だった。だから僕は未来の自分を僕にインストールした。裏技みたいなものだ。過去の僕と未来の僕。どちらも現在の僕ではなく、両方本来存在できないはずだからこそ同じ時に存在できる。初めて試したが上手くいって良かった……いや、上手くいかなかったからお前と会えたのかもな、僕」
ああ、そうだ。僕はループに巻き込まれた時、すぐそこに僕がいた。だからこそあまり狼狽えずに行動できていたのかもしれない。
僕は昔から自分の考えを言葉に出すのが苦手だった。人を頼るなんてもっと苦手だ。それはきっと僕も同じで、だから僕は僕を必要とした。
「うん。でさ、それを可能にした装備あるよね?」




