6-10 代わり
「ハルイ、どうしたの?」
「どうしたの、じゃない!?なんか私の元に貴族たくさん来るんだけど!?」
「それは……知らないな」
ハルイが急に掴みかかってきてなんか言われたけど、本当に僕が何も知らない話だった。
「先生のとこに来た木っ端貴族どもを露払いした記憶はあるけど、ハルイの元に送った記憶もないし。うーん王家の関連じゃない?血の気多いし」
剣幕で勝手に襲撃だと思ったがそうとも限らないか。
「なにそれ?……その話も後で聞くけど、そうじゃなくて。スティーヴが私こそ真の王だとか言ったから来たって貴族が次から次へと何が何だか」
「あーね」
僕がなんか言ってたねそんなこと。
「スティーヴって何者なの?」
「なんだろーねー……まあ僕の王認定とか本気にしてないと思うよみんな。面白半分じゃない」
建国の時に付いてた人結局王にならなかったみたいだし。
「……確かにそんな感じだったけど。一目見てやろうくらいの人多くて」
「でしょ?一過性のもんだよ。「不用意に言ってしまったのは謝る」」
「ならいいけど……で結局何者なのさ」
「そういやハルイ、最近レイヴンとよく一緒にいるよね」
「誤魔化されないよ!?」
愕然とした顔で返される。
うーん質問したいならさっさと答えた方が良さそうか。
「ちぇ。まああれだよ、僕って結構おじいちゃんなんだけど、一応この国の始まりも見てるからさ。多分そんな感じ」
「へー……そう言えば言ってたねそんなことも。あんまり信じてなかったけど。あ、レイヴンとの話は別に大したことないよ。なんか父親が契約していた悪魔のいくつかがそこそこヤバい悪魔だったらしくてリエルに協力頼んだら解決したから」
「え?」
リエルを見る。
いつも通り取り巻きの話を聞いてガハハと笑っている。
「まあレイヴンの父親は悪魔に代償として持ってかれたけど、そんなの自業自得だしね」
「そうなんだ」
あの人魔界に連れてかれたか……そうかー……。助けるべきか?悩むな。
「何?俺の話してた?」
リエルが近寄ってくる。
「してた。レイヴンの父親って今どうなってるの?」
「さあな。おそらく今頃全身の皮でも剥がされてる頃だろうが……安心しろよ?悪魔にはきちんと回復手段もあるんだ。元通りにするかは知らんが代償を払いきらんまま殺しはしない」
何も安心できる要素ないんだが?
「ちなみに代償払いきるまでに何年かかりそうなのさ」
「数が多いからな。ネチネチ責めるのが好きなやつもいるわけで。伏竜卿なんか100年は離さないんじゃないか」
「そ、そうなんだ……」
寿命とかどうなってんだろうな。悪魔はその辺引き伸ばせたり……しそうだな。
とはいえせいぜい30年とかだろうに、そんなに悪魔と契約して何がしたかったんだ?一体強力なのと契約すれば国家転覆くらいはできそうなもんだけど。
「子どもを使えば代償を踏み倒せると思ってたみたいだな。特にエリス、あいつは魔界の中で存在感があった。ことが起こるまで気づけなかったのが悔やまれるが、とにかくアイツに知恵と力を借りながら代償を踏み倒してたらしい。そんであれだ」
「なるほどねー。大変だねぇ色々と」
「……私さっきの話聞かなかったことにしていい?」
「ん?」
「いやほら魔界で何されてるかみたいな」
罪悪感でも湧くのだろうか、ハルイが焦った顔をしている。
「いいんじゃない別に。なんならリエルに忘れさせてもらえばいいさ」
僕がそう言って首を傾げた。




