アストレア王国へ。4
振り返るとアリサは小さな声で言った。
「……なんか寝れないわね」
「そうだね」
「ねぇ、リオン。あたしのこと……どう思ってる?」
アリサのルビーのような赤い瞳が俺の顔をじっと見つめている。
頬を赤らめながら潤んだ瞳で、少し緊張した面持ちでこちらの言葉を待っているようだ。
「そうだなぁ……アリサはかわいいし、優しくて頼りになって……今も他国への潜入調査に協力してくれている」
俺は緊張しているアリサの目を見て言った。
「……アリサはすごいよ。僕ならこんなに危険なこと、頼まれても協力できるか分からない。どうして一緒に来てくれたの?」
「それは、お父様が心配っていうのもあるけど……やっぱり、リオンがみんなの事を考えて動いてるから、あたしも手伝いたかったの。守られてばかりだと嫌でしょ?」
アリサは笑顔でそういうと、思い出すように目を閉じながらゆっくりと言葉を続けた。
「……リオンとダンジョンの最下層に転移して黒竜と戦う時、あたしは死んじゃうかもって思ってた。諦めたの……でも、リオンは諦めなかった。あたしを助けてくれたわ……だから、あたしもリオンを助けたい。恩返しなんて大そうなものじゃないの、ただリオンを助けたい。リオンの力になりたい。そう思ったからついてきたの……リオン」
アリサはそう言って優しい微笑みを浮かべると、俺の体に腕を回した。
アリサの腕が俺の体を引き寄せるようにして体を密着させると、アリサの体温が伝わってくる。
「あたしはリオンが好き……」
「僕もアリサのこと、好きだよ……」
「ふふっ…………うそつき」
「えっ? なんて?」
アリサの言葉が聞き取れなくて俺が聞き返すと、アリサは悪戯な笑みを浮かべる。
「なんでもない……ねぇ、リオン。今日はこのまま寝てもいい? リオンを感じてたいの、安心するから……だめ?」
「アリサがそうしたいなら俺は構わないよ」
そうアリサに言うと、いつの間にかアリサは俺の腕の中で寝息を立てて眠っていた。
安心しきった寝顔を見せてくれるアリサに微笑みながら俺も眠った。
翌朝。俺とアリサは起きて食事を終えると、身支度を整えて街を出た。
「昼は僕がアリサを運ぶから、アリサはゆっくりしてていいよ」
「えっ? でも、リオン……だって、魔法が……」
「アリサみたいな魔法は使えないけど、僕にしか使えない魔法があるからね!」
俺はそういうと、アリサの側に向かって行くとそのままアリサの体をひょいと抱え上げた。
「ちょ……ちょっ! えっ! ええっ!?」
抱き上げられたアリサは顔を真っ赤に染めながら慌てたような声を上げる。




