アストレア王国へ
星が降りそうな夜空を進んで行く俺とアリサ。
アストレア王国へは馬で10日近く掛かる。
空を飛んでいるとはいえ、数日は掛かるだろう。途中の宿場街なども多く、食事や宿などには困らない。
とりあえず。俺とアリサは一番近い街へと向かう。
「今日はもう遅いからこの街に泊まるとしよう」
「ええ、それがいいわね。あたしも飛行に魔力を使ったから、さすがに疲れ…………ぐぅ〜」
アリサは魔法を使いっぱなしだったからか、相当体力も魔力も使っているのだろう。彼女は地上に降り立った直後、安堵したのかそのお腹から大きな音が鳴り響き顔をりんごのように真っ赤に染める。
「…………」
「さあ、話は後にして食事にしよう! アリサも疲れたでしょ? お疲れ様。あそこのお店に入ろう! 美味しそうな香りがここまで漂ってきてるしね……」
「…………コクンッ」
顔を真っ赤にしながらアリサはうつむき加減に小さく頷く。
地上に降りて街に入るとまずは腹ごしらえをしようと近くの料理店に入った。
そこは酒場も兼ねている場所だったが、とても美味しい匂いが店内から漂ってくるので食欲を刺激される。
そして席についてメニュー表を見ると値段も手頃でどれも美味しそうだ。
この店は肉料理がおすすめらしい。複数のスパイスを使ったステーキが定番のメニューなのか周りもそれを注文している者が多い。
俺はそう決めて店員を呼ぶと注文をする。
「僕はステーキにしようかな……アリサは?」
「……あたしもリオンと同じのを食べたい」
アリサはメニューを置くと、少し恥ずかしそうに上目遣いで俺を見る。
その仕草が可愛くて思わずドキッとしてしまう。
俺は慌てて視線を逸らすと店員に同じものを二つ頼んだ。
しばらくして運ばれてきたのは表面がカリッと焼き色の付いた分厚く大きな肉の塊に、たっぷりのソースがかかったステーキだった。
付け合わせの野菜と共に皿に盛られているそれは見るからに美味しそうだ。
アリサのは事前に細かくカットしてもらってカットステーキのようになっている。
目の前のステーキに俺もアリサもキラキラと瞳を輝かせる。
早速ナイフを入れると簡単に切れるほど柔らかい。フォークで刺して口に運ぶとジューシーな肉汁が溢れ出し旨味が広がる。
一緒に添えられていたパンにソースを付けて食べるのも最高だ。
まあ、贅沢を言えばこれに真っ白いご飯があれば言う事ないのだが、前世の日本ならまだしもここは異世界だ、そんなものはない。
付け合わせのテールスープも牛の旨味が染み出していて美味しい。
俺とアリサはあっという間に完食してしまった。




