大規模な戦争3
俺はそれを見てため息をつくと、レイラに向かって言った。
「レイラ。お前は帰れ……遊びじゃないんだ。俺は連れて行く気はないぞ?」
「いや! リオンが行くのに、私だけが置いてかれるなんていや!」
「ダメだ。もしなにかあったらどうする! 帰るんだ!」
俺とレイラが言い合っていると、アリサがそこに割り込んでくる。
「リオン。帰るって言っても、一人で森の中を抜けて行くのは不可能よ。ここまで来ちゃったなら仕方ないわ……」
「ありがとう! アリサは優しいから好き!」
レイラは嬉しそうにアリサに抱きついた。
まあ、確かにアリサの言う通りだ。レイラを一人で魔物の住む森の中を帰らせるわけにもいかないし、だからと言って俺達が一緒に帰ったら戦争に間に合わなくなる。
ここはレイラも連れて行くしかないだろう……
「分かった。だが、レイラは僕達から絶対に離れないこと! いいな!」
「はーい」
レイラがニコニコと笑いながら返事をするのを見て、俺は頭が痛くなって額を押さえた。
エルロンドは俺達に向かって言った。
「これからは平野を進みことになる。このまま進んだら兵士達にばれてしまうからな。そこで俺の魔法が役に立つ!」
そう言って不敵な笑みを浮かべると魔法を詠唱する。
「光よ。我が姿を全ての者の目から覆い隠せ! インビジブルフラッシュ!」
俺達の周りを光が覆い隠すと、何か変わったような感覚はない。
「これは光の屈折を利用して外からは俺達を認識できなくする魔法だ。これを使っている間は他の魔法との併用は出来なくなる代わりに隠密行動が可能だ」
「こんな魔法があったなんて……エルロンド様。すごいですね」
「光魔法への適性を持っているのは少ないからね。意外と便利だが倫理的に使うタイミングは少ないから」
エルロンドはそう言って苦笑いを浮かべる。
その後、俺達は部隊の前の方に行くと、立派な旗を掲げる部隊の近くまできた。
旗もそうだが、規模と鎧の豪華さから見てここがランベルクやグランツのいる本陣だろう。
俺達はばれないように高い丘の上に陣を構える布で簡易的な建物へと忍び込んだ。
そこには木の机の上に地図を広げて、騎馬の模型や兵士の模型などと睨み合って難しい顔をしているグランツとランベルクの姿があった。
「師匠。斥候からの報告によると、やはり新兵器などの目新しいものはなかったとの事。奴等は何故このタイミングで仕掛けて来たのか全く分かりません」
「うむ。そうか……兵の数は向こうが多いが、魔法も使えない雑魚共だ。戦いが始まればいつも通りにこちらが優勢となるだろう……我が息子を暗殺しようとするなど許せん!」
「はい! 我が娘のアリサ。国王陛下の長子のエルロンド様も命を狙われました。今回の戦で奴等を完膚なきまでに叩き潰し、二度とあのような舐めた真似をさせないようにしなければなりません!」
ランベルクとグランツの瞳には怒りの炎が宿っているように感じた。




