大規模な戦争2
グリズリーキングの反応速度は早く、すぐにエルロンドに向かって鋭い爪を振るう。
エルロンドはそれをかわすと、一気に距離を取って魔法を詠唱する。
「エルロンド様。サポートに入ります!」
「大いなる大地よ。我が呼びかけに応えて敵を貫く槍となれ! アースグレイブ!!」
俺はグリズリーキングをその場で足止めすると、エルロンドの放った魔法で地面から飛び出す無数の鋭利な岩がグリズリーキングの体を貫いた。
グリズリーキングは断末魔の咆哮を上げるとその場に倒れ込み、激しい息遣いで痙攣を始めてやがて絶命した。
「ふう……何とか仕留めることができたな」
「はい。さすがですね……」
「いや、リオンのサポートがあったからだ。一人ならこっちがやられていた」
エルロンドは微笑みを浮かべながらそう言うと剣を鞘に収めた。
俺とエルロンドは互いに笑みを浮かべると、拳と拳をコツンと合わせる。
その後、森の中を進むと夜が明けて太陽が顔を出す頃、森を抜けて遠くに軍勢の姿が薄っすらと見えた。
「エルロンド様。あれを見て下さい! 軍の最後尾が見えましたよ!」
「ああ、やはり大軍での行軍は足が遅いな! 半日もしないで追い付くとは……」
俺は軍勢を指差してエルロンドに言うと、彼も安心したように微笑みを浮かべた。
その直後、後方からガサガサと茂みを揺らす音が聞こえ剣に手を掛けて振り返る。
「……えっ!? リオンに……エルロンド様!?」
「なっ……アリサッ!? なんでここにっ!?」
俺は突然現れたアリサに驚き目を丸くしていた。
だが、それは彼女も同じようで、俺たちの姿を見て目をパチクリとさせて固まっていた。
「アリサ。まさか今回の戦争に参加するつもりか!?」
「……うん。お父様も心配だし、それにあたしも戦えるから、少しでもお父様と国の役に立ちたくて……」
「君は女の子だろ? わざわざ危険に飛び込まなくても……」
エルロンドのその言葉にアリサは少し不機嫌そうな顔をする。
「女だからってなんだって言うんですか! あたしだって日々訓練してますし、エルロンド様に負けたこともないです!」
「……すまない。軽率な発言だった」
エルロンドは素直に謝ると、アリサは微かに笑った。
「いえ、エルロンド様が心配してくれてるのは分かっていますから」
「まあ、アリサなら大丈夫ですよ。レイラがいたら大変ですけど……」
その言葉の直後、急に木の枝が折れて聞き覚えのある声がした。
「……いてて」
「レイラ!? なんでレイラがいるんだ!?」
「あはは……来ちゃった」
地面に打ったお尻を撫でながら、レイラが笑う。




