暗殺者の来襲5
「リオンよ……今回の事件。誰が狙われたか分かっているか?」
「……はい。分かっています」
王様は俺を諭すようにたずねた。
俺にも分かっている。今回の襲撃は間違いなく俺の命を狙ってきたのは間違いない。
エルロンドを狙ったなら、負傷した直後に一気に彼を狙ったはず。
しかし、エルロンドに目もくれず俺を狙ってきた。
アリサを狙って来たのも魔法を封じたアリサが最も弱い。だからこそ、アリサを狙ったのだろう。
それにアリサを攻撃すれば俺に隙ができるかもしれないと考えたのだろうが、予想外に俺が強かったことで作戦が崩壊しただけだ。
「今回の襲撃を企てた者達の目星はついておる」
「……誰ですか?」
「我がグランベルンと争っているアストレアだ。あそこは魔法を使えぬ異端の者達が住む国だが、向こうは魔法が異端であるという考えを持っている……リオンよ。お前は魔法を使えない無能力者と国で噂になっている」
王様は頭を抱えてため息を漏らした。
「すまぬ……私が愚かだったのかもしれん。奴らはリオンを新たな戦争の火種にしようとしたのだ」
「僕を戦争の火種に……あっ、そういう事ですか? 僕が無能力者だからその実力を探る為に刺客を差し向けた。なら、刺客を倒したのは間違いでしたね……」
そう。刺客にとって無能力者……つまり、魔法を使えない人間は異端の街に居てはならない。
それは自分達が魔法使いを異端と定めているからだ。もしも、異端の者を敵国が手厚く保護していると知れれば、話し合いで解決できるという希望が生まれてしまう。
だが、争いとは領土の奪い合い。それで儲かるシステムがあるのも事実だ。
つまり、両国が友好な関係を築いてもらうと困るということだ。
だから、刺客は俺を狙ってきたわけか……だが、返り討ちにしたなら敵国の刺客を使者に置き換えて国内で発表すれば、両国の友好のための使者をこちらが殺したと言い回れる。それを火種に戦争を起こすつもりだな! 汚いやり口だ!
俺は憤って拳を握り締める。
「王様! 敵はすでに兵士を揃えているでしょう! こちらの準備はできていますか?」
「ああ、無論。戦争の準備は整えている。既にランベルクとグランツに兵を率いて国境まで行かせている」
「父上が……ならば、安心ですね」
俺はランベルクが出陣したと聞いて安心してホッと胸を撫で下ろした。
ランベルクがいれば、敵軍の大群を追い払うくらいは余裕だろう。
しかも、弟子であるグランツも一緒だ。負けるということはないだろうが……
「なんか胸騒ぎがします。なぜ、アストレアはこんな強行なやり方をとってまで戦争を急いだのか?」
「確かに……妙だな。魔法を使えない奴等にとって、広範囲の魔法で蹴散らされる我が国に戦いを挑むのは被害が大きくなる」
王様が考える仕草をしながら俯くと、エルロンドが口を開いた。
「父上。魔法を無効化できる技を彼等は使いました。それがあれば我が軍の攻撃力を削げると思ったからでは?」
「ありえん。それは以前からあるが、広範囲には魔法除けの結界は貼れないはずだ。決闘くらいの範囲なら使えるが、戦クラスの戦闘では使えない」
王様の話を聞くと、戦争を起こす理由が分からない。
だが、このタイミングで戦争を起こすなら勝てる材料があっての事だろう。




