アストレア王国の王城に潜入。4
「……あたしを抱えて跳んで!」
「だけど、僕でもこの高さは飛び越えられない」
「大丈夫。あたしに任せて!」
俺は自信満々に言ったアリサを信じてアリサの体を抱き上げて全力で跳んだ。
だが、やはり城の城壁を越えられるには足りない。
「ダメだ! やはり足りない……」
「風よ。我が体を運べ、精霊の加護を我が体に……ウィンドブースト!」
アリサは詠唱して風魔法を発動する。
「魔法はまずい……素性がバレる……」
「大丈夫! 風を蹴って進んでるように見せて!」
「分かった」
俺は言われるがまま、空を蹴っているように見せた。
すると、地上にいる兵士達の声が聞こえてきた。
「空を蹴って進んでいるぞ! 魔道具持ちか!?」
「魔法なら飛べるはずだ。あんな事をしないと発動できないなら魔道具だろう!」
「侵入者は魔道具持ちだ! 他の兵士達に徹底しろ!」
兵士達は城壁を越えた俺達を見上げて叫ぶ。
城壁を越えた俺とアリサは王城に潜入する。
だが、派手に潜入した事で王城の中にも兵士達が走り回っている。
俺もアリサもなるべく見つからないように隠れながら進んだ。
「……ごめんね。隠れながら進むことになって」
「いや、アリサは悪くない。それに潜入するならこうなるのも予想通りだ」
申し訳なさそうに言ったアリサに俺は微笑む。
兵士達に追いかけられるのはこれはこれで、前世でやったシューティングゲームみたいで楽しい。
この世界にはダンボールはないが、それでもかくれんぼしているような感じがする。
俺達は城の中の廊下を走っていると、兵士が曲がり角から飛び出してきた。
「お前達か! 城に侵入した不審者は!」
「……やばっ! どうしよう……」
「大丈夫。ここは僕に任せて!」
俺は武器を持っている兵士に向かって走ると、そのまま身体強化魔法を使って拳で吹き飛ばす。
「ぐっ……子供に……ばかな」
兵士はそのまま気を失った。鎧には俺の拳の跡がくっきりと付いている。
「どうだ! 素手で僕は強い!」
「さすがリオ……アイね!」
アリサは兵士を吹き飛ばした俺を見て笑った。
だが、そのせいで王城内は大混乱に陥っていた。
「侵入者だ! こっちにいるぞ!!」
「やばっ! リオ……アイ! 隠れるわよ!」
兵士達は走り回って俺達の方へと向かってきた。
アリサは咄嗟に鉄製の重い扉を開けると部屋の中に入った。
そこには金髪に紫色の綺麗な瞳の女の子が美しい青いドレス姿で立っていた。
「……あなた達はどなたですか?」
怖がって怯えているように体を小さく縮める8歳くらいの女の子は瞳に涙を溜めている。




