アストレア王国へ。6
暫くしてアリサが上がって来ると、タオルで体を拭いて、水を吸った赤く長い髪を束ねて絞ると、髪を乾かすために火魔法と風魔法で温風を当てている。
彼女は脱いだ服に着替えると、俺の隣に腰掛けた。
「リオンも入れば良かったのに……後で後悔したってしらないから」
「いいよ。僕は……さあ、気がすんだだろ! 行くぞ!」
「うん! なら、だっこして!」
俺は水浴びしていたアリサの姿を思い出して恥ずかしそうに頬を染めながら立ち上がると、両手を広げて笑顔で俺を見上げるアリサを、再びお姫様抱っこして走り出した。
抱き上げながら走るのに慣れたのか、アリサは俺の首に腕を回したアリサは満足そうな笑顔を浮かべながら上機嫌でいた。
しかし、抱いているアリサの体から完全にお風呂上がりの時のシャンプーと石鹸の匂いがして、俺は理性を抑えるので必死だった。
日が沈んで来ると、今度はアリサが風魔法で俺の手を取って空へと飛び上がる。
やはり、地面を走るよりも空を飛んだ方が速い。しかし、アリサの魔力の消耗も激しいからあまり長時間使えないのが難点だ。
「昼はリオンが頑張ってくれたから、夜はあたしが頑張るね!」
アリサはそう言って微笑むと、更に高く舞い上がり速度を上げた。
俺達はそれから街に泊まりながら、アストレア王国に4日ほどで着いた。
アストレア王国の城壁に着くと、俺とアリサは城門の監視している兵士達の目を盗んで街の中へと入る方法を模索する。
「……案外。警備の目が厳しいな」
「うん。まあ、あたしに任せて!」
アリサは考えがあるのか、そう言って自信満々な顔で俺の手を取ると、城門とは真逆の城壁の裏側に向かう。
警備は少ないがそれでも数人の兵士達が数分置きに交互に見回りをしている。
とてもじゃないがその目を盗んで、俺がアリサを背負って城壁を登ってもすぐに気が付かれてしまうだろう。
アリサは俺にウインクすると、胸元から魔法の杖を取り出した。
「風よ。疾風を巻き起こし渦と成りて我が前の敵を天空の塵と変えよ! ウィンドストーム!!」
アリサは詠唱すると旋風が吹き荒れて俺とアリサを空中に勢い良く舞い上げた。
城壁にいた兵士達は突然の突風に目を押さえている。
そのおかげで俺達を見ている人間はいない。突風に乗った俺とアリサは抱き合いながら城壁を越えて街の中へと潜入する事に成功する。
「だから言ったでしょ。任せてって……さあ、行きましょ!」
「ああ、行こう!」
地面にふんわりと着地すると、アリサは抱き合っていた体を放して、にっこりと微笑んでアリサが頷く俺の手を握って街の人混み目指して走り出した。




