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〈第48話〉メイクも何もしてない素のままの三好が登場した
なんというか、心の中で覚悟を決めたからなのか、お腹の痛みは少しやわらないできていた。腹を決めた、ってやつだ。お腹の調子と精神的な心の動きは常に密接に関わっている、というのが僕の持論だ。
これだったら、最後まで演じきることもできたかも。いや、やっぱダメだ。差し込むような痛みと便意がまた襲ってきて、思わずステージ上でしゃがみ込んでしまった。
その瞬間、ヒーローの声が聞こえてきた。
「待たせたな!心臓レッド参上!!とーーーーう」
体操服姿で、メイクもなにもしていない素のままの三好が登場した。
僕にとっては神様にすら見えるが、お客さんのポカン顔はハンパない。いや、熊谷も、ブロッコリーさんも清花もあんぐり口を開けている。
僕は最後の力を振り絞って、段ボールで作られた衣装を取り外し、三好に渡し、
「あとは頼んだ。二代目心臓レッド!!」
と叫び、舞台袖にはけた。
「へーーーんしん。おれが・・・えーと、二代目心臓レッド。本当のハプニングから誕生したヒーローだ」
「いや、ジブン、顔めっちゃ肌色のままやし。変身できてへんで」
観客席からの爆笑を聞きながら、僕は木崎に支えられ、そろりそろりと階段を下りた。
「長瀬、活躍したじゃん」と言われて、素直にうれしい気持ちになる。校舎横の屋外トイレにできるかぎりの早歩きで急いだ。




