開始早々の面倒事
そんなすっとんきょうな言葉と共に扉が蹴破られた。
「おい!お前...この私に殴りかかっておいてタダですむと思うなよ!!!」
豪華な制服を身にまとった金髪の青年が部屋へ踏み込む。その後ろには十数人もの護衛が並んでいた
「レオン・ランベルト・アルカディア様…」
セレスの表情が一気に青ざめる。
「やっと見つけたぞ。私の婚約者のくせに、勝手に逃げるとはいい度胸だ…」
レオンは冷たい目でリオネを見た。
「……そこのEランク…お前がセレスを連れ去った犯罪者か。」
「違いますよ..彼女が倒れていたので助けただけです。」
「言い訳はいらん。」
レオンは鼻で笑った
「Eランクごときが公爵令嬢に近づくこと自体が罪だ。」
護衛たちが一斉に武器を抜く
リオネは心の中でため息をついた。
「リオネさん! 逃げてください!」
しかしリオネは一歩も動かなかった
「私は大丈夫ですよ。」
その一言にレオンの眉がぴくりと動く
「面白い、なら力で理解させてやる。」
護衛の一人が剣を振り下ろす
ガキンッ!!
体に刺されたと思った剣は腹に当たった瞬間に弾かれた
「なっ……。」
さらに軽く押し返すだけで護衛は壁まで吹き飛んだ
「ば、馬鹿な!」
周囲がざわつく
「Eランクがこんな力を……?」
レオンも初めて表情を崩した
「どういうことだ……。」
「普段から体を鍛えていますからね!」
腕を見して自慢げまに話す
その態度がレオンの怒りに火をつけた。
「なら俺が直々に試してやる!」
魔力が一気に膨れ上がる。
《スキル》王威
圧倒的な威圧感が部屋を包み込み、家具が軋む。
しかしリオネだけは何事もないように立っていた。
「えっと…これは?」
「あり得ない!」
王族の威圧を受けて平然としている者など見たことがない
その時だった
「何を騒いでいる。」
低く響く声
部屋の入口には銀髪の女性教師が立っていた
「学園内で私闘は禁止だ。」
レオンが舌打ちをした
「……チッ。」
「レオン・アルカディア。規則違反だ。」
「ですが、この男が!」
「わかったが、言い訳は後で聞く」
教師の一言で護衛たちは動きを止める。
レオンはリオネを睨みつけた
「Eランク……名前を覚えておいてやる。」
「リオネです。」
「次は決闘だからな、逃げるなよ。」
そう言い残し、レオンたちは部屋を後にした
静けさが戻った
「……本当にすみません。」
セレスは申し訳なさそうに頭を下げる
「いえ、困っている人を助けただけです。」
リオネは苦笑する。
(編入初日で王族に目をつけられるなんて……)
平穏な学園生活は、どうやら最初から諦めた方がよさそうだった。




