〔脱線〕お墓
再開した母は
その後
祖母と会うことを許してはくれませんでした
中学の頃母に
『おばあちゃんから届いた』と千円札を見せられ
『送り返すね』と言われたことを
ぼやっと覚えています
何が心配だったのか
母は
私を生まれ育った環境から遠ざけようと
近づけまいと
しているように感じました
祖母と同じ村に住む母の妹が
私を祖母に会わせてあげようとしていることも
気分よく思っていないようでした
私は祖母の千円も受け取りたかったし
会いたい気持ちもありましたが
母を裏切るような形になるのが嫌なので
考えないようにしていました
祖母が他界したのを聞いたのは
私が成人する頃だったかと思います
運転免許を取り
自分で移動できるようになってから
お墓を探しに行きました
小さい村なので探せば見つかるだろうと
思っていたけれど
見つけることはできませんでした
朝のラジオ体操に通った公民館
祖母と買い物に行った小さな商店
祖母に守られるようにして極寒の中歩いた長い堤防
そして
一緒に暮らした家…
小さかったのに
6年しか住んでいなかったのに
鮮明に思い出せる景色がある
どれも楽しい思い出
でもなぜか祖母の顔は思い出せない
時が経ちすぎてしまいました
今この家に父は住んでいるんだろうか
全くの他人が住んでいるのだろうか
あの時と同じように
遠くから
祖母と過ごした家を眺めていました




