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ご想像にお任せします  作者: ともの


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16/22

母の幸せ





高校を卒業して

また引っ越し



今度は戸籍上父親の自宅へ



何年かかったのか

元妻と実の娘と息子が出ていった後の

戸籍上父親の家へ



受験を独りで乗り越えた

住み慣れた町の団地を出る時に

戸籍上父親に

友達からもらったお気に入りのマグカップを割られました



悲しくて機嫌を損ねていたら

『似たようなもんいっぱいあるだろ』

と戸籍上父親は笑いました



冬間近の寒い日

いらないものを軽トラックの荷台に乗っけて

町の山奥のごみ集積所に運び

どしゃどしゃと放り込んだのを覚えています



その中に

あのピンクのマグカップも混ざっていたのかな





姉はもう大学生で

大学受験の時に私立の大学を選び

高い入学金を工面するのに

母を悩ませていたけど



どう片付けたのか

なんとか入学し

下宿することを決め家を出ました



出てどのくらいか

結局下宿環境が嫌だったようで

(姉からその愚痴も聞いた気がするけど忘れました)

バイトしながらのアパート暮らしに落ち着いたのです



色々と反抗的に

無駄に体力を浪費する姉を見ていたので

私にとってはいいお手本で



あんなふうに

話したくもない人たちと

話し合わなければならない場面を

あえて自分から作らないように



極力正しく努力して

極力自分で解決して

普通にまっすぐ…



褒められることはなくても

派手に怒られることもないし

時々理不尽な評価も受けたけど

必要以上に向き合わなくていい



特に戸籍上は父親でも

全くの赤の他人から

よく知りもしないのに

罵られるような感覚は

無駄な感情に揺らぐので避けたかったのです



だから

母が敷いたレールの上をひた走り

母の納得のいく進学をして

お金と時間をかけない自立を目指したのです






戸籍上父親の家には

私と母の3人…かと思いきや

もうひとり

女性が住んでいました



戸籍上父親と

学生時代に関係があった女性との間の子供で

元妻とは血縁がない女性



ある意味

私たち姉妹と同じ立場のその女性は

戸籍上

私たち姉妹の姉になります



でもその女性は

2階を主な居住空間としており

時間をずらして水回りを共有していたので

まったく顔を合わすことなく過ごしました



過ごしたと言っても

私は引っ越した後

専門学校での寮生活となり

週末と長期休みにしか

その家には帰らなかったので



なんとその女性が家を出て行くまでの4年ほど

本当に顔を合わすことはありませんでした




と言うよりも

そこは母も気を遣ってくれたし

お互いに顔を合わせないようにしていました

わざわざ会いたくないですしね




向こうからしてみれば

それまでのガタガタが落ち着いたと思ったら

知らない女子が

自分の住み慣れた家に一緒に住むことになり

落ち着く場所だったはずの家ではなくなってしまった




なんだかそう考えると

私の存在がなければ

母も悩むことが少なかったのではないかと思ったりします



姉もきっとそう思っていただろうし

子供はできれば

親を悩ませたくない

幸せでいて欲しいのです



でも母の幸せは

私たち娘との幸せではなく

戸籍上父親との幸せであって

それがあることで

私たちは普通の生活を送れたわけなのです






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