第9話 悪魔の国、バルカルサス
戦略シュミレーションゲームの中に転生、自身の能力と策略を駆使して聖域を制圧しろ
そんな謳い文句のゲームがあった。
そして、それは現実のこととなる。
さまざまな思惑の交差する世界で無事に戻れるのか
プレイヤー達のバトルが今始まる
エンデリオンの反対側、北に位置する国、バルカルサス。
バルカルサスの王城、パルテピアの王座には鹿のような角を生やし、コウモリの翼を持った悪魔の象徴のような姿の女性が威厳たっぷりに鎮座していた。
王座に座っている悪魔の国の魔王ハルビアは部下の報告を退屈そうに聞いていた。
「というわけで、ライヤン様は討たれ、作戦は失敗とのことです」
報告している部下はビクビクしながら話をしていた。
それもそのはず、ハルビアは報告を聞いている間、ずっと不機嫌なオーラを放っていた。
その眼光も鋭く、部下を見つめていた。
「ほう、それで?」
短く、しかし、威圧としては最恐の声で聞いた。
「ひーー」
部下は思わず、後ろにひっくり返り、萎縮してしまった。
「おいおい、そんなに威圧してやるなよ、そいつが失敗した訳じゃないし、そもそもバレるの前提だっただろ?まぁ想定よりは早かったけど」
「それもそうだな、すまんな、サンタ」
「謝罪はその部下にしてやってくれ」
横から口を挟んだのは、正樹と同じく召喚された人間だった。
プレイヤー名サンタ、本名山田 太朗。
「これでエンデリオンに召喚されたのはマサキで間違いないだろうな」
「ふむ、作戦前からそういっていたがそれはなぜじゃ?」
「各国に召喚された英雄は1人、そして、唯一エンデリオンで結果を出したことがあるのはマサキってやつなんだ」
「なるほどのう、相手がわかっているなら戦略とかもわかっておるのか?」
太朗は残念そうに首を振った。
「いや、マサキには二つ名がつけられていて、それが流水疾風の策略家」
「どういう意味じゃ?英雄たちの言葉は難しくてのう」
「水や風のようにとらえどころがなく、多彩な戦術を使う相手ってこと」
ハルビアは考え込むしぐさをして
「要は油断ならぬ相手ってことかの?」
「そういうこと。しばらくはどこも自国の強化をすると思うからこっちはこっちのやり方でやればいいさ」
「例の作戦はどうするのじゃ?」
太朗はニヤリと笑い、
「それはまだ先のお楽しみ、もう少し準備に時間がかかるし、一番効果的なタイミングで使いたいからね」
「その辺の謀略はわらわにはわからん、サンタに一任するのじゃ」
ふと、ハルビアは未だに震えている部下を思い出し、
「そなたはもう下がってよいぞ、ご苦労であった」
それを聞くと部下は一礼し、そそくさと退散していった。
「しばらくは退屈な日々が続きそうじゃのう、戯れにどこかに攻め込もうかのう」
「コラコラ、一応半年間は武力介入は禁止だからな、どんなペナルティがあるかわかったもんじゃない」
「その割にはエンデリオンにちょっかいかけておるではないか?」
「謀略はセーフだからね、別にうちの者に直接暗殺させようとしてないから」
「そういうのをズル賢いと言うのではないか?」
「それは褒め言葉として受け取っておくよ」
太朗的にはすでに戦争は始まっているようなものだった。
太朗も実は元の世界で二つ名を持っていた。
暗躍の達人サンタとして
つづく
お読みいただきありがとうございます
毎週月曜の17時を目標に執筆しております
ご感想などいただけると励みになりますので、よければお願いいたします
別作品もございますので、お気に召しましたらそちらもお読みいただけると幸いです




