第16話 初戦の攻防
戦略シュミレーションゲームの中に転生、自身の能力と策略を駆使して聖域を制圧しろ
そんな謳い文句のゲームがあった。
そして、それは現実のこととなる。
さまざまな思惑の交差する世界で無事に戻れるのか
プレイヤー達のバトルが今始まる
停戦期間終了直後にガンラン同盟からエンデリオンに対して宣戦布告がなされた。
宣戦布告後は2国が戦争状態になり、他の国は介入を禁止される。
また、準備期間として2週間の猶予が与えられるが、宣戦布告した側は準備完了しているため、交戦地帯まで先に進軍できることになる。
宣戦布告された側は準備期間後に交戦地帯まで進軍するか籠城するかの選択ができる。
今回、エンデリオンは事前に情報を獲得し準備できていたため、両軍同じタイミングで交戦地帯まで進軍した。
ガンラン同盟側
「うむ、エンデリオンは事前に情報を得ていたか、これで遠慮なく突撃できるな」
心底まんぞくとちった表情で伸治は言った。
それを見てタロスは
「ノブは気楽でいいな、エンデリオンはこちらの動きを掴んでいたんだぞ?優秀な諜報員がいると見て間違いないだろう」
「なに、多少情報が漏れたとて粉砕すれば同じことよ」
伸治は相変わらず豪快に笑い飛ばした。
そして、こちらも変わらず頭を抱えるタロスであった。
エンデリオン側
「やはり、こちらに宣戦布告してきましたね。情報通りでなによりです」
アリアは表情を変えずに言った。
初めての戦争、その重圧で押し潰されそうになるのを必死で堪えているようだった。
「そうだな、他にも情報が集まったし、この戦いは俺の動きで決着がつきそうだ」
「マサキ様、本当にあの作戦でいくのですか?正攻法でもそこそこやれるとは思うのですが」
アリアは心配そうに正樹の方を見つめた。
正樹はガンラン同盟の旗を見ながら、
「それでも勝てるけど、被害は大きくなる。そうなると即座に他の国に攻められてしまうからね」
戦争に負けた方は首都を落とされない限りは2ヶ月の不可侵状態になる。これは負けた側に別の国が攻め込み漁夫の利を得るのを防ぐためだ。
逆に勝った方は何もないため、下手すると連戦になる可能性もある。
なので、勝つにしても余裕を残して起きたかったのだ。
数日後、ブォーーーンと開戦の合図が上がった。
ガンラン同盟は歩兵を主体にゆっくりと進軍してきた。
一方、エンデリオンは盾兵を配備し、後方から弓兵で攻撃を開始した。
両軍一進一退の攻防が繰り広げられていた。
それを見て、正樹は違和感があった。
「おかしい、もっと苛烈にくるかと思ったのに」
ゲーム内の伸治の進軍はお世辞にも戦略というものはなかった。
歩兵、騎馬兵を主体にし、絶え間なく攻撃し続けるといった物量ゴリ押しで攻める戦法だったこのスタイルから伸治は「パワーオブパワー」という、半分からかいもある二つ名を持っていた。
正樹はガンラン同盟の本陣に目をやった。
本陣より猛烈な勢いで騎馬兵数千が攻めあがってきた。
しかし、騎馬兵の前方にはガンラン同盟の歩兵がおり、味方ごと攻撃しそうな勢いだった。
その時、ガンラン同盟の歩兵達が左右に展開を広げた。まさに騎馬兵へ道を譲るかのように。
速度を落とすことなく、騎馬兵はエンデリオンの盾兵に突っ込んだ。
「ガッハッハ、突撃だー!粉砕しろー!」
なんとガンラン同盟の英雄の伸治が騎馬兵の先頭で突撃して来た。
その勢いにエンデリオンの兵達が一瞬たじろいだのを確認し、
「今だ!能力発動!突貫!」
召還英雄には能力が付与されており、伸治の能力は突貫、自身が率いる騎馬兵もしくは歩兵の攻撃力と機動力を大幅に上げるというものだった。
伸治の騎馬兵がエンデリオンの盾兵の中の突っ込んで来たのを確認した正樹は
「作戦Bの実行!」
弓兵の後ろから魔法兵が伸治の騎馬兵に魔法を放った。
ドゴーン、ドカーンと火炎魔法や氷結魔法が着弾した。
「くっ、ここで惜しみ無く魔法を使ってくるか、仕方ない、騎馬兵対は一時撤退せよ」
伸治はすかさず撤退を始めた。
突撃よりもスムーズに撤退したため、騎馬兵の被害は大きくならなかった。
「無事撤退してくれたな」
「ホントにここで魔法を使って大丈夫なんでしょうか?」
アリアは作戦通りに進んでることを喜び、同時に見落としがないか考えていた。
「英雄自身が先頭で突撃してきたからね、魔法を使わなければ、甚大な被害だったかもしれない」
初手のやり取りは正樹達、エンデリオンに軍配があがったのだった。
つづく
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