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貧田光輝という人

『うるしのへや』第二章スタートです!

不定期投稿となりますが、どうぞよろしくお願いします!

一章の最後の番外編、『少女は貧田を知っている』も合わせてお読み下さると幸いです。

「だからさぁ、あのポスター迷惑なんだよね······なめこ川さんって子に伝えてくれる?」


そう冷たく男は言い放ち、漆部屋から立ち去っていく。

周りに女子生徒がきゃっきゃっと金魚の糞のように後をついていった。




「·······なんだぁ、あれ?

まったく、なめこ川のやつ·······」


高木は大きく溜息をついた。


なめこ川は、悪く言えばトラブルメーカーだ。

無意識に色々な問題を拾ってくるものだ。


そして今タイミング悪く、当の本人は不在ときている。



「誰よ?今の」


部屋の奥から、女言葉の曽根がツカツカ出てきて聞く。


「学友会の会長だって」


「学友会?ってナニ?」


「大学の生徒会みたいなやつ」


曽根は知らなかったと言い、俺も良くは知らないと伝える。



問題は、なめこ川のポスターだ。

漆部屋の戸口にも貼ってあるので、今二人で眺める。


ここ総合造形コース漆教室の幽霊部員を探そうと、勝手に手描きのポスターを作り、構内中に貼り出したのだ。


貧田(ひんだ) 光輝(こうき)

お問い合わせは、造形棟漆部屋まで!』


お陰で、認可を取っていないポスターだと学生課からは注意されるし、関係のない他の生徒からも尋ね人ポスターへの問い合わせが度々来るようになってしまった。


関係のない生徒から問い合わせが来る理由は、なめこ川の描いた似顔絵の内容だ。


それは今話題沸騰中の人気『地下アイドル』の似顔絵だった。

その微笑する少女はとても綺麗で可愛らしく、丁寧なタッチで緻密に描き込まれ、柔らかで眩しい陽ざしを浴びた肌はリアルで瑞々しく、瞳はキラキラと輝かんばかりに視線をこちらへ寄こす。


それを見たその地下アイドルのファンとやらが、なめこ川が描いたそのアイドルの似顔絵を自分にも譲って欲しいと訪ねてくるのだ。

他は、その地下アイドルを知らなくても、あまりの少女の可愛らしさに、モデルはいるんですか?とか、何かの映画の告知ですか?等といった問い合わせもある。

ポスターの盗難も起きているらしい。


正直、こちらとしては全てが無価値な連絡だ。


就職活動が忙しいらしい貧田先輩が、このポスターに目を留めて自ら出頭してくる気配は、無い。


ぶっちゃけ、先輩が見つかろうが見つかるまいがどちらでもいいという俺の本心もある·······



「地下アイドルが人気沸騰って?おかしな事もあるもんねぇ」


それって地下と言えるのか?

問い合わせの数からすると、実はけっこう世間に知られたアイドルだと分かる。

地下に潜る意味が分からない。

とは思うけれど、事情があるのかもしれない。

地上に出たら他の問題が様々出てくるのだ、息がしにくいとか、きっと。



そして、それより何より問題の核心は、

なぜなめこ川はその地下アイドルとやらの似顔絵を貧田先輩の尋ね人ポスターに描いたのか?


『貧田 光輝』


4年の貧田先輩の名前は恐らく男だ。


大きくレタリングで書かれた名前の文字。

その隣にこの上ない美少女の似顔絵。

それとこれに何の関連性もないと思わずにはいられない。


なめこ川に話を聞けば、なめこ川は市内の病院でこの地下アイドル美少女と出会ったらしい。

そして『貧田』と名乗った彼女を妄信的に『漆部屋の貧田』と信じ切ってしまっているようなのだ。

その時に貰ったブロマイドを元に今回のポスターを描いたとのことだ。


そもそもが思い込みが強いなめこ川だけれど、何も疑問を感じないのだろうか?

確かめもせず、こんな芸術的なポスターを仕上げてしまうバイタリティーに、薄ら恐怖すら感じる。




「で?なんで学友会の会長がわざわざポスターの件で来るのよ?」


「いや·······もうじき学友会選挙が近いらしい」


「ふん?なるほど来年度の?」


「ああ、それでアイドルの似顔絵を使うなんて売名行為だと批判されているらしい」


「ん、なんで?あのポスターって別に選挙ポスターじゃないわよ?」


確かに大きな名前の文字の隣にアップの顔がある配置は、選挙ポスターっぽいな。


「ああ、そうだもちろん」


「ってゆうか、貧田先輩が立候補者って勘違いされてるの!?会長のライバルになるからって釘を指しに来たのかしら??」


「選挙規約で候補者以外の写真や肖像を使って選挙活動するのは止められてるらしい」


「あっそ、別にいいじゃない?貧田先輩は立候補しないし、違反して立候補権を剥奪されても」


「えっと、いや········あの会長は自分は『貧田 光輝』だって言うんだ。

今回のポスターの件で選挙違反とみなされ、立候補権剥奪の危機に瀕しているとのことだ」


俺は、自分でも何を言ってるのか理解していないが、先程の男が言ったままに伝えている。


「はえ」


曽根も目を丸くしている。


「自分がポスターに無関係で無実なのを証明したいから、なめこ川を証言者として引き渡せと言っていた」


「は?

え!?

学友会の会長の名前が『貧田 光輝』ぃぃぃ〜!!?」



それって、学友会の会長は

『漆部屋の貧田先輩』

ってことなのだろうか?


いや、絶対に違うよな?


読んでいただきありがとうございます!

好感いただければぜひブックマーク&評価&感想などお待ちしております。


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