15話目 二人の関係
もうすぐ完結です!
その日、漆部屋のドアを開けたのは、全身包帯姿に松葉杖の男だった。
裏山での事件から3週間経っていた。
「「「「退院おめでとう!!」 」」」
紙ふぶきが高木に浴びせられる。
漆部屋では高木くん退院祝いパーティが開かれていた。
「え?高木、何か怒ってる?」
「··············」
実は、曽根もなめこ川も高木が幽体離脱をしていて、曽根の呪いの現場を見てしまったとは思いもしないので、高木が怒ってる理由が分からない。
包帯の下で表情が伝わらずとも高木は憎憎しげに唇を噛んだ。
男にしては小綺麗過ぎているが、曽根は紛うことなき男の姿だった。
「なぁに!?俺が男だから怒ってんの〜?俺のこと好きだったんだ〜〜??」
「!!っんなわけね~だろ!!」
またケンカが始まった。
高木は別に曽根が女だろうが男だろうが心底どうでもいいが、女だからと手加減していた部分はあったので、それが腹立たしいのだ。
そしてこれからは遠慮なく対応できると思うと、寧ろ血湧き肉躍る気分だった。
なめこ川は思う。
二人は男同士。
拳を突き合わせてこれからSとMの雌雄をつけようとしている正に過渡期····
なめこ川は、自分が高木に曽根がやらかした呪いの写真の事を話して、
この特に微妙な時期に水をさすのは違うかと思い一人心に留めようと決めた。
そして、変に油を注いで二人をこれ以上燃え上がらせたくないというジェラシーもあった。
今思えば曽根はいつも高木をし過ぎなほど気にしていた。
それはきっと愛情の裏返しで。
もはや、どこまでも燃え上がってしまいそうな二人を生暖かく見守るしかない。
私は『守備範囲外』だから。
なめこ川は最近知識を増やすため色々な雑誌を読み漁っている。
もうスマホから目が離せない。
自分が急に大人の階段を登ってしまったような気分だ。
以前、曽根は高木がMをどうしようもなく楽しんでると言っていたのを思い出す。
世間には自分の知らない世界が五万とあるのだと思った。
高木といえば、あの裏山での出来事はあまり記憶がはっきりしないのでこの怒りのやり場がない。
高木は紙吹雪を払い、用意された祝いの席を無視して通り過ぎ、自分の作業台にどっかと着いた。
そしてちらっとなめこ川を見ると、
生暖かい目で高木を盗み見ていたなまこ川と目が合い、見つめ合ってしまった。
夢の呼び声は今考えるとこの少女の声のような気がした。
そして山の中でずっとに背負われていたような感覚の、不思議と温かい夢だった。
だからどうという訳ではないのだが·········
この教室で唯一大人しいメンバーというだけで癒しの効果があったのかもしれない。
「あのさ、貧田」
「なあにぃ〜二人見つめ合っちゃって!」
まただ。
また曽根が絡んでくる。
高木がなまこ川に話しかけようとすると決まって邪魔してくるのだ。
女の時と同じ行動の気もするが、男でやる時とでは鬱陶しさが増す気がするのはなぜだろうか。
「なめこちゃん!ピザ食べよ。どれ食べる?」
「あ、ハイ。」
「ケーキもあるよ♪」
曽根は今日もマイペースだ。
そして『なめこちゃん』って変な仇名だと思う。
確かに『貧田』より妙にしっくりくるが········
いつの間にか海府先輩もそう呼んでいるし、
自分も検討してみようか?
でもどこかで聞いた名のような·········
さて、高木は課題を期限が過ぎたのにまだ提出していない。
早く取り掛かろうとすると、包帯まみれの手で上手く道具が握れない。
両手は漆でかぶれてパンパンに腫れていて二本のフランスパンが身体についているみたいだ。
無理に握ろうとして腫れた指に鈍痛が走った。
いててて… 体中かぶれているので身動きが取りづらい。
高木は痛みを堪えておかしな格好に身をよじっていた。





