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推しの悪役令嬢なので全力で守ろうと思います!  作者: 小鳥遊
推しのために生きていました
74/89

優しい気遣い

◇◇◇


馬車を走らせること1時間


わたしは他の貴族よりも早く皇宮に来ていた。


ルーカス様がいないとまた変に噂が立ってしまうため、1番早くに来ておかなければいけない。


そして、わたしが行くべき場所は、皇帝の後ろだ。


「帝国の太陽とそのお妃様にご挨拶申し上げます。」


「顔を上げよ。1週間ぶりだな、夫人。」


「また会えるのを楽しみにしていました。」


「身に余るお言葉で御座います。」


一応ここは護衛も侍従もいるため、皇帝も皇后も口調が公式的なものだ。


なので、わたしも公式的な話し方で言葉を発する。


すると、皇后がわたしとこの距離感で話すのが耐えられなくなったのだろう。


場所を移そうと言われ、皇宮の個室に通された。


皇后は待ってましたと言わんばかりに目を輝かせている。


「ハンナちゃん、今日のあなた一段と可愛いわ。私見惚れちゃったもの!」


「ありがとうございます。ですがわたしはグレース様の今日のドレスがグレース様の髪色と目の色に合っていて本当にお綺麗です。」


もちろん心からの本心だ。


皇后の着用しているドレスは紺色が主体となり、宇宙を連想させるような金色の星が散りばめられている。


それでいて子供っぽさを全く感じさせず、むしろ皇后の美しさを引き立たせているようにも感じる。


まさに皇后のために用意されたドレスだ。


わたしが感想を言うと、何故かため息を吐かれた。


「ハンナちゃん、あなたよく侍女に悲鳴をあげさせてるんじゃない?」


「どうしてそれを?」


皇后はわたしが公爵家に嫁いでから1度もこちらに訪れてはいない。


なのでバレることはないはずなのに。


「だって、ハンナちゃんみたいな可愛い子に褒められたら誰だって嬉しい悲鳴を上げたくなるもの。」


やはり皇后は皇后だ。


わたしの感想からそれを言い当てられる人なんて、皇后か皇帝くらいだろう。


「流石です。」


わたしが恐れ入ったという気持ちを込めて皇后に言うと、皇帝が口を開いた。


「私を置いていかないでくれ」


いつの間にか、わたしと皇后の世界観になってしまった。


だけど、皇后は皇帝の扱いを分かっていて逆に皇帝も皇后の扱いを分かっている。


「ごめんなさいアイザック。戸惑っているあなたが可愛くてつい。」


「ほう?なら私はグレースにとって可愛いだけの存在なのか」


「そんな訳ないじゃない…!」


2人が婚約してもう数10年と経つはずなのに仲が悪いところを見ない。


2人のことなので、喧嘩したとしてもすぐにどちらかが謝るのだろう。


今の皇帝と皇后を見ていれば分かる。


「お2人とも、そろそろ貴族が集まっている頃ではありませんか?」


「「はっ…!」」


本当に仲がいい。


見ていてほっこりしてしまう。


「よし、準備に取り掛かろう。夫人はここで待機していてほしい。貴族はここに呼ぶ。」


「分かりました。」


空気感が少しだけ重たくなった。


そろそろ公式の場の態度に変わるということだろう。


「それと、話が終わった後はハンナ夫人も是非パーティーに出席して欲しい。美味しい料理がたくさんあるからな。」


「ありがとうございます。でも何故…」


わたしが疑問に思ったのは出席してほしいというところではない。


何故わざわざ美味しい料理というのを付け足したのかが疑問なのだ。


前回訪れた時、そんなに食い意地が張っていたのだろうか。


だとしたらとんでもなく恥ずかしい。


「皇后の提案だ。」


「もう…!言わないでって言ったのに」


「グレース様が?」


余計に疑問の念が積もる。


だけど、皇后がパーティーに出席してほしい理由は、食い意地が張っていたからとい訳ではなかった。


「ハンナちゃん、前に皇宮に来た時、すごく美味しそうに食べてたでしょ?パーティーには美味しい料理がいっぱいあるから今日のお礼にと思って…どうかしら」


皇后がここまで見てくれているなんて知らなかった。


公爵家の人たち以外にも、わたしを見て信用してくれる人はたくさんいる。


今日も、皇后がわたしのためを思って料理はどうかと聞いてくれている。


「…ありがたく出席させて頂きます。」


「…!ええ、是非そうしてちょうだい!」


「さあ、そろそろ貴族が揃ったことだろうし、挨拶を済ませてパーティーを始めよう。」


皇后の気遣いと皇帝の言葉で、わたしは一気にやる気が入ったのだった。


見てくださりありがとうございました!

次話も見てくれると嬉しいです!

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