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推しの悪役令嬢なので全力で守ろうと思います!  作者: 小鳥遊
推しのために生きていました
72/89

公爵の憂鬱

「出来た」


ルーカス様が帰ってくるまでに出来たことの嬉しさから思わず言葉に出てしまう。


家紋にイニシャル、少し寂しかったのでそこに模様を入れてみた。


久しぶりにしては良い出来栄えだ。


するとちょうど、ルーカス様が帰ってきたというリアからの情報があったので、わたしはルーカス様の部屋に向かった。


「ルーカス様…?今お部屋にいらっしゃいますか?」


「ハンナか?入ってくれ。」


「失礼します。」


そう言って扉を開けると、そこには少しだけ浮かない顔をしているルーカス様の姿があった。


何かあったのですかと聞こうとした時、ルーカス様が自分から口を開いた。


「ハンナ、すまない。明日の皇宮のパーティーに仕事で出席出来そうにないんだ。」


とても残念そうに話すあたり、断れない仕事だったのだろう。


とにかく本当に悲しそうな顔をしている。


少しでも話を逸らすために、わたしはさりげなく話を変えた。


本当は残念ですと言いたいし言うべきなんだろうけど、そんなこと言ったらもっと悲しそうな顔をされるから言わないことにする。


「どんなお仕事なんですか?」


「…場所は同じなんだ。」


場所は同じ…?


なるほど。場所は同じで騎士団の仕事といえば


「パーティー会場の周りの警備に当たることになってしまった。本当にすまない。」


やっぱり。


だったら、ここはポジティブに捉えるべきだ。


「大丈夫です。それに、場所は同じなんですよね。一緒に帰りましょう。」


「〜〜〜///!……ぁ~クソッ」


わたしが笑顔で言うと、ルーカス様に恥ずかしがってるような苛立ってるような顔をされた。


その苛立ちはわたしに向けられたものではないと分かっている。


けど、その苛立ちがどんな理由であれ、癒してあげたくなった。


ーガバっ!ー


「は…え……?」


あまりに唐突だったからだろう。


久しぶりにルーカス様が固まってあっけらかんとした声を出した。


わたしは、ルーカス様を抱きしめた。


「ルーカス様、明日のパーティーが終わって家に帰ったら、お話があります。聞いてくれますか…?」


心臓の音が近くで聞こえる。


わたしが抱きしめているせいで、ルーカス様の心臓はとても早い。


「ああ、君の話ならなんだって聞こう。」


「ありがとうございます。ルーカス様」


告白は、明日にしよう。


時間ならまだいっぱいある。


明日の夜、伝えればいい。


「……それで、ハンナはどうして俺の部屋に?」


まだルーカス様に抱きついているから声しか聞こえないけど、その声は緊張していた。


わたしが抱きしめるのをやめてルーカス様の顔を見ると、やっぱり赤かった。


「ルーカス様に刺繍のハンカチをお渡ししようと思ってきました。受け取ってくれますか?」


少し、ほんの少しだけ緊張した。


「ハンナ、俺にはそのハンカチを受け取らない選択肢などないに決まっている。ありがとう。」


良かった。


いつもそうだ。ルーカス様は嫌な思いでから嬉しい思い出、楽しい思い出に変えてくれる。


「こちらこそ、受け取ってくれてありがとうございます。では」


「ハンナ」


お部屋に戻りますねと言う前だった。


「戻る前にもう1度だけ、抱きしめてもいいか…」


そんなの、考えるまでもない。


「どうぞ」


わたしは肯定の意味で、手を広げる。


ルーカス様はすぐにきてくれた。


そこに会話はなかった。だけど、とても心地の良い時間だった。


しばらくすると、ルーカス様は手を放して夕食にするかと、とても嬉しそうな声で言うものだから、わたしもそうですねと即答した。


そして夕食を食べている時、突然しかめっ面をした。


食べ物が美味しくなかったのかなと思っていると、ルーカス様がまたわたしの名前を呼んだ。


わたしが不思議に思って見つめると、言いたくなさそうに答えてくれた。


「明日のパーティー、アディノール侯爵家の奴らが来るかもしれない……。」


なんだ。ルーカス様はそんなことのためにこんなに悩んでくれてたのか。


そう考えると、とても可愛いらしいなと思った。


その目は、守ってやれなくてすまないと訴えているようで、大型犬の犬が連想される。


「心配いりません。わたしはもう大丈夫です。ですから、そんな顔しないでください。夕食は美味しく頂きましょ。」


「……ああ、そうだな。」


それでもルーカス様は少し心配そうだったので、話題を変える。


悲しそうな顔で食べるよりも、楽しそうな顔で食べた方が、夕食だって美味しい。


「そういえば、ルーカス様。ドレスは明日届くのでしょうか?」


「ん、その件についてはそうだな。明日の朝一に届くぞ。」


「朝一…ですか……?」


絶望だ。


しかも朝一に届くので、それ以前に朝の用意を済ませておかないといけない。


わたしに出来るの?


朝がとんでもなく弱いこのわたしに?


「そうだ。起きれるか?」

「むりです」


「っ!ククッ…ンフフッ…」


笑ってくれた…!


少しは、気持ちがほぐれただろうか。


なんにせよ、笑ってくれて嬉しい。


「良かったです。笑ってくれて」


「はぁ、ハンナには敵わないな。だが、明日は俺もドレス姿を見たいから、努力してくれよ?」


え?


「最善を尽くそうと思います。」


わたしの言葉でまた笑ったルーカス様は、幸い最後まで楽しそうにしていた。

見て下さりありがとうございました!

次話も見てくれると嬉しいです!


いよいよこのお話もクライマックスです!\( *°ω°* )

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