好き
「おぁよぅ…リア。」
??!??!?!
「声が出る…!」
やっと声が出た。
昨日は意思疎通のために紙にたくさん書かないといけなかったので、解放されたのが嬉しい。
でも、昨日は声が出なかったのでたくさん態度に出してみたけど、どうやら正解だったようだ。
ルーカス様の声が聞けなくて寂しいオーラは無くなっていた。
代わりに、ルーカス様の顔は真っ赤だった。
「良かったですね。奥様。私も1日ぶりに奥様の声が聞けて嬉しいです。」
「良かった。リアが喜んでくれて」
ルーカス様にも治ったことを言いたかったが、今日は騎士団の仕事のため外出している。
昨日、行動に移してみて確信を持った。
もう誤魔化せない。……わたしも、ルーカス様が好きだ。
だけど、いつ言えばいいのか。
誰かを好きになるなんて初めてだし愛されるのも初めてだ。
恥ずかしいけどもっと触れてほしいし自分に素直になりたい。
…今日の夜、伝えられるかな…。
自分の気持ちに嘘をつくなんて、ここではしたくない。
とりあえず、カーター先生が来るまで掃除と書類整理をして頭を切り替えよう。
じゃないとルーカス様のことが頭から離れない…
「奥様、今日は明日に備えて掃除、料理、書類整理のお仕事は全てお休みです。」
「ぁ~……」
誰にも聞こえないような悲鳴を上げて、わたしは心を落ち着かせた。
だって何も出来ないなら何をすれば良いの?
前世社畜の人間がこんなに暇になったところでやりたいことなど思いつかない。
「リア…何かいい暇つぶしはある?」
「そうですねぇ…。お裁縫はいかがですか?」
「裁縫…分かった。やってみるわ。ありがとう」
「お役に立てて光栄です。」
裁縫…はもちろん貴族令嬢が習う必須科目だったので当然わたしもやっていた。
技術で言えば、中級者くらいはあるはず。
でも、ただ裁縫をするのは面白くないし、どうせなら楽しみながらやりたい。
わたしが楽しく嬉しくなるのは…ルーカス様…
…どうしてまたここで…。いや、いい考えが出来た。
「リア、使ってないハンカチはあるかしら。」
「確認してみますね。」
わたしの今日の目標は、ルーカス様が帰宅する前にハンカチに刺繍を入れて完成させること。
刺繍の模様は…分かりやすくガルシア公爵家の家紋で良いだろう。
そこにイニシャルをつければ仮に落としたとしても一目で分かるはずだ。
わたしが裁縫とルーカス様のことで思考を巡らせているとリアが戻ってきた。
「奥様、使用していないハンカチがいくつかありましたので、この中からお選びください。」
相変わらず、わたしは選ぶのが苦手だ。
だけど、今日裁縫するのはルーカス様に渡すハンカチだ。
リアもそれを分かって選ばせてくれてるのかもしれない。
バケットの中には、まだ使用していないハンカチがたくさんある。
「これにするわ。」
「かしこまりました。」
その中でも、わたしが選んだのは常盤(濃いめの緑)色のシルクのハンカチ。
緑色には、安全、健康、希望、平和という意味が込められている。
騎士団長のルーカス様は、当然仕事には危険が一緒についてくる。そして騎士とは国の平和を守るための仕事。
しっかり仕事をこなしてくるルーカス様だからこそ、怪我をするのは当たり前のことなのかもしれない。
それでも、ルーカス様には健康でいてほしい。怪我もしないでほしい。
わたしのエゴばかりを込めた色だけど、ルーカス様は喜ぶんじゃないだろうか。
昔のわたしからは想像も出来ないほど自意識過剰になったものだ。
だけどそれくらい、ルーカス様の愛はストレートに伝わってくる。
「奥様、楽しそうですね」
「…っ_///!顔に出てた…?」
もし出てたら恥ずかしすぎてどうにかなりそう…
「いえ、ただいつものビシッとした感じではなくふわふわとした感じだったので」
「そうなのね…。リア、内緒にしてね…?」
「もちろんです。」
何故かリアまで幸せそうな顔をしてる。
これ以上目が合うのは恥ずかしかったので目を下に動かして裁縫に集中することにした。
1度集中してしまうと早かった。
午前中には家紋が出来上がり、昼食はいつも通りいらないと言うと、リアが紅茶を持ってきてくれた。
休憩を挟めということなのだろう。
別に苦ではなかったしもっとしたいとさえ思ったから休憩は必要なかった。
でもリアを心配させるわけにはいかないため、しっかり休憩を挟むことにして、午後も引き続き裁縫をした。
そしてやっと
見てくださりありがとうございました!
次話も見てくれると嬉しいです!




