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推しの悪役令嬢なので全力で守ろうと思います!  作者: 小鳥遊
推しのために生きていました
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愛してる

「愛している」


瞬間、わたしの思考が止まった。いや、もう抱きしめてもいいかと聞かれた時から止まっていたのかもしれない。


わたしとルーカス様には、かなりの身長差があるため、心臓の音がよく聞こえる。


でも、今はわたしの心臓の音なのか、ルーカス様の心臓の音なのかよく分からない。もしかすると、両方の音なのかもしれない。


愛している。本当に?父も姉も、前世ですら、誰にも愛されなかったのに?


「嘘です…誰もわたしを愛したことなんてなかったのに…。」


好意を向けられることは慣れていないせいで、思わず否定してしまう。


「本当だ。信じられないなら、俺がこれから態度で示していこう。もう我慢しないからな。返事に関しては、ゆっくり待つことにする。」


わたしがコクリと頷くと、ルーカス様の抱きしめる力が強くなった。


それから少し経って、力が弱まったのでわたしがルーカス様の方を向くと、ルーカス様と目が合った。


恥ずかしかったので別のことを考える。


そういえば、我慢しないっていうのはどういうことなのだろうかと思っていると、早速…


「愛してる。大好きだ。」


なんて、愛を囁いてくる。目を合わせたまま言うのはずるい。反則だ。


「その恰好で言わないでください…。今日のルーカス様は、その…」


好きだと言われた後で相手を褒めるのはとても恥ずかしいようだ。


「その、なんだ?」


わたしが言うのを躊躇っていると、急かすようにルーカス様が言葉を発した。


その顔はからかっている時の顔で、わたしはこんなに余裕がないのに彼はからかう余裕があるのかと考えると、わたしも恥ずかしがらずに言ってやろうという気持ちの方が強くなった。


「今日の服装が似合いすぎて、まともにあなたを見れないんです。とても、カッコよくて…」


さきのわたしの威勢はどこへ行ったのやら、いざ言ってみると、どうしようもない恥ずかしさが襲ってきた。


なので、わたしが目を逸らしながら言うと、ルーカス様は呆気に取られていた。


そして、女性から大人気だとは思えない言葉が漏れてくる。


「俺が、カッコいい…ハンナは、俺のことを本当にカッコいいと思ってくれてるのか??社交辞令ではなく?」


当たり前だ。カッコよくない訳がない。そもそも、たくさんの縁談を申し込まれる人が何を言っているのだろう。


なんだか、先のわたしみたいだと思えてくる。事実なのに、それを本当かどうか確認してしまう。


「もちろんです…。」


わたしが一言だけ言うと、ルーカス様はホッとしたようで最高の笑顔を向けて来た。


"本当に勘弁してほしい。"


前は好きじゃなかったから笑顔の彼を見たってかわいいなくらいにしか思わなかったのに、好きって言われるとどうしても意識してしまう。


わたしの前で感情を隠す事が無くなったのは良かったものの、このままではわたしの心臓が持ちそうにない。


「あ〜…良かった。あなたが少しでも俺を意識してくれてて…。」


少しどころか意識しまくってる…。わたしの前では安心して感情を見せる姿も、照れると慣れていなくて硬直してしまう姿も、わたししか見れないのだ。


この特権は、誰にも奪われたくないなと感じている。もちろん、今すぐに返事をすることも出来た。


だけど、わざと時間をくれたんだ。わたしが申し訳なさから了承してしまわないように。


ちゃんとわたしに、ルーカス様を心から好きだと言えるように。


確かに、心臓の音がうるさいものの、この原因は分かっていない。


つまり、この原因を解き明かす時間をくれたのだ。やはり、ルーカス様はわたしには勿体無いくらい素敵な人だ。


「ルーカス様を意識しないご令嬢なんていませんよ」


「…ハンナは意識してなかったじゃないか」


拗ねた子供みたいに発言する姿がなんだか可笑しくて、少し笑ってしまった。


「確かにそうですね。でも今は、意識せざるを得なくなりました。」


わたしがさきの言葉を思い出して言うと、ルーカス様は恥ずかしくなったのか、顔を逸らした。


顔を逸らしても、ルーカス様の耳が赤く染まっているので、照れている事が分かる。


可愛いとはこういうことを言うのだろうか。前は男の人が可愛いなんて意味が分からなかったのに、今はなんとなく分かる。


こういう姿だ。わたしの言動に恥ずかしがるこの人を可愛いと感じる。


「ルーカス様、わたしに、考える時間をくれてありがとうございます。」


「当たり前だ。いきなり返事なんてする必要はない。ハンナにはもっと考えて、もっと俺の愛の大きさを分かってから返事をしてほしい。」


突然の不意打ちはやめてほしい。


「…分かりました。」


わたしが照れながら言うと、ルーカス様はわたしの頭を撫でて穏やかな顔をした。


「おやすみ、ハンナ。愛してる。」

「おやすみなさいませ。ルーカス様。」


お互い穏やかな笑顔で挨拶を交わした後、ルーカス様は自室に戻った。


まさか、プレゼントを渡して告白される日が来るなんて。


わたしは今日という大切な日を噛み締めた。


だが、この時はまだ知らなかった。彼の我慢しないという言葉がどれほどのものなのか自分の身を持って知ることになるのを。

見てくださりありがとうございました!

次話も見てくれると嬉しいです!


いよいよ最終回も近づいてきました!番外編も書いていこうと思いますのでそちらも見てくださると幸いです!

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