2回目のお出かけ
それからは、ひたすら勉強と実践を繰り返した。
授業がない日には、邸宅にある図書室に案内してもらい、今よりも魔法の知識を増やし、その知識を先生との実践で繰り返す日々。
子供の頃にした勉強でも、こんなに自分から進んでやることはなかった。ただ怒られないためにやっていた。
進んでやるのではなく、やらされた。それが当たり前だと思っていたから。
なのに、成人して初めてする勉強はとても楽しくて、新しいことを知るたびに、もっと知りたいという気持ちになった。
こんな気持ちは初めてで少し戸惑ってしまう。
それでも、慣れるのは早くて、この気持ちがわたしの成長速度を加速させる。
初めは失敗ばかりで出来なかったことも、先生がとても丁寧に教えてくれる。
これだけで、先生も全面的に協力してくれていると言うのが分かった。だからこそ、先生の期待にも応えたい。
なので、とにかく頑張った。
それと、もちろんペンダント選びも忘れていない。
ペンダントを選んだ日は、リアと2人の騎士と一緒に街へ出た。
執事や侍女、騎士には、今日街に出ることは内緒にして欲しいと頼んである。
騎士は2人で、1人は、アーサー、もう1人はフレディという名前だそうだ。
護衛についてもらうときに自己紹介してもらった。名前を覚えておかないと呼ぶときに面倒だから。
ちなみに、みんな軽装のため、誰も令嬢とその次女と護衛だとは気付かないはずだ。
「公爵夫人、何故名前を…?」
「私たちの名前など、覚える意味はありません」
彼らもわたしを疑っているのか、そんな質問をしてきた。これに毎回答えないといけないなんて、気が滅入ってしまう。
それでも、少しずつ誤解を解いていくしか方法はない。
「名前を覚えた方が呼びやすいでしょ?それに、別に身分が違うからって名前を覚えないなんて理由はない。」
いつものにっこにこ笑顔を作って対応する。
「…失礼しました。無礼な真似をしてしまいました。どうか罰を…」
「いいから、3人とも行くわよ!どうせなら、今日はあなたたちの行きたいところにも行きましょう!」
「夫人…」
罰を与えるのも謝られるのもめんどくさい。先の何故名前を聞いたのかという質問も、意図は分かる。
俺たちを誘う気か?という意味だったのだろう。
聞いたことを後悔しているようだが、わたしからするとどうでもいい。
そんなことより、そんな顔で買い物に付き合ってほしくない。
「はあ、そうね。アーサー、フレディ。罰を与えて欲しいのよね」
「はい。私たちは言葉を間違えました。その意図は、奥様もお気づきだと思います。」
アーサーが答える。
「もちろん分かってるわよ。でも、それは団長を考えての言葉だった。まあ、無礼ではあるわよね」
少しだけ悪戯な笑みを浮かべる。
正に悪女という感じだ。
「もちろんでございます。」
今度はフレディが応えた。
少しだけ言葉に圧をかけると、騎士たちは萎縮する。間違いをすぐに反省するところは、流石騎士だなと思う。すぐに罰を課してくれと言うのもだ。
なので、罰を与えることにしよう。じゃないと気が済まないようだし。
「分かった。なら、アーサーとフレディの罰は、わたしと一緒に買い物を楽しんでもらうことよ。」
「は?!」
「えっ…」
同時に驚いている。2人の素っ頓狂な声を聞けて満足したわたしは、思わずクスクスと笑ってしまう。
「まさか、出来ないの?令嬢のわたしとは買い物が楽しめないかしら?」
これまた迫真の演技だ。最近はむしろ楽しくなってきた。
…いや、楽しいと思うことにした。あえて言うなら女優の気分だろうか。
安い挑発だが、見事に2人に謎の火をつけることに成功。
「やってやりますよ」
「まさか」
良かった。もう気にしていない様子だ。2人の後ろに燃え盛る炎が見える。
「よし、決定ね。じゃあ、まずはペンダント選びに付き合って。」
ということで始まった買い物は、わたしのペンダント選びからスタートした。
見てくださりありがとうございました!
次話も見てくれると嬉しいです!




