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推しの悪役令嬢なので全力で守ろうと思います!  作者: 小鳥遊
推しのために生きていました
23/89

わたしの居場所

抑えていたわたしの醜い部分がどんどん出てくる。

ああ、気持ち悪い…勝手に口から出てくる。


今までの反動のようなものなのか、1度出た言葉はどんどん紡がれていった。


「それから1時間後に公爵様が来ましたよね。

侍女や執事、料理人、公爵様もわたしが働き、信頼を得るまではずっと軽蔑の目を向けてきました。そんな噂を信じ、ここにいるわたしを信じない人たちを、わたしはどう信頼すれば良いのですか?」


「…すまなかった。もちろん謝罪だけでは済ませない。」


「いりません…謝罪も、その他も…わたしにも分からないんです。わたしはどうしてほしいのでしょうね?」


痛い、、苦しい…でも、笑顔でいないと…。


「ハンナ嬢…」


返事をしようとすると、喉の奥がつっかえて咳が出てしまった。


そして、その咳のせいでみぞおちの辺りが強く痛んだ。


「…!ケホッ…ケホッ……ハァ、ハァ…」


話すたび、咳をするたびに、どんどん痛みが増していくような気がする。


吐き出したいのに、何も出ない。それがまた、わたしを苦しく、気持ち悪くさせる。


吐き気が…増していく。


「もう、我慢しないでくれ…痛いなら痛いと言ってくれ…。苦しいなら苦しいと、辛いなら辛いと…頼むから言ってくれないか…。」


「…どうして……?」


公爵にそんなことを言う意味なんてないはずだ。


わたしから公爵にそれを言ったところで迷惑なだけだろう。


こんなことを頼む必要なんてないはず。


「俺が側にいてやるから。今までしてきた仕打ちの償いとは別に、俺があなたに心から笑ってほしいと思ったんだ」


"迷惑じゃ…ない……?"


笑ってほしいって、どうしてだろう。公爵と

話していると、次々疑問が増えていく。


それに、心から笑う…わたしにそんなことが出来るだろうか。


…もし、もしも心から笑うことが出来たなら、どれだけ嬉しいことだろう。


でも本当に笑うなんて出来る気が……!


ーガバっー


「へ…?なんで」


「もう苦しまなくていい…。1人で抱え込むな。あなたが教えてくれたんだ。仲間を頼れと…」


「でも、わたしに仲間は…」


「俺がいる。」


"…!公爵が、仲間?あんなにわたしのことを嫌っていたあなたが…?"


「もう仮面なんて被らなくて良いんだ。」


ーっ…公爵は、時々とても無責任なことを言う。


だって、仮面を被っていないわたしを誰かが

嫌ってくるのはとても苦しいし辛い。


公爵は仮面を被っていなくても、仲間が公爵を信頼するので問題はない。


だから無表情の仮面なんて被らなくていいと言った。


けど、わたしの場合は少し違う。


わたしの周りには、敵が多すぎるのだ。


仮面を被っている時のわたしは、わたしであってわたしではない別の誰かだから。


だから、貶されても蔑まされても、耐えてこられた。


だけど、もし誰かが本当のわたしを嫌ったら?


そんな考えがわたしの頭から離れないのだ


「やめてください…!公爵様も、どうせ嫌いになります。だから、わたしにそんな言葉をかけないでください…!」


「嫌いになどならない。」


真っ直ぐな目。


信じてほしいという、強い想い。


でも…


「大丈夫だ。今すぐ信用してくれなくても。ずっと待とう。あなたが信頼してくれるまで」


どうして…この人は、こんなわたしに優しく

するんだろう。


それに、わたしがいつ公爵を信頼出来るようになるのかなんて分からない。1ヶ月、3ヶ月かもしれない。1年後かもしれないのに…


あなたは、アリアと出会う運命なのに…


「大丈夫。そんなに思いつめた表情をしないでくれ。ただ、ハンナ嬢にはこれだけ覚えていてほしい。これからは、1人で泣かなくても良いんだ」


そう言って、ハグをしたままわたしの頭を撫でてくれる。


その言葉は、どれだけわたしを救ってくれたのか、公爵は知っているだろうか。


「心の中で悲しむ必要もない。1人で涙を流す必要もない。泣く時は、俺を呼んでくれ。

そしたらすぐに駆けつける」


やめてほしいものだ。そんなことを言われたら、公爵に縋り付きたくなってしまう


初めて出来た、涙を流す場所。でも、この場所を失った時は、どうしようもない絶望感に襲われるはずだ。それなら、元々ない方が…


「【お前の居場所はここだ】と、ずっと言い続けてやる。」


…公爵はわたしの考えが読めるのだろうか。


わたしが涙を流せる唯一の場所。公爵はそれを、わたしにくれたんだ。


アリア、ハンナ様。


"少しだけ、ほんの少しだけ、この人を好きになる気持ちが分かった気がします…"


「わ…たし…。は…」


無理に話そうとしなくて良いんだと言うように、わたしの背中を優しくさすってくれる。


「ごめん…なさい」


「違う。こういう時はありがとうって言うんだ。」


「ありがとう…ござ…います…」


公爵の服を掴んで啜り泣くわたしに、公爵は涙が枯れるまで側にいてくれた。


泣きたいという思いのままに従ったのはいつぶりだろう。


ムズムズするけど、心が少し楽になって、温かくなった。

見てくださりありがとうございました!

次話も見てくれると嬉しいです!

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