独占欲(公爵視点あり)
◇◇◇
「落ち着いたか?」
「はい…ご…えっと、ありがとうございます。」
「ああ、良かった。そうだ、これから毎日、
ハンナ嬢の部屋に行くからな」
え…、え?
「ど、どうして…」
「自分の胸に手を当てて考えてみろ」
"自分の胸に手を当てて……………あ"
逃げたことを言っているのだろうか。
「あ、あれは、わたしの過去を話したくなかったから…。でももう全て話してしまいましたから逃げません…!」
「それでも行かせてもらう。また1人で抱え込むといけないからな」
「うっ……分かりました。」
「それと医者も、ハンナ嬢の怪我の具合と潰瘍の経過を見にくる」
「潰瘍ですか?」
「吐血したのも、潰瘍が原因だ。多分ストレス性のな。」
ああ、なるほど。血を吐くほどのストレスって…
"わたしどれだけお父様にハグされるの嫌だったんだろう…。"
なんだか反抗期の娘みたいだ。…流石に反抗期の娘も血を吐くまでじゃないと思うけど。
「1ヶ月は絶対安静だ。掃除も料理も禁止だ。連れて行ってほしいところがあれば俺が連れて行くから1人で歩くな。分かったな?」
えっと…過保護すぎやしないだろうか。
「歩くのは、杖があるので…」
「ダメだ」
"回答早っ"
でも、気にかけてくれることがこんなにも温かいものだったなんて、知らなかった。
「ではっ…せめて書類の整理だけでも…」
「……はぁ、分かった。では明日から一緒にやるぞ」
「はい…!」
良かった。これで余計なことを考えずに済む。
1人で、しかも何もしないとなると、余計な事を考えてしまいそうだったからありがたい。
"でも、どうして一緒に?"
まあいいか。考えずに済むなら何だって良かったし。
「さて、今日はもう夜も遅い。明日の朝迎えに行くから、もう寝ておけ。」
「あ、そうですね。すみません、公爵様。こんな時間まで…」
「ん?違うだろ。ハンナ嬢」
「え?ぁ…ありがとうございます。公爵様。おやすみなさいませ。」
「っ…///!おやすみ…」
◇◇◇
"今、何故俺は照れた…?"
ただおやすみと言われただけなのに、それがこんなにも嬉しいことなんてあっただろうか。
俺は、彼女が好きなのか…?
いやいやいや…早まるな。俺の今の感情を確認しよう。
①彼女を永遠に側に置いておきたい
②彼女の言動全てが愛しい
③2度と辛い思いをしてほしくない
④心の底から笑っていてもらいたい
⑤俺にしか知らないことがあると嬉しい
⑥誰の目にも止まらないよう閉じ込めてしまいたい
↓
あ〜〜〜〜…
マジか…
俺が誰かを好きになることなんて、一生ないと思ってた。
しかも、独占欲の塊のような気持ちもある。
だが、彼女の頑屋なところも、真面目なところも、1人で抱え込んでしまうところも。
俺が手伝いたいと思ったし、見守ってあげたいと思った。そして、苦しみや悲しみは、俺に全て曝け出してほしいとも思った。
"これは、重症だな…"
政略もド政略のこの結婚に愛など芽生えるはずないと思っていたのに、なんなら嫌悪しか抱くことはないと思っていたのに…真逆も良いところではないか。
さて、どうするか…。
俺は彼女の噂を信じ、売女だとか極悪令嬢だとか罵った男だぞ…そんなやつを好きになる確率があるか?
"約1ヶ月半前の俺を殴ってやりたい"
人の話もろくに聞かず噂だけを鵜呑みにし、
素っ気ないにも程があるほどの態度を俺は取っていた。
そんな俺を好きになる確率?俺が誰かに負ける確率よりも低いだろうな…。
「クック…ハハ…」
あまりの確率の低さに笑うしかなかった。
だが、俺がここまで誰かを欲したいと思うことなんてあっただろうか?
仕方ない。今は、側にいて貰えるだけで満足しておこう。
"今はな…"
見てくださりありがとうございました!
次話も見てくれると嬉しいです!
次話は公爵視点ですm(_ _)m




