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推しの悪役令嬢なので全力で守ろうと思います!  作者: 小鳥遊
推しのために生きていました
20/89

演劇

◇◇◇


次の日


「…グッ…」


「どうだ。痛いだろう?お前のお母様は、これよりもっと苦しそうに亡くなったんだ…!」


「俺は側にいることしか出来なかった…。妻を治せる技術も、方法も何も知らなかったんだ…!」


"ん?昨日と様子が違う…。まさか、お酒?"


「俺が妻を救えたら、そしたらまた幸せな日が待っていたのに…!だから俺は、妻によく似たカンナを可愛がってやった!」


この人は、自分の娘に手を挙げたうえ、愚痴まで聞いてもらってるのか。


なんとも惨めで可哀想な人だ。


「なのにあいつは、男を誘惑して遊びまくりやがった!だがそれも、お前がしたことなんだ!何故かわかるか?俺の妻は、そんなことしないからだ…」


何その理由。だったら、公爵がわたしを無視して、わたしに悪い噂を押し付けた理由は、お姉様をお母様に見立てたからってことだろうか。


意味が…分からない。結局のところ、わたしもお姉様も、あなたの茶番に付き合わされただけじゃない。


そんなことで、姉様はお母様に見立てられて愛されて、わたしはいないように扱われたの?


本当、ふざけてる。


いや、焦っちゃダメだ。ムカつくけど、上手くいけば、もう殴られずに済むかもしれない。


だけどそれは、わたしの演技力にかかっている。


「おとうさまぁ…」


どれだけ自分の気持ちを偽って、意識を失わずにいられるかの勝負だ。


「あ?だからお父様と呼ぶなと…、お前、泣いてるのか…?」


もちろん、本当に悲しくて泣いている訳ではない。


それでも、わたしのことを見てこなかった父は、この涙を本物だと思うだろう。


「わたしも…お母様といっぱいお話ししたかった…。お母様に生んでくれてありがとうって伝えたかった…!でも…、でも…!わたしがお母様を殺したんだ…わたしが…わたしが殺した…」


「お前…。」


「ごめんなさいおとうさまぁ…ごめんなさいおねえさま…!わたしが、大切なおかあ様を奪ったから…!わたしも、おかあさまに会いたいよぉ……!」


泣きじゃくる。


仮面を被る。


母を亡くし、父にも見放された可哀想な子。


そんな役を演じるのだ。


どれだけ恨んでいても、それを顔に出してはいけない。   


「ああ…お前も、お前も会いたかったんだな。

すまない、すまない…俺が不甲斐ないばかりに」


お父様がわたしを抱きしめるなんて…


"とんでもなく不快だわ"


今までしてきた仕打ちをハグで終わらせようとしてるの…?


わたしたちは血が繋がっているから許されるとでも思ってるの?


"イライラする。でも抑えないと…。クッソ…胃がキリキリする…"


それでもやりきる。これがわたしなりの復讐だ。


「おかあさまに会いたい…大好きって伝えたいのに…!」


「ごめんな…俺が悪いんだ。お前のせいなんか

じゃない…!今までお前に当たって悪かった…許されるとも思っていない…もう1度…もう1度やり直そう…」


「そうです…ね。」


"まずい、視界が霞む…"


でも、まだ終わりじゃな………!


「…!ゴフッ…オェ…」


血?


どうして口から…


「ハンナ…?!大丈夫か…!」


…大丈夫?どの口が言ってるんだろうか。


あなたがわたしにしてきた仕打ちは、この先忘れることは2度とない。


「こうしゃく、さま。わた、しは。だいじょうぶ…ですから」


「何が大丈夫なんだ…!それに、どうしてお父様と呼ばない…!」


「だって…わたしが、こうしゃくさまの、ことを。おとうさまだなんて、ずうずうしい、でしょう?」


「何言って…。っ-!」


「いままで、おと…さま、だな、ていって…ごめ…。さい」


喋りにくい。でも、最後まで話してやる。


これが、復讐だから。


「やめろ…お父様で良い…お父様と、読んでくれ…!」


「わたし、には。でき、せん……。こう、しゃく…さま…」


最後まで言えた。


伝わったかどうかは分からないが、取り敢えず良しとしようじゃないか。


「ハンナ…?ハンナ…!死ぬな…ハンナ。私が悪かった…悪かったから…!おい…誰かいるか!ハンナの手当てをしろ…!」


何を言ってるのか聞こえない。耳鳴りがする…


目は、開いてるのだろうか…?微かだけど、侯爵が見えるから。


「侯爵様…!ガルシア公爵家の者が大勢来ています…!どうなされます…」


ードカンー


え?今何か蹴飛ばしたような音が…


「ハンナ嬢!」


"あ…来てくれたんだ。思ってたより、ずっと早かったな…"

見てくださりありがとうございました!

次話も見てくれると嬉しいです!

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