それは終わりと始まりの戦い2
5月20日(土)晴れのち曇り 〇〇高校校舎内 2-A教室
朝はあれだけ暑かったのに午後になると太陽は雲に覆われて空は黒く、少しだけ過ごしやすくなった。それでもまだちょうどいい気温ではない。
「前田先生さ、よくお前のほう見てないか?」
仁に言われて初めて気が付く。前田先生はよく俺のほうをジーッとみている。だが、俺が気付かなかったということは…。好意を寄せているまなざしではないということ。
「裏がありまんなぁ」俺はあごを触りどこぞの探偵のまねごとをしてみた。見ろ。この仁の興味なさげな視線。
「カズお前好かれてんじゃね?」仁が真顔で聞いてくる。
「やめてくれ、俺は生粋のロリータコンプレックスさ。」
「汚い」
授業中ということを少し忘れて話したことで仁以外の俺の席の近くの奴らに俺の性癖がばれてしまったが、仕方ない。ロリコンにこの教室は苦痛でしかないからな。嫌われても相手は俺と同い年。恋愛対象ではない!
「桜庭くん、南くん、集中して授業に取り組んでね?」
前田クリア先生…きれいなルックスに素敵な立ち姿。とても新人教師とは思えない振る舞いを魅せつけ、この学園の男という男を魅了していた。
だが俺が違う。年上に興味などない!!
「カズ…そんな睨むなよ。」
仁が苦笑いでこちらを見ていた。こいつが俺とつるむようになったのは中学2年のころだっただろうか。
地元では有名な不良グループのトップ2で校内で友達なんていそうにもない雰囲気を醸し出してた。
いつも授業の時は退屈そうに黒板を見てるか、もはや教室にいないとか。先生は何も言わなかった。
誰かが授業の内容を教えてあげるわけでもなく。授業に誘うわけでもなく。当たり前だろう。だって怖いもん。普通に。睨むし。
そんな意味不明な奴だったがいつかの体育の時間に珍しく仁が授業に出てた。
体操着を着てる仁が面白くて俺だけめちゃくちゃ笑いをこらえてた。準備体操で2人組を作れと言われたとき想像通り仁だけ独りぼっちだった。先生は仁を見ることもなく授業を続けた。仁もただ座ったまま。
俺は既に2人組になってたが先生に頼んで3人組にしてもらった。
「南、準備体操しようぜ。」初めて話しかけた言葉はこれだった。返事は「やらねぇよ。死ね」
痛い。心が折れそうだったが、そんなことよりも準備体操をしたい欲のほうが精神的苦痛を上回った。
「俺の準備体操には…お前の力が必要なんだよ!」
この感動の一言を俺は仁にぶつけた。俺の名言集103Pの上3行目の名言である。
それから俺はアクロバティック準備体操という離れ業を仁とクラスメイト1人で完成させ、仁との仲も深まっていった。
このアクロバティック準備体操の技は俺と仁とで考えた。仁はいつも俺の上を行く。こいつは面白い。俺は芸人として飯が食えると確信した中学生生活だった。
仁は不良グループとの仲も悪くなって、家族ともうまくいけなくて学校しか逃げ場がなかったと言っていた。
「ダチに…。なってくれないだろうか…。」と仁から言ってくれたのは俺が初めて話しかけてから2週間たったくらいだった。
とりあえずそん時返された言葉で返した「やらねぇよ。死ね」
「もう友達だろ?友達ってのは頼んでなるんじゃねぇんだよ。大事なのは、ココだろ!」
と俺は右胸を叩いた。
「ハートって言いたいのか?」
「そうheartって言いたいんだ。」
「なら…左だな…」
「キリーツ。礼。ちゃくせーき」
いつの間にか授業の終わりの挨拶をしていた。思い出を振り返ると今生きてることを忘れてまう。
「お前、半分寝てたろ?」仁が俺の肩を軽く叩く。
「…お前の事…考えてた♡」
「キモ過ぎワロタ♡」
いつも通りの日。当たり前になったこの会話が俺はたまらなく好きだった。
「桜庭君。ちょっと来てもらえる?」
前田先生から呼び出しを食らった。授業は真面目に受けなさい的な奴か。
ほいほーい。と適当に返事をし、「ちょっくら告白受けてくるわ」とクラスの男全員を敵に回し教室を出た。




